「あれ、もう今年の半分終わるの……?」
6月に入ると、多くの飲食店オーナー・店長がそんな感覚を抱き始めます。繁忙期の春が終わり、梅雨で客足がやや鈍り始めるこの時期は、実は上半期を振り返る絶好のタイミングでもあります。
外食産業全体では、2025年も「売上は回復傾向」が続いています。ただし、原材料費・人件費の高止まりが続き、「売上は伸びたのに利益が残らない」という状況に悩む経営者も少なくありません。
この記事では、6月だからこそできる「上半期の振り返り」と「7月以降を有利に動かすための仕込み」を、具体的にお伝えします。忙しい方でも隙間時間にサクッと読めるようにまとめました。
6月は飲食業界にとって構造的に客足が鈍りやすい月です。GW明けの人出の落ち着きに加え、梅雨の雨天が重なることで、外食を控える消費者が増えます。祝日もゼロ。多くの店舗にとって「ゆるやかに売上が落ちていく月」です。
でもこれ、見方を変えれば「じっくり経営の数字を見直せる唯一の時期」でもあります。繁忙期に追われていてできなかった振り返りを、この6月にまとめてやっておくことが、7月以降の後半戦を大きく左右します。
飲食店経営で最初に確認すべき指標が「FL比率」です。
FL比率(%)=(食材費 + 人件費)÷ 売上高 × 100
FL比率の目安は 60%以下 が健全ライン。内訳の理想は「食材費(F)35% + 人件費(L)25%」程度です。65%を超えると家賃・光熱費などの固定費を払った後に利益がほぼ残らない状態になり、70%超えは赤字リスクが高まります。
2025年は食品値上げが続き、年初から4月までの累計値上げ品目数は11,707品目に達しています(帝国データバンク調べ)。仕入れコストは静かに、でも確実に上がっています。「売上は増えたのに手残りが減った」と感じているなら、FL比率の悪化が原因である可能性が高いです。
もうひとつ確認したいのが「売上の内訳」です。
飲食店の売上 = 客数 × 客単価——このシンプルな式が、打ち手を変えます。
「上半期の売上はまずまずだったから大丈夫」で終わらせず、内訳まで見てこそ経営の振り返りになります。
「Instagramはやってます」——でも、最後にちゃんと効果を確認したのはいつですか?
消費者が飲食店を探す方法として、約8割がSNSや動画サービスを活用しているというデータがあります。特にInstagramは約7割が「行くお店を探す場所」として使っており、もはやグルメサイトの次に見る場所ではなく、最初に見る場所になっています。(出典:ファストマーケティング調査 2025年4月)
6月の今、上半期のSNS運用を振り返ってみてください。以下の3つが確認ポイントです。
集客に手応えを感じている飲食店の多くは、週3〜5回のペースで投稿しています。週1回でも継続できていれば及第点ですが、月1〜2回になっていた場合は要見直しです。
更新が止まる最大の理由は「ネタ切れ」ではなく「仕組みがないこと」。月初に「今月はこのテーマで投稿する」と決めておくだけで、継続率は大きく変わります。
「今日もご来店ありがとうございました」「本日は〇〇をやっています」だけでは反応が取りにくいです。投稿の中身を以下の2種類に分けて考えると整理しやすくなります。
前者だけだと「宣伝っぽい」、後者だけだと「好きだけど来店のきっかけがない」になります。両方をバランスよく混ぜるのがポイントです。
飲食店のInstagramでエンゲージメントが高い時間帯は、平日12時前後(ランチ前)・平日18〜20時(夕食前)・土日9〜11時(午前中のゆとり時間)です。これらの時間帯は「今日どこに食べに行こうか」という意思決定のタイミングに重なります。
同じ内容の投稿でも、時間帯を変えるだけでリーチ数・保存数が変わってきます。後半戦では「何を投稿するか」と同時に「いつ投稿するか」も意識してみてください。
上半期の振り返りが終わったら、次は後半戦のアクションです。飲食店的に7・8月は「チャンスとリスクが混在する時期」です。
6月末〜7月上旬は夏ボーナスの支給ピーク。「ちょっとぜいたくしたい」という消費意欲が高まるこのタイミングは、年間でも数少ない「客単価が上がりやすい時期」のひとつです。
プレミアム感のある夏の特別コース・旬の食材を使った季節限定メニュー・ペアセットやグループ向けプランなど、7月初旬に間に合うよう、6月中に仕込みを終わらせておきましょう。
飲食業では2月・8月が売上の落ちやすい月として知られ「ニッパチ」と呼ばれています。特にオフィス街立地の店舗は、お盆期間中に客足が激減するケースもあります。
8月の落ち込みは「来てから対策する」では間に合いません。6〜7月のうちにリピーター向けのLINE公式アカウント施策・雨の日限定サービスの延長・テイクアウト・デリバリーの強化などを仕込んでおくことで、客足の落ち込みをある程度カバーできます。
6月はまさに梅雨本番。「雨だから来ない」を「雨だから得する」に変える施策が有効です。
飲食コンサルタントの間でも「雨の日の来客は、近隣のコアなリピーター候補」と言われます。少ない客数だからこそ、一人ひとりへの対応が差をつけます。
「今年後半も頑張る!」だけでは動けません。目標は「ひとつ」「数字」「期限つき」の3つが揃って初めて追えるものになります。
以下のどれかひとつに絞って設定してみてください。
複数立てると分散して追えなくなります。「これだけは絶対やる」を1本だけ決めて、毎月末に振り返る仕組みを作るのがシンプルで続きやすいです。
難しい話は抜きにして、この記事を読んだあと今週中にやってほしいことを3つだけお伝えします。
6月は、梅雨で客足が落ちるぶん「立ち止まって考える時間」が自然と生まれます。忙しさを理由に後回しにしてきた振り返りを、この時期にまとめてやっておくことが、後半の売上を大きく変えます。一緒に頑張っていきましょう!