厚生労働省の審議会が、物価高騰が続いていることを踏まえ、10月より、最低賃金を過去最大となる50円引き上げると発表しました。
2023年度の全国平均最低賃金は1,004円ですが、2024年度より、全国平均額が時給1,054円になるとのことです。
最低賃金の引き上げは、物価高騰が続く中で労働者の生活を安定させ、国内経済の活性化を図ることが目的です。
改定額が最も大きく増えたのは徳島県(890円※引き上げ後の額)で、84円の増額です。次いで岩手県(952円)と愛媛県(956円)がそれぞれ59円の増額です。
引き上げ後の額が最も高いのは、東京都(1,163円)でした。
政府は2030年代半ばまでに全国平均賃金を1,500円にするとの計画を立てており、今後も最低賃金の引き上げはコンスタントに発生すると推測できます。
賃金の引き上げは従業員には嬉しいですが、企業には課題があります。人手不足の企業では、給与負担が増え、雇用が難しくなることがあります。また、シフト削減をしても必要な人員が確保できず、他の従業員への負担が増す可能性があり、個人事業主にとっては過重労働のリスクもあります。
もしも最低賃金を支払わなかった場合、労働基準監督署による是正勧告を受けることになり社会的信用を失う恐れがあるほか、最大30万円の過料が課され、未払い賃金がある場合は最大3年分の差額を従業員に支払う義務が生じます。
気づかぬうちに違反していた、ということがないように、自分の住んでいる地域の最低賃金がいくらになったのか確認しておきましょう。
<令和6年度地域別最低賃金改定状況>
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/roudoukijun/minimumichiran/index.html
売り上げを確保し、利益も賃金も確保する経営を目指すことで、企業が厳しい競争を勝ち抜くための第一歩にもなります。
一方で政府側も企業の生産性向上を支援する姿勢をみせており、最低賃金の引き上げに対して補助金や助成金を使うのも1つの手です。
(事業再構築補助金、中小企業省力化投資補助金、ものづくり補助金、人材開発支援助成金、業務改善助成金等)
補助対象が重複しなければ、補助金と助成金を組み合わせて使うこともできます。
最低賃金の見直しだけでなく、ポストコロナ期での経営や、物価高騰等、経営者の方々が置かれる状況は年々厳しくなっています。国の補助制度を上手く活用し、経営に役立ててみてはいかがでしょうか。