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給与計算時の所得税の計算方法を徹底解説!復興特別所得税と源泉所得税の算出方法もご紹介

作成者: 織田 夏海|Oct 21, 2025 12:24:10 AM

「給与計算時の所得税の計算方法が分からない」
「復興特別所得税や源泉所得税の算出方法を知りたい」
「正しい計算式で所得税を算出したい」

 

給与の所得税計算で、上記の悩みを抱く方が多いです。

 

本記事では、給与計算時の所得税の計算方法を4STEPでわかりやすく解説します。さらに復興特別所得税と源泉所得税の算出方法も紹介しているので、適切な税額の算出に役立ちます。

 

所得税の正確な計算は、従業員の信頼獲得と企業の法令遵守に欠かせません。 給与計算の精度向上と効率化を目指す経理担当者は、ぜひ参考にしてください。

なお弊社G-FACTORY株式会社では、飲食業界の人材不足を解消するため外国人人材の採用支援から就労者の特定技能ビザ取得支援、労務管理の整備など企業側の受入支援、在留資格の取得更新支援まで外国人人材の採用サポートを一気通貫で行っています。

 

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給与計算時の所得税の計算方法【4STEP】

給与計算時の所得税の計算方法は、以下の4STEPです。

 ・  ①給与総収入の計算

 ・  ②給与所得金額の算出

 ・  ③課税所得金額の計算

 ・  ④所得税額の算出

それぞれの計算方法を詳しく解説します。

 

①給与総収入の計算

給与総収入の計算は、給与明細に記載されている「総支給額」を基に行います。総支給額は、基本給、残業手当、各種手当、賞与などを合計した金額であり、社会保険料や税金が控除される前の額面金額です。

 

給与総収入は、所得税や社会保険料の計算の基礎となる重要な項目です。正確に計算することで、課税対象額や控除額を適切に算出でき、給与計算全体の正確性が確保されます。

 

給与総収入の内訳と計算方法は以下の通りです。

給与総収入の内訳

 ・  基本給:200,000円

 ・  残業手当:30,000円

 ・  住宅手当:20,000円

 ・  賞与(月割換算):50,000円

 

計算方法

総支給額 = 基本給 + 残業手当 + 住宅手当 + 賞与 総支給額 = 200,000円 + 30,000円 + 20,000円 + 50,000円 = 300,000円

給与総収入の正確な計算は、所得税の適切な算出の第一歩です。漏れや誤りのないよう、注意深く行いましょう。

 

②給与所得金額の算出

給与所得金額の算出は、総支給額(給与等の収入金額)から給与所得控除額を差し引くことで行います。

1ヵ月の総支給額が300,000円の場合の給与所得金額の算出例は以下の通りです。

 

年間の総支給額を計算: 300,000円 × 12ヵ月 = 3,600,000円

給与所得控除額の計算: 3,600,000円 × 30% + 80,000円 = 1,160,000円

給与所得金額の算出: 3,600,000円 - 1,160,000円 = 2,440,000円

 

給与所得金額は、所得税の課税対象となる金額の基礎です。給与所得控除額を正しく算出し、適切な給与所得金額を求めることが重要です。

 

給与所得控除の詳細は、以下のリンクを参照ください。

No.1410 給与所得控除|国税庁

 

③課税所得金額の計算

課税所得金額は、給与所得金額から所得控除額を差し引いて計算します。

1ヵ月の総支給額300,000円、年間給与所得金額2,440,000円の場合の課税所得金額の計算例は、以下の通りです。

 

給与所得金額:2,440,000円

所得控除の例(年間)

 ・  基礎控除:480,000円

 ・  社会保険料控除:432,000円(給与の12%と仮定)

 ・  配偶者控除:380,000円(配偶者がいると仮定)

 ・  扶養控除:380,000円(扶養家族1人と仮定)

所得控除額の合計: 480,000円 + 432,000円 + 380,000円 + 380,000円 = 1,672,000円

課税所得金額の計算: 2,440,000円 - 1,672,000円 = 768,000円

 

所得控除額は、個人の事情によって異なります。各種控除の条件を確認し、適用できる控除を漏れなく適用しましょう。

 

