近年、日本国内ではインドネシア人の採用数が大きく増加しています。厚生労働省の「外国人雇用状況」の届出状況によれば、令和6年10月時点でその数は約16.9万人に達し、外国人労働者全体の約7.4%を占めています。令和4年には約7.8万人、令和5年には約12.1万人とわずか数年で倍増に近い伸びを見せており、飲食業をはじめとする現場でもその存在感が高まりつつあります。
注目すべきは、令和6年10月時点で57万人を超えるベトナム人労働者に比べ、インドネシア人材の採用はまだ開拓の余地が大きく、優秀な人材が“競合には見つかっていない”状態で眠っているという点です。
もちろん「日本語でのコミュニケーションに問題はないか」「実際の現場で十分に力を発揮できるのか」といった不安の声があるのも事実です。しかし、そうした懸念とは裏腹に、私たちの期待を超えるような優秀な人材は確実に増えています。
今回ご紹介するインドネシア出身のケルビンさんも、まさにその一人です。
来日からまだ2か月という短い期間ながら、鰻屋の品川店を中心に、川崎・上野・浅草と複数の店舗で積極的に働いていらっしゃいます。そんな彼に、日本での暮らしや日本語の勉強法、そして仕事への思いをうかがいました。
好きが原動力。インドネシアにいた頃から日本文化が好きだったケルビンさん。アニメやマンガをきっかけに日本語を学び、日本での生活を夢見るようになった経緯を語ってくれました。
ーーーなぜ日本に来ようと思ったのですか?
「日本の文化にずっと興味があったんです。インドネシアにいた頃から日本のアニメやマンガが好きで、当時はそれらをインドネシア語で楽しんでいました。でも“日本文化を日本語で味わいたい”という気持ちが強くなり、日本語の勉強を始めました。勉強を続けるうちに、もっと上手になりたい気持がどんどん湧いてきて、日本で生活しようと決めました。」
ーーー日本語の勉強は難しいとよく聞きますが、ケルビンさんはどのように習得したのですか?
「最初は教科書で学ぼうとしましたが、あまり楽しくなくて、なかなか続きませんでした。それに、実際に使われている自然な日本語を学びたくて、日本人YouTuberの動画を見たり、ライトノベルを読むようにしました。わからない言葉はすぐ調べています。日本に来てからは、アウトプットの機会が増えたので、それを大切にしています。今は週5日働いていますが、自分の仕事をするだけで精一杯ですが、通勤の電車での往復2時間でライトノベルを読んでコツコツ勉強しています。」
ーーー「アウトプット」とは具体的にどのような方法で学んだのですか?
「日本に来てからは、必然的に日本語を話さなければいけない状況になったので、自分でその場で考えて話すことが増えました。今まで動画やノベルで学んだ言葉をパッと出せるようになるまで、何度もアウトプットを繰り返しています。」
実は、ケルビンさんの家族は皆、飲食業に関わっているのだとか。幼い頃からお父様やお祖父様のお店で接客を経験していたことから、将来の道も自然に「飲食業」を選んでいたそうです。
ーーーご家族も飲食店をされていたんですか!?
「母国のインドネシアでは、祖父が営む移動販売のようなお店で、お兄さんと一緒に接客の仕事をしていました。インドネシアの伝統的なお菓子「プキス」と「マルタバグ」を販売していました。おじいさんだけでなく、お父さんも同じお菓子をインドネシアの違う島で販売していて、それぞれ2店舗ずつ経営しています。家族全員が飲食業に関わっていて、飲食業で働く楽しさを幼い頃から経験していたため、私も自然とその道を歩んでいました。」
ーーー現在はどんなお仕事をされているんですか?
「現在は鰻屋で、品川店を中心に、川崎・上野・浅草店でもヘルプ勤務しています。今はまだホール業務しかできませんが、そろそろ焼き場の業務も勉強したいと思っています。」
日本語の敬語は難しいと感じつつも、様々な店舗で異なる客層と接する中でコミュニケーション力を磨いているケルビンさん。生活面では電車の利用に苦労しながらも、自力で問題解決に取り組んでいます。
ーーー飲食店での接客で難しいことはありますか?
「ありがとうございます!」笑顔でテイクアウトの商品をお渡しするケルビンさん。
「飲食店での接客自体は母国での経験もあったため、特別に難しいと感じることはありませんでした。強いて挙げるとするなら丁寧語です。日本語の敬語には、たくさんの表現があって、とても難しいと感じています。日々の接客のなかで勉強しています。
いろいろな店舗で働く機会があると、その分さまざまなお客さまとコミュニケーションを取る機会があります。例えば、品川店では平日はサラリーマン、休日は家族連れ、浅草店や上野店では観光客が多いです。各店舗、それぞれのお客さまに合った接客を心がけていて、ご年配の方にはゆっくり大きい声で話したり、お子様には子供用に取り皿を出したりして工夫をしています。しかし、自分の日本語のスキルが足りていないために、相手に思いやりの気持ちが届いていないと感じることがあります。そのためにも、まずは日本語力を高めることが必要であると思っています。」
ーーー日々の生活で大変なことはありますか?
「生活において難しいと感じることは、やはり電車の利用です!日本の電車は種類もあるし、駅も出口が多くて、迷ってしまうこともあります。でも、駅員さんの力は今のところ借りたことはなくて、自分でスマートフォンのマップを見て解決するようにしています。」
多様な店舗で働く経験が新鮮で楽しいケルビンさん。スタッフは皆仲が良く、国籍を超えた交流も活発です。休日は散歩や音楽鑑賞を楽しみ、これからの日本生活に期待を膨らませています。
日本の飲食店で新たな挑戦。ケルビンさんの笑顔がお店の雰囲気を明るくしています。
ーーー率直に!今の生活は楽しいですか?
「はい、楽しいです!お仕事では、ヘルプでいろいろな店舗に行くことができ、新鮮です。川崎、上野、浅草とそれぞれ魅力のある場所に行けるのは、ちょっぴり旅行気分を味わえています。
それに、店舗のスタッフは皆優しくて、仲も良いです。例えば、ヘルプで働く浅草店の外国人スタッフは全員ベトナム人ですが、国籍関係なく、インドネシア人の私にも分け隔てなく接してくれて、休憩中も冗談を言い合うほど打ち解けています。休日は音楽を聴きながら家の近くを散歩するのが日課です。水族館やディズニーランドにも行ってみたいです!」
ーーー将来の夢は?
「将来のことはまだ分かりませんが、今は日本での生活を大切にして、日本語をしっかり勉強して、どんなお客様にも喜んでもらえる接客ができるようになりたいと思っています。」
特定技能人材の採用は、今や「人材の穴埋め」や「日本人の代替」ではなく、「未来の戦力」を得るための選択肢です。
私たちGF Worksでは、飲食業に特化した特定技能人材をご紹介しています。
・飲食経験3年以上/日本語での接客が可能な人材
書類選考だけでなく、人物像・現場適性まで見極めたうえでご紹介するため、ミスマッチを最小限に抑えることができます。採用後の受け入れ準備、在留資格申請、定着支援までワンストップでサポートいたします!