HOME

【原価率35%超えは危険信号】飲食店が儲からない本当の原因と数字の改善ポイント

作成者: 豊幡佳乃|Apr 6, 2026 1:00:00 AM

はじめに|飲食店経営に「難しい数字」は必要ありません

飲食店を経営していると、「原価率」「客単価」「利益率」などの言葉をよく耳にします。

しかし、
「数字が苦手でよく分からない」
「計算と聞くだけで避けたくなる」という店長さん・経営者さんも少なくありません。

 

“安心してください!”


飲食店経営に必要な数字は、中学レベルの算数で十分です。

本記事では、算数が苦手な飲食店経営者さんでも理解できるように、原価率と客単価の基本ルールを、専門用語を使わず、実務目線で解説します。

飲食店経営で「数字」が苦手だと何が起きる?

飲食店経営で数字を避けてしまうと、知らないうちに損をしているケースが多くあります。

なぜなら、
数字は「経営の結果」を教えてくれるサインだからです。

原価率や客単価を把握していないと、忙しいのにお金が残らない、値上げしても利益が増えない、といった状態に陥りやすくなります。

 

「なんとなく経営」が続くとどうなる?

数字を見ずに経営していると、判断基準が感覚だけになります。

例えば、
「今日はお客さんが多かった」
「このメニューは人気がある気がする」
といった印象だけで判断してしまいます。

しかし実際には、売れていても原価率が高すぎて利益が出ていない、ということも珍しくありません。

 

数字は「敵」ではなく「味方」

数字は、店長さんを責めるものではありません。

「どこを直せば楽になるか」
「どこを変えれば利益が出るか」
を教えてくれる、経営のヒントです。

最低限の数字だけ押さえれば、飲食店経営はぐっと楽になります。

まず押さえたい!飲食店の「原価率」とは?

飲食店経営で、最初に理解しておきたい数字が原価率です。

原価率とは、「売上に対して、食材費がどれくらいか」を表す数字です。

 

飲食店の原価率はどうやって計算する?

計算はとてもシンプルです。

 

原価率(%)= 食材原価 ÷ 売上 × 100

 

例えば、
売上が10万円で、食材費が3万円の場合、原価率は30%になります。

難しい計算は一切ありません。

 

飲食店の原価率は何%が目安?

一般的に、飲食店の原価率は 30%前後 が一つの目安と言われます。

これは、売上のうち約3割が食材費、残りの7割で人件費や家賃、光熱費、利益をまかなう、という考え方に基づいています。

ただし、
この30%という数字は、すべての飲食店に当てはまる「正解」ではありません。

 

例えば、
原価の高い食材を使う業態や、ランチ中心で単価が低い飲食店では、原価率が30%を超えることも珍しくありません。

 

一方で、
ドリンク比率が高い店舗や、回転率の高い飲食店では、原価率が25%前後に収まるケースもあります。

 

大切なのは、「他店と比べて高いか低いか」を気にすることではなく、自店の原価率がどのくらいなのかを把握することです。

まずは、今月の売上と食材費をざっくり計算し、「だいたい何%くらいか」を知るだけで十分です。

そこから少しずつ、高くなりやすいメニューや、利益が出にくい部分を見直していくことが、無理のない飲食店経営につながります。


原価率が高すぎると飲食店はどうなる?

原価率が高くなりすぎると、どれだけ売ってもお金が残りません。

これは、材料費が利益を圧迫している状態です。

「値上げしたいけど、お客さんが離れそうで怖い」そう感じる飲食店店長さんは少なくありません。

特に常連さんが多いお店ほど、
価格を変えることに強い抵抗を感じやすいものです。

ですが実務では、
値上げできない原因が原価率の高さにあるケースがよくあります。

原価率が高いままでは、来店が多くても利益は残りにくく、「忙しいのにお金が増えない」状態になりがちです。

 

全メニューを値上げする必要はない

ここで大切なのは、感情と数字を分けて考えることです。

原価率を確認すると、

・原価率が40%を超えているメニュー
・仕入れ価格が上がったままの料理
・量が多すぎて利益が出ていない一品

といった、見直すべきメニューが見えてきます。

この場合、
一律値上げではなく、

・価格を少し調整する
・量や盛り付けを見直す
・仕入れ先を変更する

といった対応で改善できることも多いです。

原価率は、値上げを決めるための数字ではなく、どこを直せばいいかを教えてくれる数字です。

数字を見て整理すれば、無理のない判断ができるようになります。

飲食店経営でもう一つ大切な数字「客単価」とは?

原価率と並んで、飲食店経営で必ず押さえておきたい数字が客単価です。

客単価とは、「お客さん一人あたりが、平均でいくら使っているか」を表す数字です。

売上が同じでも、客単価が高いか低いかで、経営の安定度は大きく変わります。

「忙しいのにお金が残らない」と感じているお店は、客単価に原因があるケースも少なくありません。

 

客単価はどうやって計算する?

客単価の計算方法は、とてもシンプルです。

 

客単価 = 売上 ÷ 客数

 

例えば、
1日の売上が5万円で、来店したお客さんが50人の場合、客単価は1,000円になります。

この数字を、1日・1週間・1か月単位で見ることで、売上の傾向がつかみやすくなります。

 

客単価が分かると何が変わる?

