タイの人口は約7,000万人。そのうち首都バンコク都市圏に約1,000万人が集中しています。ASEAN内では経済が比較的安定しており、2024年のGDP成長率は約2.5〜3%(タイ中銀発表)。ベトナムのような急成長国と比べれば伸びは穏やかですが、その分「中間層と富裕層の厚み」が際立つ市場です。
外食文化は非常に根強く、「1日1回は外食する」という人も多いほど。バンコクでは屋台やローカル食堂で1食100〜200円程度が一般的ですが、ショッピングモールやカフェではS$5〜10相当を支払う若者やファミリーも増加しています。
つまり、「屋台文化」と「モール文化」が二層構造で共存しており、幅広い層を取り込める市場です。
日本食は「安心・清潔・高品質」のイメージで広く浸透しており、寿司・ラーメン・焼肉・居酒屋など定番業態に加え、コンビニおにぎりや抹茶スイーツなどカジュアルな和食も普及しています。
デリバリー市場:GrabFood、Foodpanda、LINE MAN が三強(手数料20〜30%)
消費傾向:「屋台=約100円」「モール=約1,000円」の二極化
狙うべき価格帯:中価格帯(約800〜1,300円相当)
タイ市場では「健康志向」「デリバリー対応」「体験型ブランディング」が成功のカギです。
日系ブランドは中価格帯で差別化を図ることがポイントです。
人気業態:ラーメン、焼肉、寿司、居酒屋、抹茶スイーツ
主要日系チェーン:やよい軒(MKグループと合弁)、CoCo壱番屋、丸亀製麺、大戸屋、吉野家、すき家
ローカル競合:After You(カフェ)、韓国系焼肉チェーン、タイ系スイーツブランド
成功要因:健康メニュー対応、SNS発信力、デリバリー導線
外資規制:飲食業はForeign Business Actの制限対象。原則タイ資本51%以上。
外資100%の場合はFBL(Foreign Business License)またはBOI承認が必要。
設立手続き:
投資登録/FBLまたはBOIスキーム決定
会社登記(DBD)
税務登録(法人税20%、VAT7%)
保健局衛生検査・FDA許可
酒類販売ライセンス取得(販売時間:11〜14時、17〜24時)
雇用規制:外国人1名あたりタイ人4名+資本金200万THBが目安。BOI承認で緩和可。
税制:法人税20%、VAT7%。酒類は特別消費税対象。畜産・乳製品は検疫厳格。
・中価格帯(約800〜1,300円)での差別化
・駐在員向け「日常利用」と観光客向け「体験型」の両立
・合弁・FBL・BOIなど法的スキームを事前確定し、遅延防止
成熟した外食市場×SNS時代の若者文化に、日本食の強みが刺さる国です。
法規制は重めなので、出店には十分な戦略設計が不可欠です。