「BGMを流してただけなのに、違反になるなんて…」
「バイトが勝手に流してもお店の責任に⁉」
そんなトラブルが、あなたの店にも起こるかもしれません。
飲食店でBGMを流すことは、雰囲気づくりに欠かせません。BGMの有無によってお客様の滞在時間が変わったり、リピーターになってもらえるかどうかにまで影響することも。まさにBGMは「無言の接客ツール」と言える存在です。
しかしその一方で、「小さなお店だから関係ない」と思っていたら、思わぬトラブルに発展し、訴えられてしまうこともあります。
特に近年では、SNSでの炎上やクレームから著作権管理団体に通報されるケースも増えており、他人事では済まされなくなっています。
今回は、中小規模の飲食店の経営者や店長に向けて、 「著作権違反にならないBGMの正しい使い方」をわかりやすく解説します。
お金を払って買ったCDや音楽ダウンロード。「自分で購入したんだから、自由に流しても大丈夫」と思っていませんか?
実はこれ、著作権法の考え方とはズレています。
市販のCDやダウンロード音源は、”個人利用”を前提としており、「家庭内など限られた範囲で楽しむ」ことが目的です。 店内で流すのは「公の場での再生」にあたり、著作権の対象になります。
つまり、たとえ CDを買っていても、著作権者やその管理団体の許可がなければ、流すことは違反になる場合があります。
「うちは10席しかないから大丈夫」
「個人経営だし、誰も見ていないだろう」
と考えるのは大きな誤解です。 広さや規模に関係なく、「不特定多数の人に音楽を聴かせているかどうか」で判断されます。
むしろ 小さなお店ほど著作権に関する認識が甘く、対応が遅れてしまいがちです。そしていざ問題が発覚すると、「知らなった」では済まず、損害賠償請求やSNSでの炎上といった深刻な事態に。
「演奏権」とは著作権のひとつで、「音楽を公の場で演奏・再生する権利」です。店内でBGMを流すのも、「公の場での演奏」として扱われます。
そのため 店内でBGMを流すには、この演奏権を管理する団体に使用料を支払う必要があります。
JASRACなどの著作権管理団体と契約することで、合法的にBGMを流すことができます。
スマホ1台でBGMを流せる便利な時代。しかし、その「便利さ」が思わぬ違反につながることも。
スマホからスピーカーでBGMを流すと、「公衆送信」とみなされる可能性があります。
ここでいう「公衆送信」とは、インターネットや通信回線を使って、不特定多数の人に音楽などのコンテンツを届けることを指します。
ところが、YouTubeやSpotifyなどの多くのサービスは、公衆送信による商用利用を禁止しています。 なおこの「商用利用」とは、飲食店やカフェなどで、営業活動の一環として音楽を流すことを意味します。
そのため「無料で使えるからお店で流しても大丈夫」と思っていると、著作権違反になることがあります。これは著作権法第23条で定められている「公衆送信権」によって、音楽をインターネットなどを通じて流すには、著作権者の許可が必要とされているためです。
もっとも確実な方法は、JASRACやNexToneと契約することです。
中小飲食店向けには、年間6000円(使用内容により変動)ほどの契約プランもあります。 手続きはネットでも可能で、簡単な書類提出だけで済みます。
JASRACの公式窓口では、使用楽曲の相談や契約プランの案内もしてくれます。
「どこまでがOK?」「この曲は流せるの?」といった疑問も相談可能です。そのため、もし 不安な点があれば、JASRACの相談窓口に確認するのもおすすめです。
🔍 詳細や申請については、以下の公式サイトをご確認ください:
JASRAC(一般社団法人日本音楽著作権協会)公式サイト
著作権の手続きが面倒・不安という場合は、商用利用が前提のBGM配信サービスを利用するのもおすすめです。
たとえば
・「USEN」( 店舗向けAI BGM【USEN MUSIC with AIR】 | 有線放送のUSENが運営)
・モンスター・チャンネル」(コスパ高い店舗BGMアプリ「モンスター・チャンネル」|新しい有線放送)
などがあります。月額1880円〜と コストはかかりますが、安心して使え、曲数も多く音質も良いのが特長です。 お店の雰囲気に合う音楽も選びやすく、ブランディングにも役立ちます。
