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36協定の届出方法をわかりやすく解説|提出手順・期限・罰則まで完全ガイド

作成者: 青山萌依|Oct 21, 2025 12:36:24 AM

働き手が誇りを持てず、持続可能な経営が難しいという、より根本的な構造的問題を抱えている飲食業界。だかよく働き方改革が話題となる今日、重要なキーワードに36協定があります。

 

「36協定とはそもそも何?」
「36協定を違反するとどのような罰則になる?」
「36協定は外国人にも採用される?」

 

外国人採用をする際に、このようなお悩みを持つ方もいらっしゃるのではないでしょうか。外食産業においては従業員と36協定を締結することが通例となっている一方、36協定違反事例も散見されています。

 

36協定は労働基準法36条基づいて企業と労働者の間で締結する労使協定のため外国人の就労者にも適用されます。

 

本記事では、36協定に違反するとどのような罰則が与えられてしまうのかを、実際の罰則例と共に解説しますのでぜひご覧ください。

なお弊社G-FACTORY株式会社では、飲食業界の人材不足を解消するため外国人人材の採用支援から就労者の特定技能ビザ取得支援など企業側の受入支援、在留資格の取得更新支援まで外国人人材の採用サポートを一気通貫で行っています。

 

自社の飲食店で、外国人材雇用による人材不足の解消を図りたい企業様は、以下のページからお気軽にご連絡ください。

 

 

36協定とは?

36協定とは、時間外労働や休日労働などに関して、労働者と使用者の間で締結する協定を指します。労使間で協定内容の同意後、労働基準監督署長に届け出ることで、効力を発揮します。

 

名前の由来は労働基準法第36条に関する協定であることから、36協定と呼ばれています。

出典:e-Gov法令検索「労働基準法 第三十六条」

 

36協定に関する詳しい解説は、こちらの記事で行っていますので、ぜひ参考にしてください。

36協定をわかりやすく解説!時間外労働の上限と特別条項のポイント(リンク)

 

また、日本で働く外国人にも36協定をはじめとした労働関連法令は適応されることにも注意が必要です。

 

36協定が必要な理由とは?

労働基準法では、労働時間の上限や休日労働について厳格な規定があります。具体的には、法定労働時間は「1日8時間、週40時間」と定められており、この範囲を超える労働に対しての規定です。36協定の締結がない場合には、時間外労働、休日労働については一切認められていません。

 

これは、労働者の健康や安全を守るために設けられた法律であり、使用者側が一方的に決定することはできません。使用者と労働者の代表者との話し合いを通じて決定することが求められます。

 

36協定を締結することは企業側にもメリットがあります。

 

飲食店では、締め作業が間に合わなかったり、予想よりお店が込んだりすることで、短時間の残業が発生することが多々あるかと思います。そういった残業が連続してしまうと、現場から不満の声が上がりやすくなりますが、36協定の締結があれば使用者側の権利も守ることができます。

 

そういった観点からも36協定は必須の取り決めと言えるでしょう。

 

一方で、36協定は労働に関する強い効力を持っていますので、36協定の範囲を超える労働があった場合には、刑事的、民事的な責任が発生することとなります。

 

36協定の新様式とは?

36協定届は法改正によって、取り決め内容を明確に示すことが重要になったことを背景に、2021年4月から新しい様式となりました。

 

変更点は主に以下の4つです。

・36協定届に署名・押印が不要になった

・労働者代表に関してのチェックボックスが新設

・電子申請が可能に

・特別条項付と一般条項で書式が変更

 

新様式の36協定届には署名・押印が必要なくなり、電子申請も可能になったため、スムーズな締結が行えるようになりました。一方で、36協定届を「協定書」として使用する場合や、協定書自体には、労使間の合意証明として、署名が必要です。

 

また、36協定で重要になる労働者側の代表者が適切かどうかを確認するチェック項目が増設されています。主には、労働者側と言いつつも、使用者と同じような立場ではないか、使用者の意向が反映されていないか、代表者は労働者全員から支持されているかという項目です。

 

このチェックボックスがどれか一つでも満たされていない場合、36協定は締結しても効力を発揮しません。

 

さらに、通常の時間外労働の条件「1ヶ月45時間、1年で360時間」を超えて、さらに時間外労働が必要になる場合の特別条項と呼ばれる届出の内容が盛り込まれ、記入すべき項目が増えています。

 

新様式移行後も、旧様式は使用可能ですが、内容は新様式に倣う必要があるため、これから新に締結、更新する場合には新様式の利用を推奨します。

 

36協定届は、厚生労働省のこちらのサイトからダウンロード可能です。

時間外・休日労働に関する協定届(36協定届)

 

36協定は在留資格を持つ外国人にも適応される?