客単価を把握すると、「売上をどう伸ばすか」の考え方が整理されます。

 

例えば、

・客数を増やす必要があるのか
・一人あたりの注文数を増やすべきか
・セットや追加注文を考えるべきか

 

といった判断が、感覚ではなく数字でできるようになります。

 

さらに、「自店の客単価は低いのか、高いのか」という基準も見えてきます。

 

一般的な目安としては、

・ランチ中心の飲食店:800〜1,200円前後
・ディナー中心の飲食店:3,000〜4,000円前後
・居酒屋業態:2,500〜3,500円前後

 

が一つの参考ラインになります。

 

ただし、大切なのは平均値に合わせることではありません。

今の客単価から、まず+100〜200円を目指す
だけでも、月の売上や利益は大きく変わります。

無理に集客を増やさなくても、客単価を少し上げる工夫をすることで、経営が安定しやすくなるのが大きなポイントです。

原価率と客単価はセットで考えよう?

原価率と客単価は、どちらか一方だけ見ても意味がありません。この2つは、必ずセットで考える必要があります。

原価率は「どれだけコストがかかっているか」、客単価は「一人からいくら売れているか」を示しています。

どちらかが崩れると、売上があっても利益が残りにくくなります。

 

原価率と客単価、どちらを先に見直すべき?

原価率と客単価は、同時に考えるのが理想ですが、実務では「どこから手をつけるか」が重要になります。

判断のヒントは、今の店舗がどんな状態かです。

 

例えば、

・客数は多いのに、利益が残らない
・忙しい割に、手元にお金が残らない

この場合は、原価率が高すぎないかを先に確認する必要があります。

なぜなら、
原価率が高い状態では、売上が増えても、その分コストも一緒に増えてしまうからです。

このまま客単価を上げても、増えた売上が材料費に消えてしまい、利益は思ったほど残りません。

 

まずは原価率を把握し、
「どのメニューが利益を圧迫しているのか」を確認することで、はじめて客単価を上げる判断がしやすくなります。

 

一方で、

・原価率はそこまで高くない
・売上が伸び悩んでいる

という場合は、客単価を「仕組み」で引き上げる余地があります。


値上げをしなくても、メニュー設計次第で一人あたりの売上は十分に改善できます。

例えば、以下のような小さな工夫だけでも効果があります。

・「あと一品」を自然に誘導する「とりあえず」メニューの強化
 → 客単価 +150円

・ドリンクのメガジョッキおかわり割引の導入
 → 客単価 +300円

・人気メニューを組み合わせた「松・竹・梅セット」の作成
 → 客単価 +500円

客単価が300円上がるだけでも、
1日50人来店する店舗なら 1日+15,000円、月間で約45万円の売上増 になります。
原価率が同じであれば、その分利益改善に直結します。

大切なのは、
「なんとなく値上げする」「なんとなく量を減らす」ことではなく、数字を見て、先に直すべきポイントを判断することです。

数字が苦手な飲食店店長でもできる実践ルール

最後に、
算数が苦手な店長さんでもできる、
最低限のルールをまとめます。

 

まずは月1回、数字を見るだけでOK?

飲食店経営では、毎日細かく数字を追う必要はありません。

まずは月に1回、

・原価率
・客単価

この2つだけを確認しましょう。

ポイントは、
「正解かどうか」より「先月と比べてどう変わったか」を見ることです。

例えば、

・原価率が少し上がっていないか
・客単価が下がっていないか

この変化に気づけるだけでも、仕入れやメニューを見直すきっかけになります。

数字を見る時間は、月に10分程度でも十分です。

 

完璧を目指さなくていい?

飲食店経営で数字を見る目的は、正解を出すことではありません。

大切なのは、
「このまま続けて大丈夫か」を判断することです。

例えば、

・原価率が30%台から40%近くに上がっていないか
・客単価がじわじわ下がっていないか

この2点が分かれば、仕入れやメニュー構成を見直す判断ができます。

数字が多少ズレていても、判断が間違わなければ実務上は問題ありません。

原価率が高ければ原価を下げる。
客単価が落ちていれば、セットや追加注文を考える。

数字は、行動を決めるための「きっかけ」として使いましょう

 

飲食店経営:算数が苦手な店長のための数字チェックリスト

「なんとなく経営」からの脱却

  • [ ] 感覚の疑い:「今日は忙しかった」という印象だけでなく、数字という「経営の結果」を見る心の準備ができているか?
  •  
  • [ ] 数字を味方にする:数字を自分を責めるものではなく、「どこを直せば楽になるか」のヒントとして捉えられているか?
  •  
  •  

原価率の把握(食材費の管理)

  • [ ] 基本の計算:「食材原価 ÷ 売上 × 100」というシンプルな計算式を覚えたか?
  •  
  • [ ] 自店の目安を知る:一般論の「30%」に縛られすぎず、まずは自店の現在の原価率を算出しているか?
  •  
  • [ ] メニューの見直し:原価率が高すぎて利益を圧迫しているメニューがないか、数字を元に確認したか?
  •  
  •  

客単価の把握(売上の質の管理)

  • [ ] 客単価の算出:「売上 ÷ 客数」で、お客様一人あたりの平均売上を出しているか?
  •  
  • [ ] 売上アップの方針決定:「客数を増やす」べきか「一人あたりの注文数を増やす」べきか、客単価を元に判断できているか?
  •  
  •  

利益を残すためのセット思考

  • [ ] セットで考える:原価率と客単価のどちらか一方だけでなく、両方のバランスを同時に見ているか?
  •  
  •  

継続のための実践ルール

  • [ ] 月1回の定点観測:毎日ではなく、まずは「月に1回」だけ数字を確認する習慣を作っているか?
  •  
  • [ ] 完璧主義の排除:正確さよりも数字の「傾向」をつかむことを優先し、無理なく続けられているか?

まとめ|飲食店経営の数字は「怖くない」

飲食店経営に必要な数字は、決して難しいものではありません。原価率と客単価を知るだけで、売上や利益の見え方は大きく変わります。

算数が苦手でも大丈夫です。まずは「知ること」から始めてみましょう。