④所得税額の算出

所得税額の算出は、課税所得金額に対して所得税率を適用し、控除額を差し引いて計算できます。

課税所得金額が768,000円の場合の所得税額の計算例は、以下の通りです。

 

所得税率の確認: 課税所得768,000円は、1,000円から1,949,000円の区分に該当するため、税率は5%、控除額は0円

所得税額の計算: 所得税額 = (課税所得金額 × 税率) - 控除額 = 768,000円 × 5% - 0円 = 38,400円

 

税率の適用と控除額の差し引きを正確に行い、適切な所得税額を求めましょう。

所得税の税率は、以下のリンクを参照ください。

No.2260 所得税の税率|国税庁

給与計算時の復興特別所得税の計算方法【3STEP】

給与計算時の復興特別所得税の計算方法は、以下の3STEPで行います。

 ・  ①基準所得税額の算出

 ・  ②復興特別所得税額の算出

 ・  ③源泉徴収税額の合算

それぞれの計算方法を詳しく解説します。

 

①基準所得税額の算出

基準所得税額の算出は、課税所得金額に対応する所得税率をかけた後、控除額を差し引いて求めます。

基準所得税額は、復興特別所得税の課税標準として使用されます。

課税所得金額の計算と基準所得税額の計算例は、以下の通りです。

 

課税所得金額の計算
給与総収入から給与所得控除や各種控除(基礎控除、扶養控除など)を差し引きます。

例:給与総収入500万円、給与所得控除150万円、基礎控除48万円の場合: 500万円−150万円−48万円=302万円

 

基準所得税額の算出
課税所得金額に対応する累進課税率を適用し、控除額を差し引きます。

例:課税所得302万円の場合、10%の税率と97,500円の控除が適用されます。

(302万円×10%)−97,500円=204,500円

 

この基準所得税額(204,500円)が、復興特別所得税の計算基準となります。

基準所得税額は、復興特別所得税の計算の基礎となる重要な金額です。課税所得金額の算出と税率の適用を正確に行いましょう。

 

復興特別所得税の詳細は、以下のリンクを参照してください。

個人の方に係る復興特別所得税のあらまし|国税庁

 

②復興特別所得税額の算出

復興特別所得税額の算出は、基準所得税額に2.1%をかけて計算します。

基準所得税額が204,500円の場合、復興特別所得税額の計算例は以下の通りです。

 

204,500円×2.1%=4,294.5円

端数処理: 復興特別所得税額は1円未満の端数を切り捨てるため、最終的な金額は4,294円となります。

 

復興特別所得税額の算出は、基準所得税額に一定の税率を乗じるだけのかんたんな計算です。ただし、端数処理に注意してください。

 

③源泉徴収税額の合算

給与計算時の源泉徴収税額の合算は、基準所得税額と復興特別所得税額を足して算出します。この合計額が、実際に給与から控除される源泉徴収税額となります。

 

基準所得税額が204,500円、復興特別所得税額が4,294円の場合、計算例は以下の通りです。

204,500円+4,294円=208,794円

合計源泉徴収税額は208,794円となります。

 

源泉徴収税額の合算は、給与計算の最終段階です。

給与計算時の源泉所得税の計算方法【3STEP】

給与計算時の源泉所得税の計算方法は、以下の3STEPです。

 ・  ①課税支給額の確定

 ・  ②社会保険料の控除

 ・  ③源泉所得税額の算出

それぞれの計算方法をみていきましょう。

 

①課税支給額の確定

課税支給額は、給与の総支給額から非課税となる支給額を差し引いて、所得税などの課税対象となる金額を計算すればわかります。

 

以下の例を参考にみてみましょう。

 ・  基本給:25万円

 ・  残業手当:3万円

 ・  通勤手当(非課税):2万円

 

総支給額は30万円ですが通勤手当2万円は非課税なので、課税支給額は以下のように計算されます。

30万円(総支給額)−2万円(非課税手当)=28万円(課税支給額)

この28万円が所得税計算の基礎となる金額です。

 

