HOME

特定技能と技能実習の違いとは?|雇用する場合の注意点についても解説

作成者: 織田 夏海|Oct 21, 2025 12:29:15 AM

特定技能と技能実習の違いについて




特定技能と技能実習は、いずれも外国人労働者を受け入れる制度ですが、その目的や運用方法、適用範囲には大きな違いがあります。これらの制度を選択する際には、企業側がそれぞれの特徴を理解し、目的に応じた適切な制度を選ぶことが重要です。それぞれの制度の設立背景や実際の運用方法について、より深く掘り下げて解説します。

目的と対象者の違い

まず、特定技能と技能実習の最も大きな違いはその目的にあります。特定技能は、日本の労働市場の不足している分野に外国人労働者を送り込むことを目的としているため、主に「労働力の確保」が中心です。この制度は、一定の技術を有する外国人が特定の業界で働き、日本経済に貢献することを目的としています。

特定技能の目的

特定技能は、労働力が不足している業界において、特に需要の高い職種で働くことを目指しています。特定技能には1号と2号があり、それぞれ以下のような特徴があります。

  • • 特定技能1号:最長5年間日本で働くことができ、仕事の範囲が限定されています。この期間を終えると、帰国する必要があります。

  • • 特定技能2号:高度な専門的技術を持つ人材が対象となり、無期限で働き続けることができ、家族を帯同することも可能です。

一方で、技能実習の主な目的は、外国人労働者に日本の技術や知識を習得させ、それを母国で活用できるようにすることです。つまり、技能実習は「学びながら働く」ことを中心に据えた制度で、外国人労働者は技術を身に付けることが求められます。そのため、労働自体が目的ではなく、教育的な側面が強調されています。

技能実習の目的

技能実習生は、労働力としてではなく、あくまでも日本の技術を学び、それを帰国後に活かすために日本で働きます。具体的には、日本の企業で一定期間、実務を通じて技術を習得し、技術移転を行います。企業側は、実習生がしっかりと技術を習得できるような環境を提供し、実習を支援する義務があります。

対象業種と適用範囲の違い

特定技能は、特定の業種に限定されています。特に日本で労働力が不足している分野(介護、建設業、外食業、製造業など)で、外国人労働者が労働力として活躍することを期待されています。これに対して、技能実習は、比較的幅広い業種に対応しており、農業や製造業、建設業など多岐にわたる分野で外国人が技術を学ぶことができます。

特定技能の適用業種

特定技能は、現在12の産業分野に適用されています。例えば、外食業界では、ホールスタッフや調理補助、製造業では部品の組立作業など、労働力を必要とする現場で特定技能外国人が活躍しています。これらの業界では、単なる労働力の補充だけでなく、一定の技能や経験を持つ人材を受け入れることが前提となっています。

技能実習の適用業種

技能実習は、特定技能よりも広い範囲にわたって適用される制度です。例えば、農業や製造業、建設業など、幅広い分野で外国人実習生が技術を学んでいます。特に、日本の中小企業での技術伝承が目的とされており、実習生は職場での業務を通じて、技能や知識を習得することが期待されています。

労働内容の違い

特定技能外国人は、指定された業務に従事し、その業務内容は職種や業界ごとに詳細に規定されています。特定技能1号の労働者は、与えられた仕事を確実にこなすことが求められますが、職種により業務内容の範囲が定められているため、決して過剰な労働を強いられることはありません。

一方、技能実習生は、技術を学ぶことが主な目的であるため、単純労働ではなく、実習生が技術や知識を学べるような業務が設定されます。これにより、実習生が労働力として過度に利用されないよう、適切な教育環境が求められます。

制度の悪用と問題点

両制度には、悪用されるリスクもあります。特に、技能実習制度においては、過去に「単純労働の強制」や「劣悪な労働環境」が問題となったケースが多くあります。例えば、実習生が実際には技術習得を目的とするのではなく、単なる労働力として使われることがあったり、過剰な労働時間や低賃金で働かされたりする事例が報告されています。

企業は、技能実習生を受け入れる際、実習制度の趣旨を理解し、適切な教育環境を提供する義務があります。もし、制度を悪用して不適切な環境を提供した場合、社会的な信頼を失い、法的な問題に発展する可能性があります。

選択のポイント

特定技能と技能実習のどちらを選択するかは、企業の目的によって決まります。もし、労働力を即戦力として確保したい場合は特定技能を、技術伝承を目的として長期的な視野で外国人を受け入れたい場合は技能実習を選ぶと良いでしょう。ただし、どちらの場合も制度の適正運用が求められます。

 

特定技能・技能実習のビザ申請方法と必要書類




特定技能と技能実習のいずれを選択する場合でも、ビザ申請には慎重な準備が必要です。それぞれの申請方法や必要書類について具体的に解説します。

特定技能の申請方法

特定技能ビザを取得するためには、以下の書類を揃える必要があります。

  • • 企業の登録証明書

  • • 外国人労働者の健康診断書

  • • 就労契約書

  • • 日本語能力証明書(特定技能1号の場合)

申請手続きは主に入国管理局を通じて行われ、必要書類を提出して審査を受けます。審査の結果が出るまでには数週間を要することがあるため、早めの準備が求められます。

技能実習の申請方法

技能実習の申請には、監理団体の存在が不可欠です。監理団体とは、技能実習生を適切に受け入れるためのサポートを行う機関であり、受け入れ企業と技能実習生の間に立って申請手続きや実習計画の策定を支援します。

