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36協定の届出方法をわかりやすく解説|提出手順・期限・罰則まで完全ガイド

作成者: 織田 夏海|Oct 2, 2025 10:34:12 AM

外食産業においては従業員と36協定を締結することが通例です。

また、36協定は労働基準法36条に基づいて企業と労働者の間で締結する労使協定のため外国人の就労者にも適用されることから、多くの外国人就労者を雇い入れる外食産業では36協定の制度理解は極めて重要です。

「36協定届の提出ってそもそもどこに、どうやって行えばいいの?」
「電子申請と郵送のどちらが効率的?提出期限に遅れた場合のリスクは?」

これらの疑問や不安は、企業が法令遵守を徹底する上で非常に重要なポイントです。本記事では、36協定届の基本内容から提出手順、提出の際の注意点までを詳しく解説します。これを読めば、36協定届の提出方法に関する悩みをすべて解消し、スムーズな手続きを進めるための実践的なガイドラインが手に入ります。

法令違反を防ぎ、企業運営をより健全にするための一歩を踏み出しましょう。

なお弊社G-FACTORY株式会社では、飲食業界の人材不足を解消するため外国人人材の採用支援から就労者の特定技能ビザ取得支援など企業側の受入支援、在留資格の取得更新支援まで外国人人材の採用サポートを一気通貫で行っています。
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36協定届とは?基本内容と重要性

企業が従業員に時間外労働や休日労働を命じるためには、「36協定届」の提出が欠かせません。36協定届とは、労働基準法第36条に基づき、企業が法定労働時間(1日8時間、週40時間)を超える労働を合法的に実施するための協定書です。この協定を締結し、労働基準監督署に届け出ることで初めて、時間外労働が法的に認められる仕組みになっています。
しかし、多忙な業務の中で「なぜこの届出が必要なのか」「未提出の場合にどんなリスクがあるのか」を理解している経営者や担当者は少ないかもしれません。このセクションでは、36協定届が持つ法的な重要性と、その提出義務について詳しく解説します。

 

届出が必須である理由と法的根拠

36協定届の提出は、企業が従業員と信頼関係を築きながら、適切に法令を遵守するために必要不可欠な手続きです。
労働基準法では、法定労働時間を超える労働を命じる場合、必ず36協定届を提出することが義務付けられています。これは、企業が時間外労働を適切に管理し、従業員の健康を守るための重要なステップです。
もし届出を怠った場合、緊急時であろうとその時間外労働は違法とみなされます。未提出が発覚した際には、罰則の適用や是正勧告を受けることになり、結果として大きな経営リスクを抱えることになります。

 

1. 時間外労働の合法化

労働基準法では、原則として法定労働時間を超える労働は認められません。しかし、36協定を締結し、届出を行うことで初めて時間外労働が合法化されます。これがない場合、企業が従業員に時間外労働を命じる行為は違法となり、行政指導や罰則の対象になります。


そもそも時間外労働に対する規制について大企業は2019年4月から適用されていました。中小企業については影響度を考慮され1年間の猶予を与えられ2020年4月から適用となっています。
また、以下の特例事業に関しては条件を満たした場合、1週間44時間の労働時間制が認められています。


特例事業
① 商業(卸売業、小売業、理美容業、倉庫業、その他の商業)
② 映画・演劇業(映画の映写、演劇、その他興業の事業)
③ 保険衛生業( 病院、診療所、社会福祉施設、浴場業、その他の保健衛生業)
④ 接客娯楽業( 旅館、飲食店、ゴルフ場、公園、遊園地、その他の接客娯楽業)


条件
常時10人未満の労働者を使用すること
週44時間の労働時間制が認められたとしても1日あたり8時間の労働時間とする原則が変わるわけではありません。
したがって上記のような特例事業の場合は週6日勤務での管理となることが多いです

 

2. 労働者の権利保護

36協定は、労働時間の上限を設定し、過度な労働から従業員を守るための仕組みです。具体的には、月45時間、年間360時間という時間外労働の上限を設け、従業員の健康維持と働きやすい環境づくりを支援します。36協定届が提出されることで、企業と従業員の間に透明性のある労働契約が成立します。

 

3. 企業リスクの回避

未提出のまま時間外労働を命じた場合、企業は労働基準法違反として厳しい罰則の対象となります。さらに、違法行為が発覚した場合、労働基準監督署からの指導や是正命令が下されるだけでなく、企業名が公表されるリスクもあります。これにより社会的信用を損なうだけでなく、従業員との関係悪化や取引先からの信頼喪失といった二次的な影響も懸念されます。

