閉店を考えるとき、「終わり」という言葉が頭に浮かぶかもしれません。でも本当にそうでしょうか?
実はそれ、新しいスタートのチャンスかもしれません。
長年走り続けてきた飲食店オーナーの皆さまにとって、閉店という選択は、次なるステージに向かうための
大切な一歩です。
飲食業界では10年、15年と営業を続けた後、環境やライフスタイルの変化、体力的な理由などから「今が潮時」と考える方が増えています。
ですが、事前に正しい準備を行うことで、店舗設備の売却や原状回復費用の最適化など、損をせずに
閉店を進めることが可能です。
本記事では、閉店を前向きな選択肢として捉え、損失を最小限に抑えながら次の一歩へと進むための
具体的な方法を、わかりやすく紹介します。
思い立ったその時こそ、チャンスの兆し。
閉店の前に「やるべき3つの確認事項」で、トラブルを未然に防ぎましょう。
閉店を意識し始めた際に、まず取り組んでいただきたいのが「経営状態の棚卸し」です。
これにより、その後の売却交渉や設備の買い取り、処分で、より有利に話を進めることができます。
売上や来店数、客単価などの推移(6か月〜1年分)を確認しておきましょう。
売上減少の原因が明確になれば、飲食店の閉店時に適正な買取価格・売却価格を提示する材料にもなります。
家賃・光熱費・通信費・リース料などの固定費、原価や人件費などの変動費を正確に把握しましょう。
経費の見直しにもつながります。
返済スケジュールを整理し、補助金や融資の残高を明確にしましょう。
「持続化補助金」や「業態転換支援」など、飲食店向けの支援制度の活用も検討しましょう。
「まだ頑張れるかもしれない」――そう思いながら、毎日が過ぎていませんか?
迷ったときこそ、客観的な視点で今を見つめ直してみましょう。
以下のチェックリストをもとに、現在の経営状態を自己診断してみましょう。
→ 賃料の支払いが厳しい状態は、資金繰りが限界に近づいているサインです。
→ 新規集客に投資できなければ、売上の回復は難しくなります。
→ 問題の原因が不明なままでは、どんな改善策も効果が出ません。
→ モチベーションや資金面の限界が迫っている可能性があります。
複数項目が該当するようであれば、「閉店」という選択肢も前向きにご検討ください。物件を売却すれば、次のビジネスへの資金源にもなります。新しいチャレンジに踏み出すチャンスと捉えましょう。
「まだいけるかも」と思っているうちに、売り時を逃していませんか?実は、ベストなタイミングには明確なサインがあります。飲食店の閉店や売却では、「いつ行動に移すか」が成功の分かれ道になります。タイミング次第で、売却金額や条件が大きく左右されることもあるのです。
→ 売上実績を示しやすく、買い手が見つかりやすい時期です。
→ 解約金を避けるためには、更新タイミングをよく確認し、事前に準備することが重要です。
更新後に解約すると、違約金が発生するケースもあるため、スケジュールは要チェックです。
閉店準備で見落としがちなのが「賃貸契約書の確認」です。
契約内容によっては費用やスケジュールが大きく変動するため、事前確認は必須です。
【契約書で確認する箇所】
① 解約予告期間(多くの場合は3か月前)
② 原状回復の範囲(壁紙・床・看板・ダクトなど)
③ 違約金や更新料の有無
④ 敷金・保証金の精算条件
⑤ オーナーや管理会社との事前打ち合わせ日程
契約書をよく確認し、事前に関係者と丁寧にすり合わせを行うことで、トラブルを未然に防ぐことができます。
「設備そのまま」「手間いらず」で売却できる方法、ご存じですか?実は今、「居抜き売却」が注目を集めています。
厨房や内装をそのまま次のオーナーに引き継げるため、開業コストを抑えたい買い手に人気です。特に駅近や希少立地の物件は高額で売却されやすく、売主にとっても好機。今こそ、居抜き物件のニーズが高まっている「売り時」といえるでしょう。
「売れるお店」と「売れないお店」、その違いはどこにあるのでしょうか?実は高く売れる物件には共通する特徴があります。買い手にとって魅力的な店舗の共通点をチェックしておきましょう。
・駅近、人通りが多い立地
・清潔で手入れの行き届いた内装
・柔軟な間取り
・別業態でも使いやすい
・インフラ(電気・ガス・水道)が整っている
・空調・換気設備が良好
・駐車場や搬入スペースがある
・営業許可や契約の引き継ぎが可能
居抜き売却には大きく分けて「自力で行う方法」と「専門業者に任せる方法」があります。
SNSや知人を通じて買い手を探す自力売却は自由度が高い一方、交渉に手間や時間がかかったり、
法的リスクを抱えることも。
そのため、居抜き売却は「業者におまかせする」のが断然お勧めです!
