ファストフードやファミリーレストランなど様々なジャンルで、今年も卵を月に見立てた「月見メニュー」商戦がスタートしている。
中秋の名月は、日本の年中行事の中でも毎年恒例で、フードカテゴリーを問わず年々スケールアップしている。今年は「吉野家」「びっくりドンキー」「赤から」などの新規参入も目立ち、昨年よりさらに月見市場がヒートアップすると予測される。
秋の月見商戦に参入するメリットとしては、
①売り上げが落ちやすい9月から施策展開できる
②スイーツのイメージが強いハロウィンよりも、お月見の方が普段の食事に近いメニューを提案できる
③ハロウィンよりお月見の方がターゲットの年齢層を拡大できる
この3つが挙げられるのではないだろうか。
いずれも、売り上げを伸ばすチャンスとなる。
拡大し続けるお月見商戦において、月見=卵のイメージを破り、「丸い」「黄色い」というくくりで丸餅やハッシュドポテトなどを月に見立てた商品も販売されている。
月見商戦で登場しているメニューをいくつか紹介しよう。
モスバーガーでは、《パリとろ食感の月見》と《サクじゅわ食感の裏月見》を発売。月の光と影を表現した2種類のバーガーを構え、裏月見では卵を使わず丸いメンチカツで月を表現している。「月見といえば黄色い満月」という固定観念を脱し、月の姿を多様に捉えた逸品である。
コメダでは《安納芋のスイートポテトシロノワール》や《安納芋のモンブラン》等を発売。月の黄色を「サツマイモ」で表現し、スイーツ路線で勝負をかけることで他店と差別化している。
バーガーキングでは、丸くカットされた分厚いゴールデンパインを挟んだ《パイン月見バーガー》を発売。バーガー商品にフルーツを使うという斬新なアイデアで、大手ハンバーガーチェーンに埋もれない施策を取り入れている。
昔よりも季節の変わり目が曖昧になっているからこそ、消費者は広告や商品で季節の移ろいを感じ、マーケットは意図的に商品に区切りをつけて四季を演出している。
じっくりと季節を感じる余裕のない現代社会において、月見メニューもまた、季節を感じさせるきっかけとなっているのだ。
季節限定商品はメディアに取り上げられやすく、「映える」商品であればなおさら消費者がSNSで投稿という名の宣伝をしてくれる。月見商戦への参入はメリットしかない、と言うのは嘘になるだろうが、新たな一歩が、企業に新たな風を吹かせるのは間違いないだろう。。