 


労働基準監督署への提出が必要なタイミングと手順

1. 提出のタイミング

36協定届は、時間外労働を開始する前に労働基準監督署へ提出しなければなりません。特に、新規に時間外労働を命じる予定がある場合や、既存の協定内容を変更する場合は、速やかに再提出を行う必要があります。また、36協定は通常1年ごとの更新が必要であり、期限切れを防ぐためのスケジュール管理が求められます。
36協定届の提出タイミングを間違えると、労働基準法違反として企業にペナルティが課される可能性があります。以下の3つのタイミングをしっかり押さえておきましょう。

 

1. 初めて時間外労働を行う前に

企業が法定労働時間(1日8時間・週40時間)を超える時間外労働を命じる際には、必ず事前に36協定届を提出しなければなりません。提出前に従業員に時間外労働を命じることは、法律違反となります。


例:
新規事業の立ち上げや事業の持つ季節性などで繁閑があり、繁忙期に備えたい場合は計画段階で36協定届を作成し、労働基準監督署へ届け出ておく必要があります。

2. 協定内容を変更する場合

例えば以下のような状況が発生した場合は、新しい内容に基づいて再提出が必要です:
時間外労働の上限を引き上げる場合
例:通常の「月45時間」から「特別条項付き36協定」の適用に変更。


特別条項を追加・削除する場合
例:繁忙期の増産対応に備え、特別条項を新たに設定。


従業員代表が変わった場合
例:労働者代表選挙の結果、新代表が選ばれた場合。


再提出のタイミングを逃すと、変更後の内容に基づいた労働が無効とみなされるため注意が必要です。

3. 協定の有効期限が切れる前に

36協定届には、通常1年の有効期限が設定されています。期限切れを防ぐためには、更新手続きを事前に行うことが必要です。期限が切れてしまうと、法的に時間外労働を命じる権利を失うため、注意深く管理しましょう。

 

2. 提出の手順

36協定届の提出手順は以下の通りです:

協定の締結
まず、企業と従業員代表が協議し、時間外労働の条件について合意を得ます。この際、従業員代表が適切に選出されていることが重要です。企業側が特定の社員を指名して従業員代表を任命するのではなく、従業員同士で代表が適切に選出されるような選挙のような形式を採用しましょう。


書類の作成
労働基準監督署が指定する様式に基づき、36協定届を作成します。必要に応じて特別条項を追加し、労働時間の具体的な上限を明記します。


労働基準監督署への提出
作成した書類を労働基準監督署に提出します。窓口提出、郵送、電子申請(e-Gov)が選択可能です。


受領印の取得と保存
労働基準監督署から受領印を押された控えを受け取り、社内で保管します。この控えは、監査やトラブル発生時に必要となります。

 

3. 36協定届の提出方法

36協定届の提出方法には、窓口提出、郵送提出、電子申請の3種類があります。自社の状況に応じて適切な方法を選びましょう。

 

1. 窓口提出:直接確認と相談が可能な方法

窓口提出は、労働基準監督署の担当者と直接やり取りができ、書類不備があってもその場で修正が可能です。初めて36協定届を提出する企業には特に適した方法です。


提出手順:
1.書類を準備 以下の書類を用意してください:
・36協定届(正本と控えの2部)
・労働者代表選出証明書
・労使間で締結した36協定の写し
2.労働基準監督署を訪問 書類を持参し、窓口で担当者に提出します。
3. 控えの受領 受領印が押された控えをその場で受け取り、社内で適切に保管します。

2. 郵送提出:遠方や多忙な企業に適した方法

労働基準監督署が遠方にある場合や、時間の都合がつかない場合に利用される方法です。簡易書留など追跡可能な手段を利用することで、確実な提出が可能です。


提出手順:
1. 必要書類を準備
・36協定届(正本と控えの2部)
・労働者代表選出証明書
・労使間で締結した36協定の写し
2. 返信用封筒の同封
控えの返送を受けるため、切手付きの返信用封筒を同封してください。
3. 追跡可能な方法で送付 簡易書留やレターパックなどで送付することを推奨します。
4. 控えの受領 労働基準監督署から返送された控えを確認し、保管します。