著作権の手続きが面倒・不安という場合は、商用利用が前提のBGM配信サービスを利用するのもおすすめです。
たとえば
・「USEN」( 店舗向けAI BGM【USEN MUSIC with AIR】 | 有線放送のUSENが運営)
・モンスター・チャンネル」(コスパ高い店舗BGMアプリ「モンスター・チャンネル」|新しい有線放送)
などがあります。月額1880円〜と コストはかかりますが、安心して使え、曲数も多く音質も良いのが特長です。 お店の雰囲気に合う音楽も選びやすく、ブランディングにも役立ちます。
またこうしたサービスの多くは、無料トライアル期間や、BGMの選曲サポート機能、導入サポート窓口なども整っており、「何から始めたらいいかわからない」という方でも安心して利用できます。
日本経済新聞によると、2019年に福岡市内の複数の飲食店を経営するグループが、店舗内でJASRACの許可を得ずにBGMを継続的に再生していたとして、JASRACから使用の差し止めと損害賠償を求められました。
福岡地裁は、店舗側に対して約40万8千円の損害賠償の支払いと、今後の音楽演奏の差し止めを命じています。
注目すべきは、「過去に何度も注意を受けていたのに無視していた」こと。
これが「悪質」と判断され、損害賠償額にも影響を与えました。
著作権法に違反すると、損害賠償(民事)と罰金・懲役(刑事)の両方で責任を問われることがあります。「民事」は相手からお金を請求される話で、「刑事」は警察が動いて、犯罪として処罰される話です。
また、判決文やニュース記事などで店名が公開されるリスクもあります
※たとえ著作権者と話し合って「もう大丈夫」と許してもらったとしても、悪質な場合は、警察や検察が動いて刑事罰が科されることもあります。
「店長が頼んでいないから大丈夫」と思っていませんか?
実はこれ、店舗として著作権侵害の責任を問われるケースがあります。
たとえアルバイトスタッフが善意で雰囲気づくりのためにスマホや個人の音楽アプリから音楽を流したとしても、「店舗の営業活動の一環」とみなされれば、公衆に聞かせる「演奏」に該当し、使用の許可が必要です。
これらはすべて、著作権者の使用の許可なしに営利目的で音楽を使用した行為と判断される可能性があります。
➡たとえば研修時には、以下のような伝え方を意識しましょう:
ポスターやスタッフ用メモとして貼り出すのも効果的です。伝えたことを“記録に残す”ことで、あとからトラブルになりにくくなります。
「知らなかった」では済まされないのが著作権の世界。店舗の責任として、現場任せにせず事前に対応しておくことが大切です。
「テレビやラジオって公共放送だし、流してもいいんじゃない?」と思う方も少なくありません。しかし、これは非常にグレーな領域です。
録画・録音した番組やDVDを流すのは明確にNG(私的使用の範囲を超える)
地上波放送をリアルタイムで流す場合でも、音声が店内に届くようにスピーカーで拡張したり、大型モニターで演出の一
たしかに、AM/FMラジオ放送をそのまま小規模な店内で流すことについては、「例外的にOK」とされる場合もあります(著作権法38条の解釈による)。
ただし、以下のような場合はアウトの可能性も:
「たまたまスタッフが流しただけ」
「テレビをつけていただけ」
そう思っていても、上の事例のように、意図しないまま法律違反になってしまうことがあります。
とくに中小規模の店舗では、専任の管理者がいない分、ちょっとした油断がトラブルに発展するケースも少なくありません。
だからこそ、著作権に対する正しい知識と、明確なルールづくりが、安全で安心な店舗運営のカギになります。
著作権のルールを知らずにBGMを流していると、違反・炎上・訴訟といったリスクを抱えることになります。
しかし正しく対策をすれば、BGMは「売上アップ」や「ブランド強化」に貢献する強力な武器です。
今の時代、音楽は“ただのBGM”ではなく、お店の世界観や価値を伝える立派な「ブランディングツール」です。
まずは、「今流している音楽が本当に合法か?」を確認し、必要であればBGMサービスの導入やJASRACへの申請を検討してみてください。
「守るだけ」でなく、「攻めの音楽戦略」で、あなたのお店をもっと魅力的にしていきましょう。
知識とルールを武器に、安心・安全な店舗運営を実現してください。