必要書類は以下の通りです。

  • • 企業登録証明書

  • • 実習計画書

  • • 外国人労働者の個人情報

  • • 健康診断書

実習計画書は、技能実習生がどのような技術をどのように習得するのかを具体的に記載した重要な書類です。この計画書は監理団体を通じて提出し、審査を受けます。

受け入れ企業向けの手続きガイド




外国人労働者を受け入れる企業は、単にビザの申請を行うだけではなく、その後の労働環境の整備や教育体制の構築にも責任を負う必要があります。特に特定技能や技能実習制度では、企業側が提供すべき労働条件や支援体制が明確に規定されており、適切な手続きを踏むことが求められます。ここでは、特定技能外国人と技能実習生を受け入れる際に必要となる手続きを段階的に解説します。

特定技能外国人の受け入れ手続き

特定技能外国人を受け入れるには、いくつかの重要なステップを踏む必要があります。これらの手続きは、外国人労働者が適切な労働環境で働けるようにするために欠かせません。

  1. 1. 企業登録 最初に行うべき手続きは、特定技能外国人を受け入れるための企業登録です。企業は、入国管理局に対して「特定技能外国人受け入れ企業登録」の申請を行い、登録証明書を取得します。この登録が完了すると、企業は外国人労働者を合法的に雇用できるようになります。企業登録を行う際には、労働環境や就業規則が適切であることを証明する書類の提出が求められます。

  2. 2. 雇用条件の明確化 次に、外国人労働者に提供する雇用条件を明確にすることが重要です。具体的には、給与、労働時間、休暇制度、福利厚生など、労働者の権利を守るために必要な条件を定め、契約書に記載します。労働条件は日本の労働法に基づいて設定される必要があり、特に最低賃金の遵守や残業代の支払いなど、法令に基づいた適正な雇用契約が求められます。また、労働契約の内容を外国人労働者が十分に理解できるよう、翻訳された契約書を用意することも大切です。

  3. 3. 日本語教育の提供 特定技能1号の外国人労働者には、日本語能力が求められるため、必要に応じて日本語教育を提供することが重要です。特に日本語能力試験(JLPT)のN4レベル以上が求められますが、現場でのコミュニケーションを円滑に進めるためには、業務に必要な日本語(専門用語や敬語)を習得するサポートを行うことが求められます。企業内で日本語教育を実施するか、外部の専門機関に依頼して研修を受けさせる方法があります。



技能実習生の受け入れ手続き

技能実習生を受け入れる企業は、監理団体と連携しながら一連の手続きを進めます。技能実習制度では、実習生が学ぶべき技術や知識を明確にし、適切な学習環境を提供することが求められます。

  1. 1. 監理団体の選定 技能実習生を受け入れる際、企業はまず信頼できる監理団体を選ぶ必要があります。監理団体は、実習生の受け入れを支援し、実習計画の作成や法的手続きのサポートを行います。監理団体は、技能実習生が労働環境で適切に学べるようにサポートする役割を果たし、実習生の生活面でも支援を行います。企業は、監理団体の選定時にその実績や信頼性を慎重に確認することが大切です。

  2. 2. 実習計画書の作成 受け入れ企業は、技能実習生が実習を通じて習得すべき技術や知識を具体的に記載した「実習計画書」を作成し、監理団体を通じて提出します。この計画書には、実習生がどのような業務を行い、どの技術を習得するかが詳細に記載されている必要があります。また、実習生が安全に学ぶことができる環境や、学習の進捗状況をどのように管理するかについても計画に盛り込む必要があります。

  3. 3. 労働環境の整備 技能実習生が快適に働ける労働環境を整えることは、企業の重要な責任です。実習生が働く場所では、十分な作業スペースや安全設備、適切な休憩施設を提供することが求められます。また、実習生が生活面でも困らないように、住居や生活支援体制を整備することも重要です。これには、住居の手配や日本語教育の提供、文化の違いに配慮したサポート体制の構築が含まれます。

特定技能外国人と技能実習生を受け入れる企業は、ビザ申請手続きだけでなく、その後の労働環境や教育体制の整備、実習計画書の作成など、さまざまな準備を進める必要があります。特に外国人労働者が安心して働ける環境を提供することが、企業にとって重要な責任であり、労働法や移民法の遵守を徹底することで、トラブルの発生を未然に防ぐことができます。適切な手続きを踏むことで、企業と外国人労働者双方にとってメリットが得られる結果となるでしょう。

まとめ




外国人労働者を受け入れる際には、特定技能と技能実習の違いをしっかりと理解することが重要です。それぞれの制度は目的や適用範囲が異なるため、自社のニーズに合った選択が求められます。

  • • 特定技能:労働力不足を補うための制度であり、特定の業種に限定される。

  • • 技能実習:技術や知識を学び、母国に持ち帰ることを目的とした制度。

また、ビザ申請には適切な書類と手続きが必要です。特に、技能実習では監理団体との連携が不可欠であり、特定技能では日本語能力などの基準を満たす必要があります。

受け入れ企業としては、事前準備を怠らず、外国人労働者が働きやすい環境を整えることが成功の鍵となります。本記事で紹介したポイントを参考に、適切なビザ制度の活用を検討してください。

弊社G-FACTORY株式会社では、飲食業界の人材不足を解消するため外国人人材の採用支援から就労者の特定技能ビザ取得支援、企業側の受入支援まで外国人人材の採用サポートを一気通貫で行っています。

自社の飲食店で、外国人材による人材不足の解消を図りたい企業様は、以下のページからお気軽のご連絡ください。