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就業規則での休憩時間とは?付与するべき時間やトラブルになりやすい注意点をわかりやすく解説

作成者: 青山萌依|Oct 21, 2025 12:31:55 AM
  • 「新規で外国人を雇用する際に、労働基準法で定められた休憩時間について把握しておきたい」
  • 「雇用後にトラブルにならないように休憩時間を確認したい」
  • 「休憩時間設定での違反を避けたい」

飲食店経営の現場では、休憩時間の付与について頭を悩ませる場面も多いのではないでしょうか。

この記事では、就業規則における休憩時間について、付与すべき時間やトラブルになりやすい注意点、休憩時間に関する3原則などを、具体例を交えてわかりやすく解説します。

この記事を読むことで、休憩時間に関する疑問や不安を解消し、適切な労務管理に役立てていただけます。

G-FACTORY株式会社では、飲食業界の人材不足を解消するため外国人人材の採用支援から就労者の在留資格・特定技能ビザ取得支援、36協定、就業規則の整備をはじめとする労務管理の整備アドバイスなど企業側の受入支援まで外国人人材の採用サポートを一気通貫で行っています。

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  1.  

就業規則で定められている休憩時間は?

この章では、就業規則における休憩時間の定義、そして休憩時間を適切に付与することの重要性について解説します。従業員の健康と安全を守るためにも、休憩時間の規定は正しく理解しておきましょう。

労働基準法第34条では、休憩時間について以下のように定めています。

  • ・6時間以上の労働:少なくとも45分の休憩
  • ・8時間を超える労働:少なくとも1時間の休憩

労働時間に応じて適切な休憩を与えることは、企業の義務です。休憩時間は、従業員の肉体的・精神的な疲れを癒すために必要な時間であり、生産性の維持・向上にも繋がります。

労働基準法第34条で定められた休憩時間はあくまで最低限の基準であり、それ以上の休憩時間を与えても問題ありません。むしろ、より長い休憩時間を設定することで、従業員のモチベーション向上や、離職率の低下といった効果も期待できます。休憩時間を適切に付与することは、法律の遵守だけでなく、企業イメージの向上にも貢献します。従業員が安心して働ける環境を作ることは、企業の長期的な発展にも不可欠です。

休憩時間について労働基準法で定められている「3原則」とは?

休憩時間には、労働基準法で定められた3つの原則があります。これらの原則を理解し、遵守することで、従業員の権利を守り、より良い職場環境を築くことができます。この章では、休憩時間の3原則(途中付与の原則、一斉付与の原則、自由利用の原則)について詳しく解説します。これらの原則を理解することは、就業規則作成の第一歩と言えるでしょう。

 

途中付与の原則

労働基準法第34条1項には、労働の途中に休憩を付与する義務が明記されています。つまり、勤務の開始直後や終了直前に休憩を与えることは、この原則に反するため認められていません。

仮に、従業員から同意を得ていたとしても、意図的に途中付与の原則を変えることはできません。法律の遵守は、企業にとっての社会的責任の一つです。途中付与の原則についてはこちら

 

一斉付与の原則

労働基準法第34条2項には、従業員全員に同時に休憩時間を付与する義務が明記されています。労働者を班に分けて休憩させたり、時間をずらして休憩させることは原則として認められていません。全員が同時に休憩を取ることで、コミュニケーションの活性化や、チームワークの向上といった効果も期待できます。

ただし、業務の性質上、全員同時に休憩を取るのが難しい場合もあります。そのような場合は、労使協定を締結することで、例外的な対応が可能となります。一斉付与の原則についてはこちら

 

自由利用の原則

労働基準法第34条3項では、使用者は、労働者に休憩時間を自由に利用させる義務があると定められています。休憩時間中に、労働者に来客対応や電話対応、休憩終了前の着席を強制することは労働基準法違反となります。休憩時間は、労働者が心身のリフレッシュのために自由に使える時間であるべきです。

ただし、休憩時間中の外出を禁止することは、法律違反にはなりません。企業は、セキュリティや安全管理の観点から、必要な範囲で従業員の行動を制限することができます。自由利用の原則についてはこちら

 

休憩時間の一斉付与の原則に該当しない仕事

労働基準法第40条および労働基準法施行規則第31条・第32条では、業務の性質上一斉に休憩を取ることが難しい業種について、一斉付与の原則の適用除外を認めています。

具体的には、金融広告業、運輸交通業、商業、映画・演劇業、通信業、保険衛生業、接客娯楽業などが挙げられます。これらの業種では、顧客対応や業務の特性上、全員が同時に休憩を取ることが難しい場合が多いため、例外が認められています。

これらの業種では、使用者と労働者の過半数代表者間で以下の内容を含む労使協定を締結することで、休憩時間の割り当てを自由に設定できます。労使協定は、書面で作成する必要があり、労働者代表の署名または記名押印が必要です。

  • ・休憩時間の一斉付与に適用しない従業員の範囲:対象となる従業員の職種、部署、氏名などを具体的に記載します。
  • ・休憩時間の一斉付与が適用されない従業員への休憩の付与方法:休憩時間の長さ、休憩の開始・終了時刻、休憩の回数などを具体的に定めます。

労働時間別の与えるべき休憩時間 【ケース別に解説】

この章では、労働時間別に与えるべき休憩時間について、ケース別に解説します。それぞれのケースに合わせた適切な休憩時間の付与方法を理解し、法令遵守を徹底しましょう.適切な休憩時間の付与は、従業員の健康と安全、そして企業の生産性向上に繋がります。

 

