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外食産業の課題とは|未来の“食”を守る経営戦略ーmottECO(モッテコ)ー

作成者: 豊幡佳乃|Aug 27, 2024 8:58:57 AM

農林水産省の調査によると、令和3年度の食品ロス量は523万トン(前年度比+1万トン)に上りました。この523万トンの食品ロスは、単に廃棄されるだけでなく、約1.4兆円もの経済的損失をもたらしています。言い換えれば、私たちは食べ物だけでなく、自分たちの資源やお金も捨てていることになるのです。

mottECO(モッテコ)とは?

この深刻なフードロス問題に対応するため、環境省、消費者庁、農林水産省が連携して「mottECO(モッテコ)」という取り組みを始めました。mottECOは、飲食店で食べきれなかった料理を自己責任で持ち帰る行為を推進する活動です。この取り組みを通じて、「食べ残したものを持ち帰り、ゴミにしない文化」を広めることが目指されています。

 

さらに、この取り組みの拡大を目指して「mottECO普及コンソーシアム」が結成され、2024年7月26日には、食べ残し持ち帰りの普及を推進する講演会が開催されました。現在、外食業界、ホテル業界、中食業界を含む21の企業・団体がこのコンソーシアムに参加しており、mottECOの普及を支援しています。

外食産業において、フードロスの削減は単なる社会貢献ではなく、ビジネス戦略としても非常に重要です。特に、消費者の環境意識が高まっている今、持続可能なビジネスモデルを採用することは、企業にとって差別化のポイントとなります。mottECOに参画することは、SDGsへの貢献の一環であり、また「mottECO」加盟店としての認知度が高まることで、消費者の選択基準に影響を与え、店舗の集客にもつながる可能性があります。

要するに、フードロス削減の取り組みは、企業にとって単なるコスト削減やCSR活動ではなく、今後の持続可能な成長を支える重要な要素なのです。企業としてこの動きに積極的に関わり、消費者に支持されるブランドを築くことが、外食産業の未来を左右すると言えるでしょう。

2025年現在の動向は?

2025年の外食産業において、mottECOへの参画は「特別な先進事例」ではなく、持続可能な店舗経営を目指す上での現実的な選択肢の一つとなりつつあります。フードロス削減を通じて、経営効率の向上と消費者からの信頼獲得を同時に実現できる点が、今後さらに評価されていくと考えられます。

 

飲食店経営者の視点から見るmottECOの意義とは?

2025年現在、外食産業は原材料費の高騰、人手不足、最低賃金の上昇、光熱費の増加など、複数の経営課題に同時に直面しています。こうした環境下で、飲食店経営者にとって重要なのは、「仕入れた食材をいかに無駄なく売上につなげるか」という視点です。

フードロスは、単なる廃棄問題ではなく、廃棄にかかる処理費用、廃棄される食材原価、仕込みや調理にかけた人件費など、目に見えにくいコストを積み重ねています。mottECOのような取り組みは、環境配慮にとどまらず、こうした経営ロスを見直すきっかけとしても注目されています。

フードロス削減というと、現場オペレーションの複雑化やスタッフ負担の増加を懸念する声も少なくありません。しかしmottECOは、食べ残しの持ち帰りをお客様の自己責任で行うことを前提としており、店舗側の対応はルールの明示や容器の準備など、比較的シンプルなものから始めることが可能です。そのため、小規模店舗や個人経営の飲食店、人手不足に悩む店舗でも導入しやすい現実的なフードロス対策と言えます。

また、2025年の消費者は「価格の安さ」だけで店を選ぶ時代ではなくなりつつあります。環境への配慮や社会課題への姿勢といった価値観に共感できるかどうかが、店舗選択の一因となっています。mottECOへの参画は、「食を大切にしている店」「無駄を減らそうとしている店」というメッセージを自然に伝える手段となり、価格競争に依存しない“共感型の店づくり”にもつながります。

フードロス削減は、もはや「守り」のCSR活動ではなく、経営の質を高める「攻め」の戦略へと変化しています。mottECOの取り組みを通じて、食材管理やメニュー構成の見直し、スタッフのコスト意識向上といった副次的な効果も期待できます。環境対応と経営改善を同時に進められる点で、mottECOは外食産業における持続可能な成長を支える、現実的かつ重要な経営戦略の一つと言えるでしょう。