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グリストラップ清掃、記録で管理できていますか?本部が見直すべき頻度・台帳・業者管理の方法

作成者: 佐野 美涼|Jul 22, 2026, 12:30:00 AM

「グリストラップ、先月きちんと清掃しましたか?」——本部が各店舗に確認したとき、「やってると思います」という回答が返ってきた経験はないでしょうか。グリストラップの清掃は、記録がなければ「やったかどうか分からない」状態になりやすい設備です。

グリストラップは飲食店の厨房排水に含まれる油脂・食材カスを分離・貯留する設備で、定期的な清掃を怠ると排水の詰まり・悪臭・害虫発生の原因になります。さらに、食品衛生法に基づくHACCP対応の観点からも、適切な清掃と記録の保存が求められます(厚生労働省)。

この記事では、グリストラップ清掃を現場任せにせず、本部が頻度・記録・業者利用・異常の有無を管理するための具体的な方法を整理します。清掃の詳細な技術解説ではなく、「本部がどう管理の仕組みを作るか」に絞って解説します。

グリストラップを「現場任せ」にすると何が起きるか?

清掃が滞ると起きる3つの問題

グリストラップの清掃が定期的に行われないと、以下の問題が発生しやすくなります。いずれも、発覚したときには対応コストが清掃費用を大幅に上回るケースが多いです。

 

問題

発生するリスク

発覚するタイミング

排水の詰まり

油脂・食材カスが配管に蓄積し、厨房排水が流れなくなる

営業中に突然排水が詰まり、緊急業者呼び出しが必要になる

悪臭の発生

腐敗した油脂から強烈な臭いが発生し、厨房・客席に漏れる

お客様からのクレーム・口コミ投稿で発覚することが多い

害虫の発生

ゴキブリ等の害虫がグリストラップ周辺に発生・繁殖する

スタッフ・お客様の目撃で発覚。SNS拡散リスクあり

 

 緊急の排水詰まり対応は、定期清掃費用を上回るコストが発生するケースがあります。 定期的な清掃でリスクを未然に防ぐ方がトータルコストは低くなります。

 

「やったと思う」が積み重なるとどうなるか

多店舗展開の飲食チェーンでは、グリストラップ清掃の管理が店長やスタッフの記憶に頼った運用になっていることがあります。「先月やった気がする」「前任者がやっていたはず」という状態が続くと、気づいたら数ヶ月間清掃されていなかった、という状況が生まれます。

この問題を防ぐには、記憶ではなく記録で管理することが必要です。「清掃した日付・担当者・異常の有無」が書面・シートに残っていれば、本部は店舗ごとの状態を把握できます。

グリストラップ清掃の頻度はどのくらいが目安か?

清掃頻度は業態・使用量・グリストラップの容量によって異なります。以下はあくまで一般的な目安であり、自社の設備・業態・自治体の基準に合わせて調整してください。

 

スタッフによる日常清掃と専門業者による定期清掃の役割分担

清掃の種類

実施者

頻度の目安

内容

バスケット(受け皿)の清掃

店舗スタッフ

毎日(営業終了後)

バスケットに溜まった食材カスを取り除き、洗浄する

第1槽〜第3槽の水面の油脂除去

店舗スタッフ

週1〜2回(使用量による)

油脂が蓄積した水面をすくい取り、廃棄する

槽内部の高圧洗浄・汚泥除去

専門業者

月1回〜年4回(業態・使用量による)

内部に蓄積した汚泥・油脂を高圧洗浄で除去。廃液は産業廃棄物として処理

全体の点検・清掃証明書の発行

専門業者

専門業者による定期清掃時

清掃記録・証明書を発行してもらい保管する

 (上記頻度の目安は一般的な参考値です。詳細は管轄の保健所または専門業者にご確認ください) 

自治体によってはグリストラップの清掃頻度に関する指導基準が設けられている場合があります。詳細は管轄の保健所または専門業者に確認してください。

 

グリストラップの廃液は「産業廃棄物」

グリストラップから除去した油脂・汚泥は、廃棄物の処理及び清掃に関する法律(廃棄物処理法)上、産業廃棄物(廃油・汚泥)に該当するとされています。これを一般廃棄物として家庭ゴミと同様に処分することは認められていません。

