固定費を抑えるために、2階以上の「空中階」や「地下物件」を候補に入れている方も多いのではないでしょうか。1階の路面店に比べて家賃を大幅に抑えられる物件は、確かに一見魅力的です。
しかし、多くの人は「看板が見えるか」「客足が入るか」といった集客面ばかりを気にしがち。
実は、本当にチェックすべきは店舗の「中」ではなく、一歩外にある「エレベーターのサイズ」と「階段の幅」です。ここを見落とすと、最悪の場合、「大型冷蔵庫が搬入できず、オープン前に数十万円の追加予算が吹き飛ぶ(最悪、オープンすらできない)」という地獄に陥ってしまいます。
今回は、内見時に絶対に確認すべき「動線のリアル」を、事例を交えて解説します!
低家賃の空中階・地下物件は、固定費を削る強力な武器になります。しかし、路面店とは異なり「すべてのヒトとモノがエレベーターか階段を通る」という絶対的な制約を忘れてはいけません。内見時に見落としがちな3つのリスクを見ていきましょう。
内見時には気づきにくい、最大の物理的トラップがエレベーターです。
厨房の主役である「業務用冷凍冷蔵庫」や「製氷機」は、想像以上に巨大です。
よくある失敗が、エレベーター内の「定員(〇人乗り)」や「積載重量(〇kg)」という表記だけで安心してしまうこと。重量がクリアできていても、いざ運ぼうとすると、エレベーターの「ドアの高さ」や「カゴの中の奥行き」が足りず、斜めにしても入らないケースが多発しています。
もしエレベーターに入らなかった場合、待っているのは以下のどちらかです。
・クレーン車を手配して窓から吊り上げるこれだけで、当初の予算にはなかった数十万円の予期せぬ追加費用が吹き飛びます。
さらに最悪なのは、窓が小さくて吊り上げも無理なケース。この場合は搬入自体を諦めて、「お店の規模に合わない、小さな冷蔵庫(ランクを落としたもの)」に買い換えるしかありません。
次に階段問題についてです!
ここまでは店舗運営(裏方)の話をしてきましたが、実はエレベーターと階段は、集客(売上)の観点からも非常に重要です。
地下へ続く階段が暗くて狭いと、新規のお客様は入るのを躊躇してしまいます。さらに、エレベーターが1台しかなく狭い場合は、退店時の「エレベーター待ち」で最後の印象が悪くなり、リピート率が下がる原因にもなってしまいます。
万が一、内見後に「お目当ての厨房機器が入らないかもしれない」と発覚した場合、現場では以下のような代替案を検討してみてください!
一部のメーカーや作業台・シンクなどは、パーツで搬入して現地で組み立てるノックダウン方式の製品があります。縦型冷蔵庫などは難しいですが、一部機器はこれで回避可能です。
ビルの管理会社への事前交渉が必要ですが、エレベーターの扉の枠ゴムや、内側の保護パネル(養生ではなく化粧板)を外すことで数センチのクリアランスを確保できる場合があります。
大容量の1200幅の縦型冷蔵庫1台を諦め、600幅の冷蔵庫を2台(あるいはコールドテーブルと分散)にして搬入経路をクリアします。ただし、機器代金や電気代などのコストは上がります。
空中階や地下の物件を内見する際に、明日からすぐ使えるチェックリストを用意しました。
ぜひ内見時にこの画面を開きながら確認してみてください!
[ ✔] ドアの「高さ」と「幅」、カゴの中の「奥行き」をメジャーで測ったか?
[✔ ] 養生(保護マットなど)をした状態で、狙っている厨房機器や冷蔵庫が通るか?
階段:[ ✔] 幅は最低でも90cm以上(理想は120cm)あるか?
[ ✔] 踊り場で、長い荷物を持ったまま方向転換できるスペースがあるか?
その他:[ ✔] ビルの管理規定で「搬入・搬出の時間制限」や「エレベーターの使用制限」がないか?
空中階や地下物件は、固定費(家賃)を抑えて利益率を上げるための最大の武器になります。だからこそ、物件を探すときは図面の「中」だけでなく、エレベーターや階段といった図面の「外」までしっかりチェックすることが重要です。
動線という物理的なリスクを事前にクリアして、低家賃・高利益の「本当に強いお店」を作っていきましょう!