飲食店を開業したいと考えたとき、まず多くの人が疑問に思うのが「調理師免許は必要なのか?」という点です。
実は、調理師免許がなくても飲食店を開業することは可能です。しかし、資格や許可が全く不要というわけではなく、法律で定められた手続きや必須資格が存在します。
本記事では、飲食店開業に必要な資格や許可、調理師免許が必要な場合・不要な場合、取得までの流れや費用、そして資格がなくても開業に成功した事例を詳しく解説します。
結論から言うと、飲食店を開業する際に調理師免許は必須ではありません。
レストラン、居酒屋、カフェなど、一般的な飲食店は調理師免許がなくても営業できます。
なぜなら、飲食店の営業に必要なのは「調理師資格」ではなく「飲食店営業許可」だからです。
たとえば、調理経験のないオーナーがシェフを雇って飲食店を経営するケースも珍しくありません。オーナー自身が調理を行わない場合でも、営業許可を得れば問題なく営業可能です。
一方で、以下のようなケースでは調理師免許が役立つ、もしくは必要になる可能性があります。
学校給食センターや病院の調理場など、一部の公的機関や施設で働く場合
調理師免許を持っていると「食品衛生責任者講習」を免除される自治体がある
信頼性やブランド価値を高めたい場合(お客様へのアピール要素として有効)
つまり、飲食店の開業に直接的に必要ではありませんが、就職や信頼性アップの観点からはメリットがある資格といえます。
飲食店開業では、調理師免許よりも以下の資格や許可の取得が必須となります。
必須度:★★★★★
保健所に申請して取得する許可です。
厨房や設備が「食品衛生法」の基準を満たしているか検査を受ける必要があります。
取得には通常1〜2週間程度かかり、申請手数料は1〜2万円が目安です。
必須度:★★★★★
飲食店には必ず1人以上「食品衛生責任者」を置くことが義務付けられています。
調理師免許がない人は、1日の講習(約6時間)を受けることで取得可能です。
費用は1万円前後。ほとんどの飲食店オーナーがこの方法で資格を取得しています。
必須度:★★★☆☆
収容人数が30人以上の飲食店では、防火管理者を選任する必要があります。
消防署で講習を受ければ取得でき、費用は5,000円〜8,000円ほどです。
必須度:★★☆☆☆
居酒屋やバーなどで深夜0時以降に酒類を提供する場合、警察署に届出が必要です。
飲食店開業に必要な資格や許可は、以下の流れで取得するのが一般的です。
・物件を契約
保健所の検査があるため、まずは店舗を確保する必要があります。
・内装工事・厨房設備を整える
シンクの数や換気設備など、基準を満たす必要があります。
・保健所に営業許可を申請
申請から検査、許可証の交付まで1〜2週間。
費用は1〜2万円程度。
・食品衛生責任者の資格を取得
1日の講習(6時間程度)、費用は約1万円。
・消防署への届出(必要な場合)
防火管理者講習:半日〜2日間、費用5,000〜8,000円。
・警察署への届出(必要な場合)
深夜酒類提供飲食店営業届は無料。
合計すると、資格・許可取得にかかる費用は2〜3万円程度が目安です。
調理師免許は持っていなかったが、食品衛生責任者の資格を取得し、カフェを開業。
料理は業務委託し、自身は経営と接客に専念。SNS集客を強化して半年で黒字化。
飲食業界未経験で脱サラ開業。調理師免許はなく、保健所の許可と食品衛生責任者資格のみ取得。
居抜き物件を活用し、初期費用を抑えた。料理は経験豊富な料理人を雇い、経営に集中。
調理師免許は不要。食品衛生責任者資格と移動販売の営業許可を取得。
初期投資を抑えて出店し、イベント出店を中心に売上を拡大。
これらの事例からもわかる通り、調理師免許がなくても飲食店の開業は十分に可能です。
調理師免許は必須ではない。だが、
・開業には「飲食店営業許可」と「食品衛生責任者資格」が必須
・防火管理者や深夜営業の届出は業態によって必要
・資格・許可取得の費用はおおむね2〜3万円
・調理師免許がなくても成功事例は多数存在
飲食店開業は資格よりも、コンセプト作りや立地選び、経営戦略の方が成功を左右するポイントです。
資格取得に不安がある方も、まずは必要最低限の許可を押さえ、スモールスタートすることをおすすめします。