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飲みニケーションはついに過去の文化に?!2025年の最新飲酒トレンドと厚労省“新ガイドライン”から見る飲食店の生き残り戦略

作成者: 織田 夏海|Sep 12, 2025 8:24:09 AM

2025年も後半に入り、夏のビアガーデンや屋外イベントが盛り上がる一方で、職場や友人同士の「飲み会文化」は依然として縮小傾向にあります。
コロナ禍以降、多くの企業で定期的な懇親会が減少し、飲み会を開く頻度は完全には戻っていません。

2024年2月に厚生労働省が初めて公表した「飲酒ガイドライン」は、この1年半で徐々に企業や消費者の意識に浸透し、飲酒量の見直しや飲まない選択を後押ししています。さらに、大手飲料メーカーは微アルコールやノンアルコール商品のラインナップを強化し、飲食店でもアルコールを含まないカクテルや健康志向のドリンクメニューが定番化しつつあります。

本記事では、2025年夏時点での飲酒トレンドと、飲食店がこの変化にどう対応すべきか、厚労省の「飲酒ガイドライン」や現場の事例を交えて考察していきます。

飲みにケーションはいらない?飲酒文化が変化

社会人の64.5%「飲みにケーション要らない」

近年、職場での「飲みニケーション」に対する価値観が大きく変化しています。最新の調査では、社会人の64.5%が「飲みニケーションは必要ない」と回答し、この傾向は20代から50代以上まで、年代を問わず6割以上で共通しています。

不要と答えた理由としては、

  • ・気を遣うから(61.8%)

  • ・業務時間外だから(47.4%)

  • ・お金がかかるから(40.7%)

といった声が目立ち、特にコロナ禍を経てからはこの傾向が顕著になりました。

一方、必要と考える少数派からは「職場の親睦が深まる」(60.3%)といった意見も聞かれますが、オンラインミーティングやランチ会など、飲み会以外の交流手段が普及したことで、飲みニケーションは職場文化の“必須行事”ではなくなりつつあります。

職場での飲み会、約8割が“年に数回程度”

最新の調査によると、職場での飲み会は「ほとんどない」(29.1%)、「年に1~2回程度」(30.1%)という回答が多く、約8割が“年に数回以下”という結果になりました。かつては職場の結束を深める重要な場とされていた飲み会ですが、コロナ禍を経た感染予防意識や価値観の変化により、開催頻度は大きく減少しています。

さらに、開催される場合も自由参加型が主流になり、従来の「参加して当たり前」という雰囲気は薄れつつあります。飲みニケーションや飲酒習慣は、時代や社会の変化とともに「必須」から「選択肢のひとつ」へと移行。今後は、職場の結束やコミュニケーションを深める方法も、個人の価値観やライフスタイルに合わせた柔軟なスタイルが求められるでしょう。

厚労省「飲酒ガイドライン」では何が推奨されている?

厚生労働省が発表した「飲酒ガイドライン」の目的は、飲酒による健康リスクを軽減し、国民が健康的な生活を送るための指針を提供することにあります。このガイドラインは、飲酒習慣がもたらす健康被害への理解を深め、適度な飲酒を推奨するとともに、過度の飲酒を抑制することを目指しています。

具体的には、以下のような内容が盛り込まれています。

  1. 適正飲酒の基準: 飲酒量の目安を提示し、健康リスクを最小限に抑える飲み方を推奨。
  2. 過度の飲酒によるリスクの啓発: 肝臓疾患やアルコール依存症、生活習慣病のリスクを明示。
  3. 飲酒に関する社会的課題の解消: 飲酒運転や家庭内暴力などの問題に関する注意喚起。

適切な飲酒量の目安

ガイドラインによると、20歳以上の成人における1日の適切な飲酒量は、純アルコール量で 20g以下 が推奨されています。これを具体的な飲み物で表すと次のようになります。

  • ビール(5%):500ml(中瓶1本)
  • 日本酒(15%):1合(180ml)
  • ワイン(12%):グラス2杯(200ml)
  • ウイスキー(40%):ダブル1杯(60ml)