3. 電子申請:デジタル化を進めたい企業に最適

電子申請は、政府の提供する「e-Gov」を利用してオンラインで提出する方法です。書類をデジタル化し、インターネットを介して手続きを完了できます。

提出手順:
1. e-Govに登録
初回利用時にアカウント登録を行います。
2. 書類をデジタル化
必要書類(36協定届や労働者代表選出証明書など)をPDF形式で作成し、保存します。
3. オンライン申請
e-Govにログインし、必要な書類をアップロードして申請内容を送信します。
4. 控えの管理
受領完了通知が届いたら、控えを保存し、適切に保管してください。

更新手続きと内容変更時の注意点

更新手続きのポイント

36協定には通常1年の有効期限があります。期限が近づいた際には以下を確認してください:

・協定内容が実態に合っているかの確認:
労働時間や特別条項の条件が実際の労働状況に適しているか見直します。


・労働者代表との再協議:
労働者代表の選出から協議、同意取得までを再度行います。


・労働基準監督署への再提出:
新しい協定内容を提出し、受領印のある控えを保管します。

 

内容変更時の注意点

労働時間や特別条項に変更がある場合、以下の手順で対応しましょう:


1. 変更内容の明確化:
どの部分を変更するのかを具体的に記載します。


2. 速やかな再提出:
変更が生じた場合は即座に新しい内容で協定を作成し、再提出します。


3. 従業員への周知:
新しい協定内容を従業員全体に周知し、理解を得ることが重要です。

未提出や違反時に起こるリスクと罰則

1. 行政指導

未提出が発覚した場合、労働基準監督署から是正勧告を受けることになります。勧告に従わない場合、監督署からの調査がさらに強化される可能性があります。

 

2. 罰則適用

労働基準法第119条では、36協定届の未提出や違反について以下の罰則が定められています:
・6か月以下の懲役
・30万円以下の罰金
これらの罰則は、企業の信用を著しく損なう結果を招くため、予防策として届出を徹底することが重要です。

 

3. 労使関係の悪化

36協定届の未提出や協定違反は、従業員に「企業が法令を軽視している」という印象を与えかねません。このような状況が続けば、労働争議や退職者の増加といった問題に発展する可能性があります。

提出漏れを防ぐための対策

1. 必要書類の準備と確認

36協定届を提出する際には、以下の書類を正確に記載し準備することが不可欠です:
・36協定届(2部)
・労働者代表選出証明書
・労使間で締結した36協定の写し
これらの書類を揃えたら、第三者に再確認してもらうことで不備を防ぎましょう。

 

2. 提出状況を記録に残す

提出後は控えを保管し、書類が受理されたことを確認します。窓口提出の場合は受領印をもらい、郵送提出の場合は返信用封筒で返送される控えを保存します。電子申請の場合は、申請完了通知をデジタルで保管します。

 

3. 提出スケジュールを管理する

提出期限を守るためには、スケジュール管理が不可欠です。有効期限が切れる3か月前には更新準備を始めることで、余裕を持った手続きが可能になります。また、定期的なスケジュール共有を行い、チーム全体で進捗状況を確認することも効果的です。

まとめ


36協定届は、時間外労働や休日労働を合法化するために企業が労働基準監督署へ提出する必要のある重要な書類です。本記事では、提出のタイミングや方法、注意点を詳しく解説しました。


まず、提出のタイミングとして、時間外労働を開始する前、新たに協定を締結した場合、または協定内容の変更や更新時には速やかに届出を行う必要があります。提出を怠ると法令違反となり、企業は罰則や行政指導の対象となるため、スケジュール管理が欠かせません。


提出方法には、「窓口提出」「郵送提出」「電子申請」の3種類があり、それぞれの手順に沿って進めることが求められます。窓口提出では、直接相談しながら進められる点が利点ですが、郵送や電子申請は効率性が高く、多忙な企業には適しています。


また、提出時の注意点として、書類の不備や労働者代表選出の正当性を確認し、控えを適切に保管することが重要です。これにより、行政監査や従業員とのトラブルを未然に防ぐことができます。


36協定届の提出や更新は、社労士事務所に一部業務を委託することも可能ですが、36協定届は単なる事務作業ではありません。企業が従業員の権利を守りながら法令を遵守し、健全な労働環境を整えるための基盤です。法令を理解し、確実な手続きと管理を行うことで、企業の信頼性と持続可能な成長を支えていきましょう。


弊社G-FACTORY株式会社では、飲食業界の人材不足を解消するため外国人人材の採用支援から就労者の特定技能ビザ取得支援など企業の受入支援まで外国人人材の採用サポートを一気通貫で行っています。

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