東京・三軒茶屋は、巨大なビルが立ち並ぶ渋谷から駅で2つ目という至近距離にありながら、なんとなく「昭和」の佇まいがある。三軒茶屋駅の周辺は、さまざまな商店や飲食店が“ギュっと”集まったような感じで充実している。この、三軒茶屋駅から茶沢通りに入り、徒歩で5分程度の路地に、1月13日「アズミスチール」がオープンした。大通りから住宅地に入る路面に在り、エイジングされたスチールの看板が、古くから営業している雰囲気を醸し出している。
看板を含めて、店頭にはエイジングを施している
同店を運営するのはbros & co.株式会社(本社/東京都中央区、代表/高宮成・大戸快哲)。同社は2013年に創業。以来、飲食店の集客コンサル事業を手掛け、これまで数多くの飲食店の立ち上げや成長支援を行ってきた。支援の内容は立地選定やコンセプト設計、ブランディング、オペレーション構築など、多岐にわたっている。
同社では、このような現場に寄り添った実践的な支援活動を通じて培ってきたノウハウを活かして、現在では、自社直営店の運営にも注力しながら、新しい価値を生み出す店舗づくりに取り組んでいる。中でも、東京・板橋にある立ち飲みの「スタンドトトノイ」は、「食べログ百名店」に選出されるなど、高い評価を獲得。また、学芸大学の隠れ家酒場「コーヨーハイツ」もメディアをはじめさまざまな人々から注目を集めている。
また、神楽坂の古民家レストラン「神楽坂 夢二」は、趣ある空間と独自の世界観が支持され、さまざまなメディアで紹介されるようになった。さらに、“卵でとじない分厚いカツ丼”で知られる「とんかつ丸七」へのFC加盟を通じて、銀座店の運営を手掛けるなど、オリジナルブランドにとどまらず、多様な業態運営に積極的に挑戦している。
今回の「アズミスチール」は、冒頭で述べたような立地にあり、昭和レトロを感じさせる空気感と、現代的な感性を掛け合わせることで、街に溶け込みながら記憶に残る存在感がある。
「アズミスチール」が目指している世界観は、三軒茶屋の路地裏にひっそりとたたずむ“大人の秘密基地”のような空間で、鉄板料理と和食を掛け合わせた独自のスタイル、ということだ。
bros & co.の代表の一人、大戸快哲氏はこのように語る。
「昨年、三軒茶屋、恵比寿で物件を探していたところ、7月に、飲食業の開業支援を行っていて、路地裏の物件に詳しい上昇気流さんから、こちらの物件をご紹介いただきました。そこで、是非やらせて欲しいと、今回の出店に至りました。この店のコンセプトは、『旬を知り、食材を知り、火入れを知る』ということ。特に野菜にはこだわっていて、関東エリアを中心に、直接生産者に伺って、生産者の栽培方法、想いについて伺って、本当に美味しいと思ったものを厳選して活用しています」
「アズミスチール」の店名は、三軒茶屋の茶沢通りからほど近い「あずみビル」の1階に位置し、店内の随所で取り入れた“鉄(スチール)”の素材感に由来している。内装は、“昭和”を感じさせる古びた町工場をイメージさせて、どこか懐かしく居心地のよい非日常を演出している。
オープンキッチンをカウンター席がぐるりと囲んで、店内に一体となった空気感を醸している
フードメニューは、「鉄板焼き×和食×オーガニック」をテーマにして、旬の野菜をメインに据えた創作料理。和食の繊細な技術と鉄板焼きのダイナミックさを融合させ、素材の持ち味を最大限に引き出すメニューを展開している。
例えば、春の香りをまとった「帆立と菜花 辛子酢味噌和え」は、ホタテの甘味と菜花のほろ苦さを、キレのある辛子酢味噌でまとめた一皿。「かんぷら芋唐揚げ オレンジハニーマスタード」は、ホクホクとした芋の旨みを鉄板で香ばしく仕上げて、柑橘の酸味と蜂蜜のコクを効かせたソースで軽やかに仕上げている。
野菜料理では、シャキッとした食感を残した「里山れんこん 青海苔からし明太マヨ」など、素材の持ち味にひと工夫を加えた一皿もラインアップ。家庭での普段の食卓では味わうことができない、“野菜のおいしさ”を提案している。
ドリンクは、同店のおすすめとして、厳選した国産ハーブを丁寧にブレンドしてつくったお茶の「お茶割り」が挙げられる。これらは爽やかな清涼感と深みのある余韻があり、上記の料理の繊細な味わいを引き出してくれる。
全席カウンター(10坪・23席)の店内は、鉄板の熱気や香り、料理が仕上がっていくライブ感を間近で楽しむことが出来る。これによってお客との距離が近く、スタッフとお客とのコミュニケーションを含めた“体験そのもの”を味わうことが出来るようになっている。
お客との距離が近いことから、調理や最終仕上げの様子をお客が間近に見ることが出来る
同店はこのようにして、仕事帰りの一杯から、じっくりと料理を楽しむ夜の時間という利用に至るまで、顧客の幅広いシーンに対応して、毎日でも行きたい居心地の良い空間を目指している、という。以下のメニューは、同店のいまどきの旬のメニューを抽出したもの。
里山れんこん ―青海苔からし明太マヨ― 770円
自然栽培でつくられた里山れんこんは、食感、甘味がともに強く、皮つきでそのまま食べることができるほどに新鮮。からし明太マヨは、上から付けるのではなく、あえて下に盛り付けることで、レンコンそのものを存分に味わうことが出来る。
江戸千住葱 ―海老辣油― 770円
「千住葱」とは、400年前から江戸でつくられていた伝統野菜。これを鉄板でシンプルに焼き上げて、食感・香り・旨味を引き出した一品。葱本来の味を堪能できるように、辛さを控えめにした自家製海老辣油で仕上げている。
あん肝大根 1100円
大根とあん肝を別炊きすることによって、それぞれの良さを最大限に引き出し、寒い季節ならではの温かい料理となっている。こだわりの自家製春菊味噌と仕上げの振り柚子で香りとともに楽しむことができる一品
鰆幽庵ムニエル ―法蓮草ソース― 1210円
鰆のムニエルを幽庵地に漬け込むことで、和と洋を組み合わせた逸品となる。法蓮草ソースも洋の要素を含めた仕立てにして、あしらいの野菜でも食感等を楽しむことが出来る。檸檬を絞ると、味がきりりと閉まるのもポイント。
フランスマッシュバーガー 1320円
パンには、あえてバンズではなく、フランスパンを使用。フランスパンは鉄板で焼き目をつけることでサクサクになる。肉肉しいパテと、熟考した上で完成した特製タレで、斬新なフランスマッシュバーガーが完成した。ボリュームがあり食べ応えがある。