3章 衛生管理の基準と実践

1. 「一般的な衛生管理」とは?
「一般的な衛生管理」は、HACCPに沿った衛生管理の基礎であり、食品等事業者が遵守すべき基準です。
これらの基準を理解し、日々の業務で実践することが食の安全を守る上で非常に重要です。
「一般的な衛生管理」はHACCP運用の前提条件であり、この基本が徹底されなければHACCPも機能しません。
2. 14項目の概要と具体例
「一般的な衛生管理」の14項目のポイントと、実施例は以下の通りです。
① 食品衛生責任者等の選任
施設ごとに選任し、衛生管理の指導や知識習得に努める。
例)選任された責任者が、朝礼で手洗いの重要性を再確認させ、実施状況をチェックする。
営業者は責任者の意見を尊重し、責任者は営業者の指示に従い衛生管理を行う。
② 施設の衛生管理
施設内外やトイレを定期的に清掃し、害虫・ネズミの発生を防止する。
例)厨房の床や排水溝、トイレを、決められた手順と頻度で毎日清掃・消毒する。
床の隅や設備の下、グリストラップなどは不衛生になりやすいため毎日清掃する。
③ 設備等の衛生管理
機械器具や手洗い設備を清潔に保ち、計器類を点検する。
例)使用後のまな板や包丁は、洗浄剤で洗い、次亜塩素酸ナトリウムで消毒後、乾燥させて保管する。
二次汚染を防ぐため、機械器具は用途別(下処理用、調理用など)や食品別(食肉類、魚介類、野菜類、加熱調理済み食品など)に使い分ける。
④ 使用水等の管理
水道水または飲用適水を使用し、年1回以上の水質検査と貯水槽清掃の記録を保存する。
例)作業開始前に、蛇口から出る水の色・濁り・臭いに異常がないか毎日確認し、記録する。
年1回の検査に加え、毎日の「色、濁り、臭い、味」の日常点検も行う。
⑤ ねずみ及び昆虫対策
年2回以上の駆除、または定期的な生息調査と記録保存(1年)を行う。
例)厨房や倉庫の窓に網戸を設置し、破損がないか定期的に点検・清掃する。
駆除作業だけでなく、施設のすき間を塞ぐ、ゴミを密閉するなど、外部からの侵入を防ぐ対策が最も大切です。
⑥ 廃棄物及び排水の取扱い
ゴミを分別し、フタ付き容器で密閉保管し、排水設備を清潔に保つ。
例)生ゴミは水分をよく切り、フタ付きの専用容器に入れ、害虫やネズミが寄り付かないよう清潔な指定場所に一時保管する。
ゴミ容器は都度洗浄し、保管場所も害虫の発生源にならないよう清潔に保ちます。
⑦ 食品等取扱者の衛生管理
毎日の健康状態を把握し、適切な服装と手洗いを徹底する。
例)出勤時に体調不良(下痢、発熱、手指の傷など)がないか自己申告し、責任者が確認する。
下痢やおう吐などの胃腸炎症状がある場合は、ノロウイルス感染を防ぐため調理作業に従事しない。
⑧ 検食の実施
大量調理施設等で、提供前の食事を責任者が試食して安全性を確認する。
例)学校給食センターで、責任者が提供前に実際に給食を食べて、味や異臭・異物がないかなどを確認する。
⑨ 情報の提供
消費者へアレルゲン等の情報を提供し、健康被害時は保健所へ迅速に報告する。
例)メニューにお客様からの質問があった場合に備え、アレルギー物質の一覧表をすぐに確認できるように準備しておく。
消費者から食中毒の疑いがあると連絡を受けた場合などは、保健所に情報を提供する。
⑩ 回収・廃棄
製品回収時の手順を整備し、お客様への告知を迅速に行う。
例)提供した食品に問題が発覚した場合、あらかじめ定めた手順に従い、対象製品の回収やお客様への告知を迅速に行う。
営業者が自主回収を行った場合、都道府県への届出が義務づけられている。
⑪ 運搬
車両やコンテナを清潔に保ち、運搬中の適切な温度・湿度・時間管理を行う。
例)冷蔵品を配送する際、出発時と到着時の品温を測定・記録し、適切な温度で運ばれたことを確認する。
運搬中の温度上昇を防ぐため、事前に車両などを冷やす「予冷」を行う。
⑫ 販売
適切な在庫管理、販売品の温度管理、表示チェック、衛生的な陳列を行う。
例)店頭の冷蔵ショーケースで販売する惣菜は、陳列上限(ロードライン)を守り、温度計で庫内温度を定期的に確認する。
古いものから先に販売するため、「先入れ・先出し」を確実に行う。
⑬ 教育訓練
従事者への衛生知識や健康管理などの定期的な教育訓練と効果検証を行う。
例)月に一度、全従業員を対象に食中毒予防や正しい手洗い方法に関する勉強会を開き、理解度を確認する。
洗浄剤などを誤って食品に混入させないよう、安全な取扱いの教育訓練を行う。
⑭ そのほか(記録と保存)
仕入れ元や自主検査結果等の記録を作成し、適切な期間保存する。
例)冷蔵庫の毎日の温度記録や、清掃・消毒の実施記録などをファイリングし、規定期間保管する。
記録は問題の予兆発見や、万が一の際の原因究明、安全性の証明に不可欠。
VOICEVOX:春日部つむぎ
まとめ📋
施設・設備の清掃消毒、水質管理、害虫駆除、廃棄物処理などを適切に行う。
食品衛生責任者を定め、従業員の健康・服装・手洗いを管理し、定期的な教育訓練を行う。
検食や各種記録を作成・保存し、保健所への情報提供や製品回収の体制を整備する。
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