2025年5月28日、スターバックス コーヒー ジャパン株式会社は全国の店舗で、サマーシーズン第2弾として『オリエンタル マンゴー & ティー フラペチーノ®』および『チラックス ソーダ マンゴー』を発売する。また、株式会社ロッテリアは5月30日から全国約231店舗で「アジアンドリンクフェア」を開催。マンゴーやパッションフルーツなどを使用したドリンク計4商品を投入する。
両ブランドとも、マンゴーやシトラス、ジャスミンティーなどの“アジアンテイスト”を前面に打ち出した清涼感のある期間限定メニューで、初夏の需要を狙った攻勢をかけている。
スターバックスが今回掲げたテーマは「HOTEL STARBUCKS」。『オリエンタル マンゴー & ティー フラペチーノ®』は、ジャスミンティーとソイミルクをベースにマンゴー果肉をたっぷり使った、“アジアンリゾートのプールサイド”を想起させる設計。『チラックス ソーダ』の新フレーバーでもマンゴーとシトラスを軸に据え、炭酸やティーによるカスタマイズも可能にするなど、幅広いユーザー体験を演出している。
特筆すべきは、ティーとフルーツを軸に「リラックス」「エスケープ」などの感情価値を商品に重ねたことだ。単なる夏向け商品ではなく、“癒し”や“旅先気分”というストーリーを体験として売る、ブランド的アプローチが際立っている。
一方のロッテリアは、「アジアンドリンクフェア」と銘打ち、350円〜390円という価格帯で、リーチを狙う。杏仁フレーバーにマンゴーやいちごを組み合わせたシェーキや、フローズンフルーツをあしらったソーダ/ティーなど、見た目の鮮やかさと“映え”を意識した商品設計が印象的だ。
スターバックスが「上質な体験」路線を走るのに対し、ロッテリアは「手軽で楽しい夏ドリンク」を訴求。ブランドポジショニングに合わせ、同じ“マンゴー×アジアンテイスト”でありながら異なるベクトルをとっている。
この2社の動きから見えるのは、「味」だけでなく「気分」を商品で演出することの重要性だ。「近場での非日常」ニーズや、Z世代を中心とした“映える体験”志向の高まりを背景に、商品に「世界観」「感情価値」「ストーリー性」を盛り込む動きが定着しつつある。
飲食店においても、「夏だから冷たいドリンク」だけでは埋もれてしまう時代。たとえば、以下のような観点で商品設計・販促を行うことが求められる。
五感で“気分”を刺激する:色・香り・食感・温度などを通じて、非日常を感じさせる工夫
「旅気分」「ご褒美」「癒し」などの文脈で訴求:シーン提案による感情価値の付加
SNS映えを意識したビジュアルとネーミング:若年層の拡散行動を促進
特にマンゴー、シトラス、ティー、杏仁といった“アジア×トロピカル”食材は今夏の定番になる兆しが強く、カフェや居酒屋、ファストフードでもこれらを軸にした商品開発が有効と考えられる。