【専門業者に任せるとこんなことをしてくれます】
・価格査定や買主との交渉を代行
・販促支援で早期成約の可能性アップ
・契約書や法務チェックも代行
・引き渡しスケジュールの調整
・税務
・法務の専門家による助言
安心して任せたい方には、e店舗などの専門サービスの活用がおすすめです。
「閉店後に税務署から連絡が…!?」そんな事態を防ぐために、官公庁への届け出は忘れずに。
閉店後に後悔しないためにも、各種手続きは抜け漏れのないよう事前に確認しましょう。
【税務署】
・廃業届出書の提出
・消費税関連の届出(課税業者選択不適用届など)
【保健所】
・営業許可証の返納
・使用中止の設備の報告
【消防署】
・火気・防火対象物の使用終了届
・所轄署への指示確認
これらの手続きを怠ると、後から余計な費用が発生する可能性も。事前の準備が大切です。
【ライフライン等手続き編】
「電気を止め忘れて請求が…!?」そんな失敗をしないために、閉店前のインフラ整理は必須です。
特に「止める日」の指定や、違約金の有無を必ず確認しましょう。
・電気、ガス、水道の解約
・インターネット、電話の契約終了
・廃棄物処理業者との解約
・決済端末の解約(Square・AirPayなど)
早めの手続きで、余計な費用発生を防ぎましょう。
閉店は「終わり」ではなく「関係の再スタート」です。信頼を保つ対応が、次のチャンスにつながります。閉店が決まったら、まずはお世話になった取引先へ誠実に連絡しましょう。トラブルを防ぎ、良好な関係を築いたまま終えられるかどうかは、初動がカギを握ります。
・閉店日と理由(簡潔に)
・最終納品
・サービス終了日
・返却スケジュール
・未払金の支払方法
・契約終了通知書
・返却確認書
・精算記録表
「原状回復は内装を戻すだけ」と思っていませんか?
実は、原状回復には多くの見落としポイントがあります。トラブルの多くが起こるのが原状回復工事。
以下のポイントを事前に把握し、安心して退去日を迎えましょう。
壁紙・床材・照明・看板・配線・ダクトなど、多くのパーツが対象になる場合があります。
厨房機器や棚も撤去対象となることがあります。
★point★ 居抜き売却できれば、原状回復を大幅に省略できる可能性も!
契約書によっては、オーナー指定の業者に限定されるケースがあります。
費用交渉や仕様変更が難しくなるため、必ず契約内容を確認しましょう。
原状回復は金額差が大きいため、複数社から見積もりを取り比較しましょう。
1〜2ヶ月前の準備が理想です。
「返ってくるはずの保証金が戻らない…!?」
そんな後悔を防ぐために、交渉術と確認ポイントを押さえておきましょう。店舗を退去する際は、家賃・保証金の扱いで思わぬトラブルに発展することもあります。事前確認と書面でのやり取りが重要です。
原状回復費用が差し引かれるのが一般的ですが、「償却」「退去時精算」のルールは必ず契約書で
確認をしましょう。
破損や修繕箇所を現地で確認し、書面に残しましょう。後の追加請求を防げます。
日割り精算の有無や翌月分の支払い後の精算タイミングも契約書で明確にしましょう。
返金時期・金額・明細も記録しておくと安心です。
「捨てるなんてもったいない!」厨房機器や備品は、立派な「資産」です。上手に活用して、利益に変えましょう。
閉店時の設備・備品は、方法次第で「処分」ではなく「収益」になります。以下の4つの方法を状況に応じて選びましょう。
・専門業者にまとめて見積もりを依頼
※特に冷蔵庫、オーブンなどは中古市場で需要が高い
・メルカリ、ジモティー、ラクマなどを活用
・食器やディスプレイ用品なども売却可能
・地域の飲食店や開業準備中の知人へ提供
・信頼関係の維持にもつながる
・賞味期限内の未開封品はフードバンク等へ
・廃棄費用削減&社会貢献につながる
「何から始めればいいの?」と迷ったら、5ステップの流れに沿えば安心です。
初めてでも確実に売却できます。
・譲渡金額、引き渡し日、設備範囲を確認
・オーナーの承諾の有無も早めにチェック
・設備リストや手付金、責任分担を明記
・借主変更の可否や再契約の必要を確認
・原状回復の範囲についても打ち合わせ
・設備の撤去or残置、保証書や図面の準備
・契約どおりに引き渡し、代金と保証金を清算
・報告書や確認書も忘れずに
「自分でなんとかしよう」と悩んでいませんか?そんなときこそ、プロのサポートで一気に前進できます。
閉店や売却の手続きを一人で抱えるのは、想像以上に大変です。特に以下のような状況にある場合は、専門家に相談することで安心して次のステップに進めます。
・居抜き売却がなかなか進まない
・原状回復の範囲や費用が分かりにくい
・廃業手続きが煩雑で時間が取れない
・地元の商工会…経営判断、事業整理のアドバイス
・創業支援センター…事業譲渡の相談に対応
・飲食業専門の不動産業者…売却・買い手探しのサポート
「このままで本当にいいのか…」と悩んでいるあなたへ。
閉店のその先へ進むための「頼れる味方」がいます。
飲食店の閉店は、けっして「失敗」ではありません。
大切なのは、次に進むための準備を、しっかりと行うこと。
居抜き売却や手続きに不安がある方は、一人で悩まず、プロのサポートを受けることをおすすめします。
e店舗は、飲食店舗に特化した物件プラットフォームです。
飲食店の閉店は、人生やビジネスの中で訪れる大切な転換点です。
正しい知識と準備があれば、損失を抑え、次のステップへとスムーズに進むことができます。
迷ったときは、一人で抱え込まず、専門家の力を借りながら「未来志向」で選択をしていきましょう。