課税支給額は、源泉所得税の計算の出発点です。非課税支給額を正しく把握し、適切な課税支給額を算出しましょう。

令和6年分源泉徴収税額表は、以下のリンクを参照ください。

令和6年分源泉徴収税額表|国税庁

 

②社会保険料の控除

給与計算時の源泉所得税計算では、社会保険料控除は課税対象となる給与支給額から全額控除されます。

社会保険料は所得控除の一種であり、課税所得を減らす効果があるので忘れずに控除しましょう。控除額には上限がなく、支払った全額が控除対象となります。

 

月々の給与からの控除例:28万円(課税支給額)で社会保険料が5万円の場合、課税対象額は23万円です。

社会保険料控除は、源泉所得税の計算で欠かせない手順です。社会保険料の金額を正確に把握し、課税支給額から適切に控除することが重要です。

 

③源泉所得税額の算出

源泉所得税額の算出は、国税庁が提供する「給与所得の源泉徴収税額表(月額表)」を用いて行います。課税支給額から社会保険料を差し引いた金額と、扶養親族等の数に基づいて税額を決定します。

源泉所得税額の算出手順は以下の通りです。

 

  1.   課税支給額から社会保険料を差し引いた金額を確認

         例:課税支給額が28万円、社会保険料が5万円の場合、23万円が基準額となる

  2.   従業員の扶養親族等の数を確認

  3.「給与所得の源泉徴収税額表(月額表)」を参照する

        「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」提出者は甲欄を使用

        ◦  未提出者は乙欄を使用

  1.   4.   表から該当する源泉所得税額を特定する
  2.  

 

給与所得の源泉徴収税額表と扶養控除等の(異動)申告は、以下のリンクを参照ください。

 給与所得の源泉徴収税額表(令和6年分)|国税庁

給与所得者の扶養控除等の(異動)申告|国税庁

 

源泉所得税額の算出は、給与計算に必要な任務のひとつです。課税支給額と扶養親族等の情報を正確に把握し、適切な税額表を用いて計算しましょう。

給与計算時の所得税算出に関するよくある質問

給与計算時の所得税でよくある質問をまとめました。ぜひ参考にしてください。

 

無料の所得税計算(シミュレーション)ツールはありますか?

無料の計算ツールはあります。

 

代表的なツールとしては、弥生株式会社の「個人事業主のかんたん税金計算シミュレーション」や、株式会社エッサムの「確定申告税額計算シミュレーション」などがあります。

個人事業主や給与所得者、副業収入がある人など、さまざまな状況に対応しており、かんたんな情報入力で概算の所得税額を算出できるので活用するといいでしょう。

 

源泉徴収税額表の月額表・日額表とはなんですか?

源泉徴収税額表の月額表と日額表は、給与支払い時の源泉所得税を計算するための表で、給与の支払い方法に応じて使い分けます。

 

月額表:月ごとの給与支払い、半月ごとや10日(旬)ごとの支払い、月の整数倍の期間ごとの支払いに使用
日額表:毎日の給与支払い、週ごとの支払い、日割りでの支払いに使用
日雇い賃金の場合:日額表の丙欄を使用

 

月額表と日額表を使い分ける理由は、給与の支払い頻度や方法が異なる場合に対応し、正確かつ効率的に源泉所得税を計算するためです。

また、「給与所得者の扶養控除等申告書」の提出有無に応じた税額計算を行うためでもあります。

給与の支払い方法に応じて適切な税額表を選択すれば、正確な源泉所得税の計算が可能になります。

給与計算時は計算式にしたがって正しく所得税を算出しましょう!

給与計算時は計算式に従って正しく所得税を算出することが重要です。所得税計算、復興特別所得税計算、源泉所得税計算を正確に行うことで、適切な税額を求められます。

 

また、無料の計算ツールは、個人事業主や給与所得者、副業収入がある人など、さまざまな状況に対応しており、かんたんな情報入力で概算の所得税額を算出できます。必要に応じて活用してみるのもよいでしょう。

 

正確な所得税の計算は、従業員の信頼獲得と企業の法令遵守に欠かせません。本記事を参考に、給与計算の精度向上と効率化を図ってください。

 

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