人口約1.1億人。平均年齢25歳前後と若く、英語普及率も高いフィリピンは、消費意欲と外食頻度の高さで知られています。1人当たりGDPは約4,800USD(2024年 IMF推定)で、ASEAN中位ながら都市部を中心に中間層が拡大中。
文化的には「家族単位での外食」「甘く濃い味付け」「ボリューム志向」が特徴的です。
また、長年の米国文化の影響でファストフード文化が根強く、JollibeeやMcDonald’sが圧倒的な店舗数を誇ります。一方、近年は日本食・韓国食が“おしゃれ外食”として人気を獲得しています。
宗教面では約8割がカトリック教徒。イスラム圏よりも宗教規制が緩く、ハラール対応よりも“清潔さとサービス品質”が重視される傾向にあります。
カフェ平均単価:200〜300ペソ(約500〜800円)
ラーメン平均価格:350〜600ペソ(約900〜1,500円)
物価上昇率:約3〜4%(安定的)
都市化とモール開発が外食市場の要となっています。SM、Ayala、Robinsonsなど大手デベロッパーが開発する大型モール内でのテナント出店が一般的で、「立地=モール」が常識化しています。
・モール立地が前提条件:主要デベロッパー(SM、Ayala、Robinsons)との連携が必須。
・フィリピン人スタッフのホスピタリティを活かす:接客教育は比較的スムーズ。
・ボリューム重視のメニュー設計:炭水化物+揚げ物が人気。
・SNSマーケティングが極めて有効:Facebook・TikTokでの動画拡散が即集客につながる。
・甘味・チーズ・ガーリック系の味調整がローカライズの鍵。
外資規制:飲食業は原則100%外資所有が可能だが、Foreign Investment Actにより外国資本40%超かつ国内市場向け企業は最低払込資本金US$200,000が必要。一部のケースでは大量雇用・高度技術などの条件を満たすことで要件緩和が認められる。
法人形態:SEC(証券取引委員会)で株式会社(Domestic Corporation)として設立。輸出主体や経済特区内の店舗は、条件を満たせばPEZA登録企業として税優遇を受けるスキームも選択可能。
税制:法人税は原則25%(小規模法人は20%)。PEZAなど投資優遇スキームを利用する場合、一定期間の法人税免除や特別法人税率などが適用されることがあり、輸出比率や立地によって最適な枠組みを検討する必要がある。
最低資本金:US$200,000(大量雇用・高度技術などを満たす場合はUS$100,000程度まで引き下げられるケースあり)
雇用:英語通用度が高く、若年労働力が豊富。外国人マネージャーやシェフはDOLEのAEP+就労ビザの取得が必要。
許認可:LGU(地方自治体)から営業許可を取得し、併せてBIR登録、バランガイクリアランス、食品衛生・防火・建物安全に関する各種クリアランスを揃える必要がある。これらは原則として毎年更新が必要で、開業前に一連のフローを逆算しておくことが重要。
フィリピンは、ASEANの中でも家族文化・SNS文化・若年人口が外食を強力に支えている国です。
日本食は「信頼・清潔・品質」の象徴として広く受け入れられ、特にラーメン・カツ・寿司・カフェなどが順調に拡大しています。「清潔でボリュームがあり、笑顔でサービスする店」
この要素を満たす日本ブランドこそ、フィリピンで長く愛される存在となるでしょう。