これらを超える飲酒は、健康リスクを高める可能性があるため注意が必要です。

飲酒が体に及ぼす影響

アルコールが体内でどのように代謝されるか、また飲みすぎが引き起こす影響についても知っておきましょう。

  1. アルコールの分解
    アルコールは肝臓で分解され、最終的に水と二酸化炭素に変わります。ただし、分解酵素の働きには個人差があり、日本人の約41%は酵素が弱く、少量の飲酒でも顔が赤くなるなどの「フラッシング反応」が現れることがあります。

  2. 飲酒によるリスク

    • 疾病リスク
      高血圧や大腸がんなど、特定の疾病リスクが高まります。特に1日20g(週150g)以上の純アルコール量を摂取し続けると、大腸がんの発症可能性が高まるとされています。

    • 行動リスク
      アルコールによる運動機能の低下や判断力の低下は、事故やトラブルにつながります。飲酒後の運転や機械の操作は絶対に避けましょう。

酒類の提供を伴う飲食店はどうするべき?微アルコールやノンアルコールに注目

飲食店は、従来の「飲みニケーション」に代わる新たなコミュニケーションの場を提供し、健康志向や多様なライフスタイルに応える必要があります。厚生労働省の「飲酒ガイドライン」を参考に、適正飲酒の情報発信を行いながら、低カロリー・高栄養バランスのメニュー開発を進めましょう。

特に、居酒屋やバーでは微アルコールノンアルコールの選択肢を充実させることで、アルコールを飲まない顧客も楽しめる環境が整います。こうした取り組みは、飲酒文化や価値観が多様化する中で、柔軟なサービス提供につながり、「選ばれる店」としての魅力を高める重要なカギとなります。

微アルコール飲料の普及と新しい飲み会文化の提案

最近、アルコール度数が1.0%未満の「微アルコール」飲料が注目を集めています。これらの飲料は、アルコールに強くない人や、少量のアルコールを楽しみたい人々にとって理想的な選択肢となっており、業界全体で新しい飲み会のスタイルを提案しています。例えば、微アルコール飲料の飲み比べイベントや、食事とのペアリング体験を通じて、新たな楽しみ方を提案する機会が増えてきています。こうしたイベントでは、参加者がアルコールの特性を学びながら、軽い飲み方で楽しめることを実感できるため、リピーターの獲得や新規顧客の開拓に繋がっています。

ノンアルコール飲料専門店の増加と多様な選択肢

また近年では、都心部を中心にノンアルコール専門のバーやカフェが増加しています。飲酒をしない人でも楽しめるよう、バジルやヴェチパー、フルーツなどを使ったオリジナルカクテルや、アルコールの風味を再現したノンアルコールカクテルが人気を集めています。中には、食前酒感覚で楽しめる一杯や、デザート感覚のドリンクまで、選択肢はますます多様化しています。

こうした微アルコールやノンアルコールの広がりは、「お酒を控えたいけれど、社交の場は楽しみたい」というニーズに応えるものです。飲みすぎを避けつつ、自分らしく場を楽しめる選択肢として浸透し始めており、飲食店にとっても新しい顧客層を取り込む大きなチャンスとなっています。

まとめ

2025年夏、ビアガーデンや夏祭りなどのイベントが盛況な一方で、コロナ禍以降の飲酒文化の変化は依然として続いています。厚生労働省による「飲酒ガイドライン」の策定から1年半が経ち、微アルコールやノンアルコール飲料の普及はさらに拡大。若年層や健康志向の高い層を中心に、飲み会は「必須」ではなくライフスタイルに合わせた選択肢として位置づけられるようになっています。

飲食店にとっては、適正飲酒を意識したメニューや、低アルコール・ノンアルコール飲料の充実、昼飲みやカフェタイムなど時間帯の多様化を取り入れた運営が鍵となります。こうした変化をビジネスチャンスと捉え、新しい価値を提供できる店舗が、これからの市場で存在感を高めるでしょう。

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