【2026年版】飲食店の「海外展開」に使える補助金・助成金まとめ——インバウンド対応から食品輸出まで正直に解説

Admin

「インバウンドが増えているのに、うちの店は外国人客がほとんど来ない」「英語メニューを作りたいけど費用が……」「外国人向けのグルメサイトに載せたい」——こういった悩み、補助金で解決できるかもしれません。

2025年の訪日外国人消費額は9.5兆円を超え、外食への支出も急増しています(観光庁「訪日外国人消費動向調査」)。インバウンド需要を取り込めるかどうかが、今後の飲食店経営の明暗を分ける時代になっています。

この記事では、飲食店の「海外展開」に関わる補助金・助成金を正直に整理します。「使えるものは丁寧に解説」「使えないものはその理由も明記」——というスタンスでお伝えします。

重要:補助金の要件・スケジュールは随時変更されます。申請前は必ず各制度の公式サイト・最新公募要領を確認してください。本記事は2026年5月22日時点の情報をもとに作成しています。

「海外展開」といっても3種類ある——飲食店が補助金を使えるのはどれ?

「海外展開」という言葉は広く、実は3つの異なる取り組みを含んでいます。補助金の使いやすさはそれぞれ大きく異なります。まず全体像を整理しましょう。

 

やりたいこと

使える制度

補助上限

飲食店が使える?

インバウンド

外国人客を自店に呼び込む

東京都インバウンド補助金(全国は自治体による)

最大300万円/店

使いやすい

食品輸出

日本食・食材を海外に輸出する

農水省HACCP施設整備補助金、JFOODO等

最大6億円〜

食品製造業向け

海外出店

現地に飲食店を出す

JETROの専門家派遣・情報提供(補助金は実質なし)

× 補助金は事実上なし

結論からいうと、飲食店が補助金を活用しやすいのは「インバウンド(外国人客を自店に呼び込む)」の一択です。食品輸出は食品製造業向けの制度が中心で飲食店単体では使いにくく、海外出店に使える申請型の補助金は事実上存在しません。

以下では、それぞれについて具体的に解説します。

東京都インバウンド対応力強化支援補助金——令和8年度版が20264月より公募開始

都内の飲食店が使える、インバウンド対応特化の補助金です。令和8年度(2026年度)版が2026年4月1日より公募を開始しており、現在受付中です。英語メニュー制作・グルメサイト掲載・Wi-Fi設置・キャッシュレス導入など、インバウンド受け入れに必要な費用を最大300万円まで補助してもらえます。

基本情報

実施主体

東京都・公益財団法人東京観光財団

対象

都内の飲食店(中小企業者のみ)

補助上限

1店舗あたり最大300万円。多店舗展開の場合は店舗数×300万円

補助率

対象経費の1/2以内(多言語対応に関わる事業は2/3以内)

2026年度スケジュール

令和8年度版:2026年4月1日より公募開始・通年受付(予算がなくなり次第終了)

申請方法

郵送またはJGrants(電子申請)。GビズIDプライムが必要

注意

「新たに実施する取り組み」が条件。すでに実施済みのものは対象外

申請先

公益財団法人東京観光財団(tokyo-kanko.or.jp)

 

何に使える?対象事業の一覧

「インバウンド対応のための新たな取り組み」であれば、幅広い事業が対象になります。

対象の事業

取り組みカテゴリ

対象事業の具体例

飲食店での活用シーン

多言語対応

施設・メニューの多言語化(英語・中国語・韓国語等)、HPの多言語版制作、多言語マナー案内作成

英語メニュー・アレルギー表示の整備、外国人向けHP制作

外国人用グルメサイト掲載

Tripadvisor・OpenTable・Eatwithなど外国人向けグルメサイトへの登録・掲載費

インバウンド客が使うサイトへの露出強化

キャッシュレス対応

クレジットカード・電子マネー・多通貨決済機器の導入

外国人観光客が使うVisaやAlipay等への対応

公衆無線LAN設置

店内のWi-Fi設備の新規設置

インバウンド客が安心して使えるWi-Fi環境の整備

食の制限への対応

ハラール・ベジタリアン・ヴィーガン等の受け入れ整備

表示・食材管理・認証取得等の整備費用

防災・安全対応

外国人向け防災マップ・案内の作成・設置

緊急時の外国人旅行者受け入れ体制の整備

トイレ多機能化

外国人旅行者ニーズに対応したトイレの改修

インバウンド客の利便性向上

多言語対応は補助率2/3で最も使いやすいカテゴリ
  • 英語・中国語・韓国語対応のメニュー制作、HPの多言語版制作、アレルギー・食の制限の案内制作——これらの「多言語対応」に関わる事業は補助率が2/3と高めです。他のカテゴリは1/2なので、多言語対応から始めるのが費用対効果の面でもおすすめです。(出典:公益財団法人東京観光財団 令和8年度インバウンド補助金公募要領)
 

申請の流れ

予算がなくなり次第終了の制度です。令和7年度版は年度途中で予算上限に達し受付終了したケースがありました。「来月やろう」ではなく、今すぐ準備を始めることをおすすめします。