結論からいうと、36協定のみならず労働関連法令は外国人にも適用され、就労した外国人にも日本人同様に36協定に基づいた、時間外労働、休日労働の制限があります。

 

注意点として、36協定の前段階として、外国人の在留資格別に労働時間の制限があります。

 

詳細な分類は以下のように定められています。

 

種別

在留資格

制限あり

留学
家族滞在

特定活動

インターンシップ(給与あり)

制限なし

その他の就労区分

特定技能

技能実習

ワーキングホリデー

インターンシップ(給与なし)

就労不可

資格外活動許可を取得していない外国人

 

在留資格を取得していても、出入国在留管理庁から資格外活動の許可を得られていない場合、就労することはできません。

 

また、資格外活動を取得していても、労働時間は1週に28時間までの制限があります。

 

特定技能とは、日本の深刻な労働力不足解消を目的に、一定の専門性や技能を持つ外国人に対して発行される特別な資格です。2019年に新設された制度であり、様々な企業が採用活動を行っています。

 

特定技能について、詳しくはこちらの記事で解説していますので、ぜひご覧ください。

特定技能とはどんな制度?技能実習との違いや取得方法、採用するメリットを解説(リンク)

 

36協定を違反してしまった場合の罰則について

36協定を締結させずに、法定労働時間を超える労働をさせた場合、もしくは36協定の範囲を超える時間外労働をさせた場合は、企業と経営者に6か月以下の懲役または30万円以下の罰金が科される可能性があります。

 

 特別条項付き36協定に違反した場合の罰則も同様です。

 

また、労働基準監督署からの是正指導が行われ、必要に応じた改善報告を求められる可能性があります。指導に従わない場合は、労働関係法令違反として、刑事告発される可能性があります。

 

しかし、36協定違反による罰則は刑事的なものだけではなく、民事的なもの、社会的なものもあります。

 

例えば、使用者から直接民事責任を追及される可能性です。体調やメンタルを崩してしまった際に、違法な長時間労働が原因だと裁判を起こされ、責任が認められた場合には、損害賠償請求が科される可能性があります。

 

さらに上記のような問題が発生したことがニュースなどで取り上げられると、社会的なイメージの低下によって新規採用が困難になったり、不買運動につながることも挙げられます。

 

そのため、労働関連法令に対しては、企業として慎重に対策していかなればいけません。

 

36協定違反が発覚する3つの理由

36協定に違反すると刑事罰だけでなく、民事的、社会的にも大きな損失を産む可能性を解説しました。

 

では、労使間での協定である36協定はどのような場合に発覚してしまうのでしょうか。

主な例は以下の3つです。

・臨検監督による調査
・従業員からの通報
・労働災害による調査

 

詳しく解説します。

 

臨検監督による調査

臨検監督とは、労働基準監督署によって労働関連法令への違反がないかを確認する調査です。

 

タイムカード、労務関係書類の確認と、労働者と使用者双方への聞き取りを行います。

 

臨検監督には2パターンがあり、従業員からの通報を受けて臨時で行う申告監督と、計画に基づいて実施させる定期監督があります。

 

ここで問題が発見されると、前述の刑事罰や是正指導の対象となります。

 

従業員からの通報

労働環境に問題を感じた労働者が、直接労働基準監督署へ相談するパターンがあります。これが俗に言う「労基に駆け込む」状態を指します。

 

労働基準監督署は、従業員からの通報を受けると、提出された通報内容を精査し申告監督を実施する必要があるかを判断します。

 

労働災害による調査

労働災害による調査とは、例えば自殺などの労働災害がきっかけとなり、労働基準監督署が調査を行うことがあります。

 

自殺された方の長時間労働が認められると、自殺理由が労働災害となり、さらに重い処分が下される可能性があります。

 

36協定違反による罰則事例を紹介

悪意のある長時間労働はもちろん問題ですが、36協定は仕組みの複雑さから、意図せず違反してしまっていることがあります。

 

今回は以下の3事例をご紹介します。

  • ・事例1 外国人アルバイトを週28時間以上働かせた
  • ・事例2 36協定を結ばずに時間外労働をさせた
  • ・事例3 36協定を超える残業が発覚した

 

事例1 外国人アルバイトを週28時間以上働かせた

外国人の法定労働時間は28時間ですが、労働者が掛け持ちしている場合でも28時間を超えることはできません。自社では仮に10時間でも他社で18時間を超えている場合は違反となってしまうのです。

 

そのため、労働者が他の企業での掛け持ちをしていないか、している場合にはどのようなシフト状況かを管理することが必要です。

 

事例2 36協定の内容にミスがあった

36協定届は厳密に記入方法が定められています。


意図せず内容を満たしていないものを提出してしまうと、36協定そのものが無効となり時間外労働全てが違反となってしまいます。

36協定を締結する際には、社労士など、法令に精通した専門家による支援をお勧めします。

 

事例3 36協定を超える残業が発覚した

特別条項付き36協定は以下の4つの条件が必要です。


・年間720時間以内の時間外労働
・時間外労働と休日労働の合計が月80時間以内(2〜6ヶ月の平均)
・月の合計が100時間未満となる時間外労働と休日出勤
・1年のうち6ヶ月間に限り月45時間を超えた時間外労働が可能


これらの条件を満たさずに、上限をオーバーした労働をさせてしまうと違反となります。

 

まとめ

本記事では、36協定に違反するとどのような罰則が与えられるか、どのような場合に違反になってしまうかを解説しました。

 

36協定は労使双方を守るための協定のため、慎重な締結が必要です。

 

また、外国人労働者に関しても、36協定が適用されますが、在留資格ごとに適切な管理が必要です。

 

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