廃液の処理に関して気を付けるべきこと

・グリストラップの廃液・汚泥は産業廃棄物として適切な処理が必要

・産業廃棄物の処理は、許可を受けた産業廃棄物処理業者が行う必要がある

・廃棄物処理委託契約書・マニフェスト(産業廃棄物管理票)の保存が義務付けられている

・自社スタッフが無許可で廃液を下水に流すことは法令違反になる可能性がある

・詳細は管轄の自治体・産業廃棄物処理業者に確認してください

 

専門業者による定期清掃を依頼する場合は、廃棄物処理の許可を持つ業者かどうかを事前に確認してください。許可を持たない業者に依頼すると、不適切処理の連帯責任を問われる可能性があります。

本部が管理すべき4項目——グリストラップ台帳の設計

グリストラップ清掃を本部が管理するために最低限必要な情報は4項目です。これを店舗別・月次で管理する台帳を作ることで、「どの店舗がいつ清掃したか」が本部から確認できます。

 

グリストラップ台帳の基本4項目

管理項目

記録する内容

なぜ必要か

最終清掃日

スタッフ清掃の最終実施日・専門業者清掃の最終実施日(それぞれ)

清掃が適切な頻度で行われているかを確認するための基礎情報

担当(スタッフ or 業者)

実施者の区分・業者名(業者の場合)

日常清掃と専門清掃が正しく役割分担されているかを確認

異常の有無

清掃時に発見した異常(詰まり・臭い・油脂量の急増等)の記録

問題の早期発見と、異常が続いている店舗の特定

次回実施予定日

次の専門業者清掃の予約日

清掃の抜け漏れを防ぐための先手管理

 

台帳のサンプル(月次管理表)

店舗名

スタッフ清掃 最終実施日

業者清掃 最終実施日

業者名

異常の有無

次回業者清掃 予定日

ステータス

A店

毎日実施中

2026/05/15

○○清掃業者

なし

2026/08/15

正常

B店

毎日実施中

2026/03/10

○○清掃業者

あり(臭い)

調整中

要対応

C店

毎日実施中

2026/06/01

△△メンテナンス

なし

2026/09/01

正常

D店

不明

2025/11/01

業者未定

不明

未定

要確認

 

このサンプルを見ると、B店で異常(臭い)が発生しており、D店は業者清掃が8ヶ月以上行われていないことが読み取れます。台帳があることで「要対応」「要確認」の店舗を本部が即座に特定できます。

本部が確認すべき月次チェックの流れ

台帳を作るだけでなく、月次で確認するサイクルを設けることが定着の鍵です。以下のフローを月次の店舗確認に組み込むことで、グリストラップ管理が「現場任せ」から「本部で把握できる状態」に変わります。

 

月次チェックの流れ

タイミング

確認する内容

対応が必要なケース

月初(前月分の集計)

各店舗の業者清掃実施日・異常有無の報告が提出されているか

未提出店舗には確認連絡。異常ありの店舗には対応状況を確認

月中(次回清掃の確認)

翌月の業者清掃予約が入っているか

予約が入っていない店舗には速やかに手配を依頼

月末(問題店舗のフォロー)

「要対応」「要確認」ステータスの店舗に改善が見られるか

改善がない場合は本部担当者が直接確認・対応を支援

 

報告フォーマットはシンプルに保つ

店舗スタッフが月次で本部に送る報告フォーマットは、入力項目を最小限にしてください。「スタッフ清掃:毎日実施」「業者清掃:〇月〇日実施・業者名:〇〇」「異常の有無:なし/あり(内容:〇〇)」の3項目で十分です。入力が複雑すぎると、提出率が下がります。

グリストラップ清掃でよくある管理ミスと防ぎ方

 

ミス① 業者清掃の頻度が「担当者の感覚」で決まっている

「汚れてきたら頼む」という運用は、清掃が後手になりやすいです。業態・使用量・季節変動を考慮した上で、「◯ヶ月に1回」という頻度を本部が設定し、台帳で管理することが定期化の第一歩です。

 

