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飲食店が潰れる前ってどんな状態? 倒産する店に共通する5つの前兆とリアルな時系列

作成者: 佐野 美涼|Apr 27, 2026 1:00:00 AM

「なんとなく最近、お店の調子が悪い気がする…」
「スタッフの雰囲気が前と違う…」

こうした違和感、実はかなり重要です。 

実際、飲食業は
・倒産件数は過去最多
・3年以内に約70%が閉店

という厳しい現実があります。

ただしいきなり潰れるわけではありません。ほとんどの場合、 段階的に悪化していきます。この記事では、
飲食店が潰れるまでの流れと、見逃してはいけないサインをわかりやすく解説します。

飲食店ってそんなに潰れやすい?実際どれくらい厳しい?

飲食店が他業種に比べてどれほど廃業しやすいのか、まずはデータで確認してみましょう。

  • 年間廃業率:宿泊業・飲食サービス業で5.6%(全業種最高)※中小企業庁「小規模企業白書(2021年版)」

  • 開業1年未満の閉店率:約38%前後

  • 3年以内の閉店率:約70%以上

  • 2024年の倒産件数:894件(前年比16.4%増・過去最多)※帝国データバンク調査

  • 5年間の廃業率:32.2%(全産業平均28.4%を上回る)

この数字だけを見ると、飲食店経営は非常に厳しいものに感じられるかもしれません。しかし重要なのは、潰れてしまう店舗には共通するパターンがあるという点です。その兆候を早期に把握できれば、十分に対策を講じることが可能です。

 飲食店はどうやって潰れていく?いきなり閉店するの? 

飲食店の経営悪化は、突然起きるものではありません。多くの場合、段階的に進行していきます。ここでは「フェーズ1〜3」に分けて、その流れを整理します。

フェーズ1「黄色信号期」――開業後3ヶ月〜1年

特徴:売上が想定より伸びないが、まだ改善余地がある状態です。

開業直後はメディア露出や口コミの影響で一時的に集客できることが多いですが、3〜6ヶ月を過ぎると新規客の流入が落ち着き、リピーターが定着しないまま客数が減少し始めます。

このフェーズの前兆サイン

  • 看板やのぼりを追加したくなる:集客が思い通りでないため、外部からのアピール強化を試みるようになる。
  • クーポンや割引の多用が始まる:来店動機をクーポンに頼り始めると、クーポンなしでは来ない客が増え広告費が膨らむ悪循環に陥る
  • SNS・HPの更新が滞りがちになる:情報発信への意欲が低下するのは、経営者の精神的消耗が始まっているサインでもある
  • 売上目標を「今月だけ特別」と言い訳し始める:データと向き合えなくなるのは、経営判断力が鈍りつつある証拠である

これらは一見小さな変化ですが、「思ったように集客できていない」というサインでもあります。

フェーズ2「赤信号期」――1年〜2年

特徴:資金繰りが厳しくなり、現場にも影響が出始める段階です。

売上の低迷が続くと手元資金が減少し、店舗運営にさまざまな歪みが生じてきます。飲食業は利益率が低いため、コスト上昇の影響を受けやすい構造です。

飲食業の利益率は一般的に10%程度と低く、売上があっても手元に残る利益は多くありません。ここに原材料費・人件費・光熱費の高騰が重なると、たちまち赤字に転落してしまいます。

このフェーズの前兆サイン

  • 常連客がぱったり来なくなる:常連客は店の些細な変化に最も早く気づく存在です。彼らが離れたということは、料理・サービス・雰囲気のどこかに明らかな変化が起きているサインになります。
  • スタッフの表情から笑顔が消える:職場の雰囲気が悪化すると、挨拶の声が小さくなり、ミーティングで発言がなくなります。優秀なスタッフから順に退職し始めることも多くあります
  • メニューの品切れが増える:仕入れ資金が不足し始めると品切れが頻発します。逆に過剰在庫(廃棄ロス増加)も「売上予測が立てられなくなっている」危険サインです
  • トイレや厨房の清掃が行き届かなくなる:客席はきれいでも、バックヤードや厨房が汚れ始めるのは士気の低下・人手不足の証拠です。
  • 家賃・光熱費の支払いが遅れ始める:「少し遅れているだけ」という感覚が、やがて深刻な滞納につながります。一般的に売上の10%が家賃の目安ですが、それを超えると資金繰りは急速に悪化します

店舗の「内側」に変化が現れるのが、このフェーズの特徴です。

フェーズ3「危機的状況期」――〜閉店直前

特徴:資金ショート目前で、自力回復が困難な状態です。

この段階ではキャッシュフローが逼迫し、借入による資金繰りも限界に近づきます。近年はゼロゼロ融資の返済開始も影響し、この状況に陥る店舗が増加しています。

2023年以降、コロナ禍の「ゼロゼロ融資」(無利子・無担保融資)の返済が本格化したことで、この状態に陥る飲食店が急増しました。2025年上半期のゼロゼロ融資関連倒産は210件に達し、累計2,000件超となっています(出典:帝国データバンク関連調査)。

