2025/11/28

【2025最新】タイ飲食市場を徹底解説|エリア別の成功ポイントと日本食トレンドを紹介

タイ外食市場の最新データを基に、客層・賃金・物価・家賃・人気業態・競合状況・外資規制・税制を整理。日本企業がバンコクで成功するための価格設定、ブランディング、デリバリー対応のポイントを解説します。

1. 知っておきたいタイの市場概要

33586163_s

タイの人口は約7,000万人。そのうち首都バンコク都市圏に約1,000万人が集中しています。ASEAN内では経済が比較的安定しており、2024年のGDP成長率は約2.5〜3%(タイ中銀発表)。ベトナムのような急成長国と比べれば伸びは穏やかですが、その分「中間層と富裕層の厚み」が際立つ市場です。

外食文化は非常に根強く、「1日1回は外食する」という人も多いほど。バンコクでは屋台やローカル食堂で1食100〜200円程度が一般的ですが、ショッピングモールやカフェではS$5〜10相当を支払う若者やファミリーも増加しています。
つまり、「屋台文化」と「モール文化」が二層構造で共存しており、幅広い層を取り込める市場です。

日本食は「安心・清潔・高品質」のイメージで広く浸透しており、寿司・ラーメン・焼肉・居酒屋など定番業態に加え、コンビニおにぎりや抹茶スイーツなどカジュアルな和食も普及しています。

2. 数字で見るタイの飲食市場

最低賃金

月12,000バーツ~15,000バーツ(約5~6万円) 地域差あり

平均月収

約25,000バーツ(約10万円) タイ国家統計局2024

外食支出

家計支出の約25%を占める NESDCデータ

家賃

1.5~3万バーツ(約6~12万円) バンコク中心部1R
タイ地図-赤-1536x1296
  • デリバリー市場:GrabFood、Foodpanda、LINE MAN が三強(手数料20〜30%)

  • 消費傾向:「屋台=約100円」「モール=約1,000円」の二極化

  • 狙うべき価格帯:中価格帯(約800〜1,300円相当)


3. タイの都市別ガイド

バンコク中心部

エリア概要

bangkok-1759467_1280
客層
若者、観光客、ファミリー層
賃料水準
バンコクで最も高い
適合業態
ラーメン、カフェ、スイーツ、回転寿司
現場感
SNS発信力と回転率の高さが重要

このエリアについてのコメント

バンコク最大の繁華街で、サイアムスクエアやセントラルワールドなど大型商業施設が集積しているエリアです。観光客・学生・ファミリーが常に行き交います。「SNS映え」重視の飲食業態が成長しやすく、体験型・ビジュアル訴求が成功の鍵です。

スクンビット

エリア概要

thailand-586342_1280
客層
日本人・韓国人駐在員、富裕層ローカル
賃料水準
中〜高水準
適合業態
居酒屋、焼肉、定食チェーン、日本式ベーカリー
現場感
清潔感と安心感が重視され、リピーター型が多い

このエリアについてのコメント

日本人・韓国人駐在員が多く住む高級住宅街で、「日本人街」と呼ばれるエリアです。
特に、焼肉・居酒屋・定食チェーンなどの日常利用型和食が人気です。
平日は駐在員、週末は家族連れの利用が中心となる傾向にあります。 

シーロム・サトーン

エリア概要

asia-2211522_1280
客層
金融・IT関連のビジネス層、管理職、駐在員
賃料水準
高水準
適合業態
寿司、高級和食、鉄板焼、ランチ定食
現場感
昼は回転重視、夜は個室・接待ニーズ中心

このエリアについてのコメント

「タイの丸の内」と呼ばれる金融・ビジネス街。昼はオフィスランチ、夜は接待・会食の場として需要が分かれます。
昼夜で価格帯を切り替えるハイブリッド型業態が主流です。 

郊外モール

エリア概要

road-7425079_1280
客層
ファミリー層、週末レジャー客
賃料水準
中心部より低い
適合業態
ファミレス型和食、丼・麺のフードコート
現場感
週末の集客力が高く、安定経営が可能

このエリアについてのコメント

メガバンナーやセントラルプラザなど大型モールが週末の家族レジャーの中心となるエリアです。
特に、ファミリーレストラン型の日本食チェーンが安定的な人気を得ています。 

地方都市

エリア概要

beach-2540721_1280

地域の有名店

  • ミシュラン掲載 GAGGAN
  • ミシュラン掲載 タイニョム

日系チェーンの出店状況

  • やよい軒
  • 大阪王将
  • スシロー
  • 大戸屋

このエリアの店舗マップ

 

4. タイ出店のポイント(狙うべき企業タイプ/市場特性)

タイ市場では「健康志向」「デリバリー対応」「体験型ブランディング」が成功のカギです。
日系ブランドは中価格帯で差別化を図ることがポイントです。

  • 人気業態:ラーメン、焼肉、寿司、居酒屋、抹茶スイーツ

  • 主要日系チェーン:やよい軒(MKグループと合弁)、CoCo壱番屋、丸亀製麺、大戸屋、吉野家、すき家

  • ローカル競合:After You(カフェ)、韓国系焼肉チェーン、タイ系スイーツブランド

  • 成功要因:健康メニュー対応、SNS発信力、デリバリー導線


5. タイ出店時の法制度・法人設立のポイント

  • 外資規制:飲食業はForeign Business Actの制限対象。原則タイ資本51%以上。

  • 外資100%の場合はFBL(Foreign Business License)またはBOI承認が必要。

  • 設立手続き

    1. 投資登録/FBLまたはBOIスキーム決定

    2. 会社登記(DBD)

    3. 税務登録(法人税20%、VAT7%)

    4. 保健局衛生検査・FDA許可

    5. 酒類販売ライセンス取得(販売時間:11〜14時、17〜24時)

  • 雇用規制:外国人1名あたりタイ人4名+資本金200万THBが目安。BOI承認で緩和可。

  • 税制:法人税20%、VAT7%。酒類は特別消費税対象。畜産・乳製品は検疫厳格。


6. タイ出店に関する重要点まとめ

成功のポイント

  • ・中価格帯(約800〜1,300円)での差別化

  • ・駐在員向け「日常利用」と観光客向け「体験型」の両立

  • ・合弁・FBL・BOIなど法的スキームを事前確定し、遅延防止

成熟した外食市場×SNS時代の若者文化に、日本食の強みが刺さる国です。

法規制は重めなので、出店には十分な戦略設計が不可欠です。

  •  
生部由貴乃
立命館アジア太平洋大学 大学ではマーケティングを専攻し、多様なプロジェクトを通して“人・モノ・文化をつなぐ”ことに携わってきました。現在は、インドネシア人材の魅力を伝える情報発信に取り組んでおり、現地の視点を大切にしたコンテンツ制作を行っています。このサイトが、飲食業界での人材活用のヒントや、よりよい出会いにつながるきっかけになれば嬉しいです。
生部由貴乃
立命館アジア太平洋大学 大学ではマーケティングを専攻し、多様なプロジェクトを通して“人・モノ・文化をつなぐ”ことに携わってきました。現在は、インドネシア人材の魅力を伝える情報発信に取り組んでおり、現地の視点を大切にしたコンテンツ制作を行っています。このサイトが、飲食業界での人材活用のヒントや、よりよい出会いにつながるきっかけになれば嬉しいです。