ミス② 複数の業者を使っていて管理が分散している

店舗ごとに異なる業者を使っていると、本部が一元管理しにくくなります。可能であれば、複数店舗を担当できる業者との一括契約に切り替えることで、清掃証明書の形式統一・費用交渉・緊急対応の窓口一本化ができます。

 

ミス③ 清掃証明書を受け取っていない・保管していない

専門業者による清掃を実施しても、清掃証明書・作業記録を受け取っていないケースがあります。HACCP対応の衛生管理記録・廃棄物処理の証明として、清掃証明書は少なくとも1年分は保管することを推奨します(保存期間の詳細は管轄保健所・顧問税理士に確認してください)。

 

ミス④ 異常発見を「スタッフが我慢して営業を続ける」

臭い・詰まりの兆候があっても、スタッフが「自分で判断できない」「報告する方法がわからない」という状態では、本部に情報が上がらないまま問題が悪化します。「異常を発見したらすぐに本部に報告する」というルールと報告先を明文化することが、早期対応につながります。

 

「グリストラップの管理体制を整えたい」「複数店舗の定期清掃を一括で依頼したい」という場合は、飲食店の清掃・衛生管理に詳しい専門業者への相談が最短ルートです。

GF Maintenanceでは、店舗清掃全般の定期メンテナンスに対応しています。清掃証明書の発行も行っており、HACCP記録・廃棄物管理票の整備にもご活用いただけます。「複数店舗をまとめて管理したい」「清掃頻度の設計を相談したい」という段階からご相談ください。

よくある質問

グリストラップ清掃の頻度に法的な定めはありますか?

廃棄物処理法の観点から適切な管理が求められており、自治体によっては保健所の指導基準が設けられている場合があります。具体的な頻度の基準は業態・設備の規模・地域によって異なるため、管轄の保健所または専門業者に確認することを推奨します。

 

スタッフが自分でグリストラップを清掃してはいけませんか?

バスケットの清掃・水面の油脂除去などの日常清掃はスタッフが行うことができます。ただし、槽内部の汚泥・廃液の除去は産業廃棄物の適切な処理が必要であり、許可を持つ専門業者に依頼することが基本です。廃液を無許可で処理した場合、法令違反となる可能性があります。詳細は管轄の自治体に確認してください。

 

業者に清掃を依頼する際、何を確認すればいいですか?

産業廃棄物処理業の許可を持っているか、清掃証明書・廃棄物管理票(マニフェスト)を発行してくれるか、飲食店のグリストラップ清掃の実績があるかを確認してください。許可なく廃液を処理する業者に依頼すると、発注者側にも責任が及ぶ可能性があります。

 

清掃証明書はどのくらいの期間保管すればいいですか?

廃棄物処理法上、マニフェスト(産業廃棄物管理票)は5年間の保存義務があります(排出事業者)。清掃証明書については法定の保存期間の定めは一般的に設けられていませんが、HACCP対応の衛生管理記録として少なくとも1年分は保管することを推奨します。詳細は顧問税理士・管轄保健所に確認してください。

 

グリストラップがない店舗でも管理が必要ですか?

グリストラップの設置義務は自治体・物件の排水設備の状況によって異なります。設置されていない店舗では代替の油脂処理方法を確認し、適切な管理を行う必要があります。詳細は管轄の保健所または下水道管理者に確認してください。

まとめ|「やった記憶」から「記録で管理」へ

グリストラップ清掃は、記録がなければ本部から実態を把握できない設備です。「やったと思う」という管理からの脱却は、台帳に4項目を記録するだけで始められます。

 

① 最終清掃日(スタッフ清掃・業者清掃それぞれ)

② 担当の区分と業者名

③ 異常の有無(臭い・詰まり・油脂量の急増等)

④ 次回業者清掃の予定日

 

これを月次で本部が確認するサイクルを作ることで、「要対応」の店舗を早期に発見し、排水詰まり・悪臭・害虫発生のリスクを未然に防ぐことができます。

 

なお、清掃頻度の詳細・廃棄物処理の基準・保健所の指導内容は自治体・業態によって異なります。本記事はあくまで一般的な情報の整理を目的としており、具体的な基準の確認は管轄の保健所・専門業者への問い合わせをお願いします。