採択されやすい計画のポイント

  • 「なぜ外国人客が来ていないか」という現状課題を具体的に書く(例:英語メニューがない・Wi-Fiがない・グルメサイトに掲載されていない等)
  • 「この取り組みで何人の外国人客獲得を目指すか」を数字で示す
  • 「新たに実施する取り組み」であることを明示する(既存施策との差別化が必要)
  • 複数の取り組みを組み合わせると金額が大きくなり採択率も上がりやすい

東京都以外の飲食店は?——自治体別のインバウンド補助金を探す方法

東京都のインバウンド補助金は都内限定です。「うちは東京じゃないのか……」と思った方、各都道府県・市区町村でも独自のインバウンド補助金が実施されているケースがあります。毎年のように制度の変更や追加が起こりやすい為、自身が該当する自治体について直接検索することが一番の近道です。

自治体補助金の探し方

  • 「〔都道府県名〕 インバウンド 補助金 2026」で検索する
  • 地域の商工会・商工会議所・観光協会に問い合わせる(制度情報が集まっている)
  • J-Net21(中小機構の補助金検索サービス)で地域と目的を絞って検索する
  • 観光庁の「観光地域づくり法人(DMO)」のサイトで地域ごとの支援情報を確認する
観光地・地方都市は特に手厚い
  • 京都・大阪・北海道・沖縄など、もともとインバウンド需要の高いエリアは自治体独自の補助金が比較的充実しています。また、地方創生の観点から「インバウンド誘客」に力を入れている市区町村も多く、飲食店向けの補助金が見つかるケースもあります。まず地域の商工会・観光協会への問い合わせが最短ルートです。
 

「食品輸出」は飲食店単体では使いにくい

日本食・食材を海外に輸出したいと考えている飲食店オーナーもいると思います。ただ正直にいうと、食品輸出系の補助金は食品製造業・農業者向けに設計されており、飲食店が単体で使えるケースは非常に限られています。

農林水産省・GFOODO・JETROの主な支援

  • 農林水産省「食品産業の輸出向けHACCP等対応施設整備事業」:HACCP・ハラール等の衛生基準を満たす工場改修が対象(最大6億円)。飲食店の店舗は対象外のケースが多い

  • 農水省「農林水産物・食品輸出促進緊急対策事業」:品目別の団体(牛肉・水産物・コメ等)によるオールジャパンプロモーション。個別飲食店が申請するものではない

  • JFOODO(日本食品海外プロモーションセンター):日本茶・和牛・日本酒などの品目ごとの海外プロモーション。個別店舗向けではなくオールジャパン展開

  • JETROの各種支援:海外見本市出展支援・商談会・専門家派遣。補助金というより「支援サービス」の提供。活用価値は高いが、現金給付型の補助金ではない

 「海外に店を出したい」飲食店が使える補助金は事実上ない、でも支援はある

「海外に直営店を出したい」「フランチャイズで海外展開したい」——これは多くの飲食店経営者にとって夢のある話です。ただし正直にいうと、日本の補助金制度で飲食店が「海外出店」の費用そのものを補助してもらえる制度は現時点でほぼ存在しません。

ある程度の規模の企業向けには中小企業新事業進出補助金や経産省の海外展開支援があり、海外拠点開設や現地調査費用が対象になるケースもありますが、小規模飲食店が単独で申請できるものは少ないのが現実です。

それでも使える「支援」はある

  • JETROの専門家派遣・海外ビジネス相談(無料):海外出店を検討中の段階から使える。現地の法規制・パートナー探しのアドバイスが受けられる

  • 中小機構の海外展開支援(中小企業基盤整備機構):海外ビジネスに詳しい専門家を派遣してくれる制度(無料〜低コスト)

  • 日本政策金融公庫の「海外展開資金融資」:補助金ではなく融資だが、海外拠点開設に必要な資金を低利で借りられる制度がある

 まとめ——「海外展開」補助金、飲食店が今すぐ動けること

「海外展開」という切り口で補助金を探すと、飲食店が実際に使えるものとそうでないものがはっきり分かれます。正直にまとめると:

 

インバウンド(外国人客を呼ぶ)→東京都インバウンド補助金(令和8年度版・通年受付中)が本命。都内飲食店は今すぐ確認を

東京都外の飲食店→地域の商工会・観光協会に問い合わせ。自治体独自の補助金が存在するケースあり

食品輸出→農水省系の制度は製造業向けが中心。JETROの無料相談から情報収集が現実的

× 海外出店→補助金は事実上なし。JETROや中小機構の無料支援・日本政策金融公庫の融資を活用

 

インバウンド対応は「受け身」から「攻め」へ
  • 2025年の訪日外国人消費額9.5兆円のうち、「飲食費」の占める割合は宿泊費に次いで2位です(観光庁調べ)。英語メニューを整える、外国人向けグルメサイトに掲載する、Wi-Fiを設置する——こうした「受け入れ体制」を整えるだけで、インバウンド客がリピートしやすい店になります。補助金を使ってコストを抑えながら、早めに手を打っておきましょう。

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