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ポップカルチャーに北イタリア・ピエモンテ料理の専門性を融合させる

作成者: 千葉 哲幸|May 1, 2026 6:29:59 AM

3月17日、東京・恵比寿に、イタリアンレストラン「vivido(La Mia Cucina Piemontese)」がオープンした。JR恵比寿駅から徒歩4分程度の場所で車道に面した1階にある。同店は「イタリア料理」といった大きなくくりではなく、イタリア北西部、ピエモンテ州の郷土料理を提供するという「専門性」をうたっている。同店を経営するのは株式会社SLICK(本社/東京都渋谷区、代表/岩崎慶人)で、これまで「大衆酒場ネオトーキョー」三軒茶屋店や、イタリアンの「LUCE」(代々木八幡)といった、イタリアンベースのレストランを展開してきた。

ポップカルチャーで纏められた空間で、カジュアルな雰囲気の中で食事が提供される

新進気鋭のシェフに「新しさ」の可能性見出す

SLICK代表の岩崎慶人氏(けいと、49歳)は、10代半ばでスケートボーダーとして名を馳せた人物。それが軸となって、ファッションブランドのディレクターや、ミュージシャンとしても活躍し、ストリートカルチャー、音楽、ファッション分野で豊富な経験を積んできた。

 

飲食業に参入したのは35歳の当時、あるシェフと出会ったことをきっかけに、渋谷にスペイン料理と自然派ワインのお店をオープンした。2015年に現在の会社を設立して、「カルチャー×食×体験」を融合させた飲食ブランドのプロデュースを手掛けている。

 

同社の主力ブランドである「大衆酒場ネオトーキョー」は、ストリートカルチャーやアートを融合させた空間の中に、専門料理を大衆料理に落とし込んだ料理を提供する飲食で、行列の出来るお店となっている。また、「LUCE」は、イタリア郷土料理をベースとして、四季の食材を使用したシンプルで上質な料理をラインアップ。これらに自然派ワインを組み合わせて、カジュアルでかつ深みのある食体験を提供している。

JR恵比寿駅の東口から、渋谷方向に徒歩4分程度、住宅街の入口に位置する

今回「vivido」をオープンしたのは、同店のシェフである三輪智一氏(ともかず、30歳)と出会ったこと。岩崎氏は三輪氏の料理の世界観に新しいレストランの可能性を見出した。

 

三輪氏は神奈川県出身で、18歳で料理の道に進み、ミシュラン・ビブグルマンの「Antica braceria bell’italia(現:WINEMAN FACTORY)で副料理長を務めた。その後イタリアに渡り、ピエモンテ州の一つ星レストラン「La Ciau del Tornavento」で研鑽を積み、帰国してからSLICKの「LUCE」でシェフを務めた。

シェフの三輪智一氏は、イタリア・ピエモンテ州の一つ星レストランで修業をして自分なりの理解を体得している

多様な料理とワインでベストなペアリンクを提案

三輪氏が修業したイタリア・ピエモンテ州は、イタリアの北西部にある。アルプス山麓が広がっている環境から、酪農文化が豊かなエリア。高品質な牛肉、ヘーゼルナッツ、トリュフの生産地としても知られている。現地では、隣接するフランスの影響を受けながらも、洗練された固有の食文化を育んできた。これらを背景として、食材の持ち味を最大限に活かした郷土料理文化が根付いている。

 

ピエモンテ州の現地で三輪氏が所属したのは「La Ciau del Tornavento」という一つ星のレストランである。今回の店名「vivido」には、「La Mia Cucina Piemontese(私のピエモンテ料理)」という冠を付けている。これは、三輪氏が現地で学んだ技術と世界観をベースにして、現地の伝統を尊重しながら、「自分の感性を重ねたピエモンテ料理を提供する」という意思が込められている。

 

おすすめメニューは、まず「vividoのピエモンテ 前菜の盛り合わせ」。これには「馬肉とトリュフのタルタル」や、「仔牛のハムとツナソース」など、ピエモンテの郷土色を取り込んだアンティパストを少しずつ、一皿に10品目盛り込んで、彩豊かに仕立てている。この品揃えと多様な食味には、ピエモンテ食文化の奥深さが感じられる。

 

パスタでは、卵黄を練り込んだピエモンテ名物の手打ちパスタ「Tajarin(タヤリン)」を使用した料理。極細で繊細なパスタは、しなやかな口当たり濃厚な卵のコクが特長で、仕上げにトリュフを使うというピエモンテならではの提供方法を行う。

 

ドリンクは、イタリア産ワインを中心に品ぞろえしている。自然派ワインの伸びやかな味わいと、伝統的醸造によるクラシックワインの重厚感を共に提示することで、それぞれの料理と多様なペアリング体験を提供して、料理との相性を引き出す。

 

店内は、代表の岩崎氏が培ってきた音楽をはじめとしたポップカルチャーを随所に取り入れて、感性を刺激するような空間デザインとなっている。音楽やアート、グラフィックなどの要素をちりばめて、スタイリッシュな内装に仕上げている。単に食事を楽しむ空間ではなく、「カルチャーを体験する場」としての世界観を演出している。

 

岩崎氏のポップカルチャー、イタリア・ピエモンテ州の料理の伝統、それを理解したシェフ三輪氏の表現、といった「新しいイタリア料理店」が誕生した。

店名の「vivido」は、英語の「vivid」に通じて、テーマカラーをショッキングピンクにしている

 

■おすすめメニュー

「名物タヤリン」(時価)*食材の仕入れ状況によって価格が変動する

季節によってさまざまな仕立てで提供する、ピエモンテ発祥の手打ちパスタ。卵をたっぷりと練り込んだ細打ちの生地は、しなやかなコシと豊かな風味が特長。旬の食材を取り入れたソースと合わせることで、季節ごとに異なる味わいを楽しむことができる。

 

「『vivido』のピエモンテ 前菜盛り合わせ」2200円(税込、以下同)

ピエモンテの郷土料理を取り入れた華やかな前菜の盛り合わせ。「馬肉とトリュフのタルタル」や「仔牛のハムとツナソース」、自家製アンチョビのブルスケッタ、「メジマグロのカルパッチョ」などを彩り豊かに盛り込み、さまざまな味わいを少しずつ楽しむことができる。

「群馬上州牛サーロイン 炭火焼き」3860円

群馬県産ブランド牛「上州牛」のサーロインを炭火で香ばしく焼き上げた一皿。表面はクリスピーに、中はジューシーに仕上げることで、香ばしさと上質な脂の甘みのコントラストを楽しむことが出来る。