就業時間が6時間以上8時間以下の場合のケース

労働時間が6時間を超える場合、45分以上の休憩時間付与が義務付けられています。例えば、始業時間が10時30分、終業時間が18時15分の場合は、勤務時間が7時間45分となるため、45分以上の休憩時間を付与する必要があります。

残業により労働時間が8時間を超える場合は、休憩時間もそれに合わせて1時間以上となるように調整する必要があります。休憩時間の不足は、従業員の疲労蓄積や、集中力の低下に繋がり、業務効率の低下や事故発生のリスクを高める可能性があります。

 

就業時間が6時間ピッタリのケース

就業時間が6時間以下の場合、休憩時間を付与しなくても労働基準法違反にはなりません。ただし、6時間を少しでも超えた場合は、45分の休憩付与が必要となります。6時間の労働は、肉体的・精神的な負担も大きいため、可能であれば短い休憩時間を設けることが望ましいです。

また、6時間の労働後に残業させる場合は、休憩を挟んでから残業を開始させるようにしましょう。従業員の健康と安全を最優先に考えた労務管理が重要です。

 

就業時間が8時間オーバーの場合のケース

就業時間が8時間を超える場合、最低でも1時間の休憩を付与する義務があります。16時間の隔日勤務のような場合でも、1時間の休憩を付与すれば法律上は問題ありません。ただし、8時間以上の労働では、労働者の疲労が著しく蓄積しやすいため、1時間以上の休憩付与を検討することも重要です。

長時間労働は、従業員の健康を著しく害する可能性があるため、休憩時間を適切に設定することで、健康リスクを軽減する必要があります。

就業規則での休憩時間付与に違反した場合

労働基準法で定められた休憩時間を付与しなかった場合、6ヶ月以下の懲役または30万円以下の罰金が科される可能性があります。労働者が休憩を取り忘れていた場合でも、使用者の責任となります。休憩時間に関する法律を遵守することは、企業の社会的責任です。休憩時間の3原則に違反しないよう、適切に休憩時間を付与する必要があります。

 

就業規則での休憩時間付与に関する3つの注意点

休憩時間の付与に関して、注意すべき点がいくつかあります。この章では、休憩時間に関する3つの注意点(休憩が労働に該当するパターン、勤務形態や雇用形態に関わらない休憩付与の必要性、労働協約における休憩時間規定の無効性)について解説します。

これらの注意点を理解することで、より適切な休憩時間の付与が可能になります。

 

休憩が労働に該当するパターンがある

仮眠時間は、途中で緊急対応が必要なケースがあり、労働からの完全な解放を保証するものではないため、労働に該当する場合があります。業務内容や会社の指示によって、仮眠時間が労働とみなされるケースもあるため、注意が必要です。

喫煙も、完全に業務から離れたかどうかで休憩に該当するかが判断されます。休憩時間中に、電話対応や来客対応、待機などを指示された場合、これらの時間は「手待ち時間(待機時間)」に該当し、労働に従事していると判断されるため、休憩時間には該当しません。労働時間として扱われるため、賃金の支払いも必要となります。

 

勤務形態や雇用形態に関係なく休憩を付与する

勤務形態や雇用形態によって、休憩付与のルールが変わることはありません。パート、アルバイト、契約社員、派遣社員など、すべての労働者に対して、休憩時間の3原則に沿って休憩を付与する必要があります。

時短勤務やフレックスタイム制でも、労働時間が6時間を超える場合は休憩の付与が必要です。法定の休憩時間を下回る就業規則は無効であり、労働基準法違反となります。

休憩時間なしのルールが含まれている労働協約は無効になる

労働協約で休憩時間なしの規定が定められていても、労働基準法で定める休憩基準を下回る場合は無効となります。

労働協約は、労働者と使用者の代表が、労働条件などについて合意した書面ですが、労働基準法よりも労働者に不利な内容を定めることはできません。

 

休憩時間は分割して付与できる?

休憩時間を分割して付与することは、法律で禁止されていません。例えば、1時間の休憩を付与する場合、お昼に30分、夕方に30分と分割して付与することは可能です。これは、労働者の事情や業務の都合に合わせて、柔軟に休憩時間を設定できるというメリットがあります。

しかし、極端に細かく休憩を分割すると、昼食や休息が十分に取れず、休憩時間を自由に利用できないため、「自由利用の原則」に違反する可能性があります。

また、「途中付与の原則」にも反する場合、労働基準法違反となるため、注意が必要です。休憩時間の分割付与は、労働者の健康と福祉を考慮して、適切な範囲で行う必要があります。

 

休憩時間は就業規則に則って適切に付与しましょう

この記事では、就業規則における休憩時間の付与について解説しました。

休憩付与の3原則(途中付与、一斉付与、自由利用)に則って、適切な休憩時間を付与することが重要です。労働基準法に違反する内容の労働協約は、速やかに改善し、休憩付与の3原則に沿ったものに見直しましょう。

休憩時間を分割して付与することは可能ですが、極端に細かく分割すると「自由利用の原則」に違反する可能性があるため、注意が必要です。

休憩時間の付与は、従業員の健康と安全、そして企業の生産性向上に直結する重要な要素です。就業規則を作成する際には、労働基準法を遵守し、従業員のニーズも考慮しながら、適切な休憩時間を設定するようにしましょう。

従業員の雇用については労働基準法が深く関係していますが、外国人人材であろうと日本人材であろうと日本国内で働く人材に労働基準法は原則適用されます。

自社の人材不足解消のために外国人人材の雇用を検討中の方も、外国人人材にも労働基準法が適用される点は留意しておきましょう。

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