典型的なパターンは以下になります。


  • 返済開始時期になっても、物価高・人件費増で利益が出ない
  • 毎月の返済額がキャッシュフローを圧迫する
  • 金融機関からの追加融資が受けられなくなる
  • 運転資金が枯渇し、倒産・廃業へ

このフェーズの前兆サイン

  • 看板メニューの注文が激減する:店の顔とも言えるメイン料理が売れなくなると、リピーターは完全に離れていきます。
  • スタッフへの給与支払いが不安定になる:信頼関係が根本から崩れ、優秀なスタッフが次々と去っていきます

  • メニューの値上げや大幅縮小を繰り返す:コスト削減のための場当たり的な対応が、さらなる客離れを招く悪循環を生みます

ここまで進行すると、外部の支援なしでの立て直しは非常に難しくなります。

 なぜこうなる?潰れる飲食店の前兆は共通してる? 

これらの前兆の背景には、以下のような構造的な問題があります。

①資金ショート(運転資金の枯渇)

飲食店廃業の最大要因です。飲食業は利益率が低く、初期投資の借入返済が始まる開業直後から資金繰りは綱渡りになりやすいです。売上が落ちたときのバッファーがなければ、あっという間に倒産してしまいます。

②原価率・人件費管理の失敗

従来、飲食店の食材原価率は30%程度が適正とされてきました。しかし近年の輸入食材高騰・円安・エネルギー費上昇で、この水準を維持できない店が急増しています。ラーメン店の約33.8%が赤字経営に陥っているというデータもあります(出典:INVOY調査 2023年度)。

原価率の上昇を価格に転嫁できない店は、売上があっても利益が消えていってしまいます。

③集客・差別化の失敗

開業時の盛り上がりが終わると、新規客が来なくなります。リピーターが育っておらず、SNSや口コミでの発信も止まれば、店は急速に「忘れられた存在」になってしまいます。

④人材不足・人材育成の失敗

慢性的な人手不足に加え、スタッフへの適切な育成ができていないと、サービス品質が低下し客が離れます。人件費を削りすぎると余計にスタッフが辞め、さらなる悪循環を招きます。

⑤経営ノウハウ・数字管理の欠如

「美味しい料理を出せば繁盛する」という思い込みだけで開業するケースは多いです。しかし経営とは、数字を読み、戦略を立て、人を動かす総合的な管理能力が必須です。帳簿上は黒字でも手元資金が足りない「黒字倒産」が起きるのも、計数管理ができていない事が起因しています。

前兆に気づいたら?飲食店閉店を防ぐための5つのアクション

前兆に気づいた段階で適切に対応すれば、状況を改善できる可能性は十分にあります。

① 数字を正直に直視し前兆に気づく

まず最初に行うべきなのは、売上・客数・客単価・原価率・人件費比率を毎月モニタリングする習慣をつける事です。「客数が減ったのか、客単価が下がったのか」「どのメニューが売れなくなったのか」をデータで分析することが第一歩です。

② コスト構造を見直す

次に、削減できる固定費はないか検討します。ただし、人件費の安易な削減はスタッフの士気をさらに低下させてしまいます。オペレーションのマニュアル化・効率化で、人件費を抑えつつ品質を維持する工夫が重要です。

③ 集客施策を「クーポン依存」から脱却する

割引クーポンで来た客はクーポンがなければ来店しません。SNSの継続的な発信、Googleマイビジネスの活用、常連へのサンクスマーケティングなど、本質的な集客に軸足を移すことが重要です。

④ 外部の専門家・支援機関に早めに相談する

問題を一人で抱え込むほど判断が鈍ってしまいます。商工会議所や中小企業支援センターでは無料経営相談が受けられます。また、当社G-FACTORYでは売却や査定など前向きな選択のためのサポートを行っています。


⑤ 「売却」「業態転換」「承継」という選択肢も持つ

改善が難しい場合、居抜き売却や業態転換も戦略の一つです。廃業を決断する前に、専門の仲介業者や事業引継ぎ支援センターに相談することで、店の価値を次に活かせる可能性もあります。

まとめ | 潰れる飲食店は“突然”ではなく“徐々に崩れる”

飲食店はいきなり潰れるわけではありません。

実際は
・小さな違和感
・徐々に悪化
・気づいた時には遅い

 この流れがほとんど

重要なのは初期サインで動けるかどうかです。

・違和感を無視しない
・数字を見る
・早く動く
・外部を頼る

この4つができれば、潰れる確率は大きく下げられます。本記事が、ご自身の店舗経営を見直すきっかけとなれば幸いです。