飲食店では、急な欠勤や予約状況の変化、売上の減少などによって、シフト変更が必要になることがあります。しかし、確定したシフトを店舗側が一方的に変更したり、勤務時間を削減したりしても問題ないのでしょうか。
シフト変更の対応を誤ると、従業員とのトラブルにつながる可能性があります。また、店舗側の都合で従業員を休ませる場合には、休業手当が必要になるケースもあります。
本記事では、飲食店のシフト変更に関する基本ルールから、急な変更・削減で注意したい法律上のポイント、トラブルを防ぐシフト管理の方法まで、分かりやすく解説します。
また、人手不足によってシフトの調整が難しい場合は、外国人スタッフの採用も選択肢の一つです。外国人スタッフを受け入れることで、人材確保の選択肢を広げ、安定した店舗運営につなげられる可能性があります。弊社では、飲食店の人手不足解消に向けて、外国人スタッフの採用・受け入れをサポートしています。人材確保にお悩みの方は、ぜひご相談ください。
飲食店のシフト変更では、従業員と店舗側のどちらが変更を希望しているのかによって、対応方法が異なります。まずは、確定したシフトを変更する際の基本ルールを確認しましょう。
原則として、確定したシフトの労働日や労働時間を変更するには、従業員と店舗側の合意が必要です。
労働契約法第8条では、労働者と使用者は、双方の合意によって労働契約の内容である労働条件を変更できると定められています。シフト制であっても、このルールは変わりません。
例えば、18時から22時までの勤務が確定している従業員に対し、店舗側が「今日は暇だから20時で帰ってほしい」と一方的に伝え、勤務時間を短縮することには注意が必要です。
人員配置の変更が必要な場合は、理由を説明したうえで従業員と話し合い、合意を得ることを基本としましょう。
シフト変更の可否を判断する際は、雇用契約書や労働条件通知書、就業規則などを確認することが重要です。
特に、契約上の勤務日数や勤務時間、シフトの決定方法、変更手続きなどを確認しましょう。労働契約の内容によって、具体的な判断が異なる場合があります。
また、シフト変更のルールが曖昧な場合は、従業員と話し合い、申請期限や変更の手順を明確にしておくと安心です。
従業員から急な欠勤や勤務日の変更を申し出られることもあります。飲食店の営業に影響が出ないようにしながら、従業員の事情にも配慮して対応することが大切です。
体調不良や家庭の事情などで従業員からシフト変更の申し出があった場合は、まず状況を確認しましょう。そのうえで、代わりに勤務できる従業員を探すなど、人員配置を調整します。
例えば、土曜日のランチ営業を担当する従業員が急に出勤できなくなった場合、ほかの従業員に勤務を依頼したり、業務分担を見直したりする方法が考えられます。
ただし、変更の申し出があったからといって、従業員に無理な出勤を求めることは避けましょう。また、代わりの従業員を探す手順についても、事前にルールを決めておくとスムーズです。
飲食店では、シフト変更の申請方法や連絡期限をあらかじめ決めておくことが重要です。
例えば、次のようなルールを設けると、変更時の混乱を防ぎやすくなります。
ただし、体調不良など、期限内に申請することが難しいケースもあります。例外的な場合の連絡方法も決めておき、従業員が相談しやすい仕組みを整えましょう。
予約のキャンセルや来客数の減少、人員配置の見直しなどにより、店舗側がシフト変更を検討する場合もあります。しかし、店舗の都合だけで確定した勤務を取り消したり、勤務時間を短縮したりできるとは限りません。
来客数が少ないことを理由に、確定したシフトを店舗側が一方的に削減することには注意が必要です。
例えば、22時まで勤務する予定だった従業員に対し、来客数が少ないため20時に退勤してほしいと考えた場合は、まず本人に事情を説明し、変更について合意を得ることが基本です。
また、従業員が同意した場合でも、店舗側の都合による休業に該当する場合などは、休業手当の問題が生じる可能性があります。合意があれば、必ずしもすべての法的問題が解決するわけではありません。
シフトを削減する前に、雇用契約の内容や休業手当の要否を確認しましょう。
急な営業時間の変更や臨時休業が必要になった場合も、確定したシフトへの影響を確認し、従業員にできるだけ早く説明することが大切です。
例えば、設備の故障によって営業を短縮する場合は、営業できない時間帯や変更の理由を伝え、勤務時間の変更について話し合います。
ただし、設備の故障や予約の減少など、店舗側に事情があっても、休業手当が必要かどうかは個別の状況によって異なります。変更理由だけで判断せず、労働契約の内容や休業に至った経緯も確認しましょう。
※判断が難しい場合もあるため、シフト削減や休業手当の取り扱いに迷ったときは、厚生労働省の相談窓口や管轄の労働基準監督署、社会保険労務士などの専門家に相談しましょう。法律に沿った対応を確認することで、従業員とのトラブルを未然に防ぎやすくなります。
店舗側の都合で従業員を休ませたり、予定していた勤務を取り消したりした場合、休業手当が必要になることがあります。ただし、シフトを削減した場合に必ず支給が必要になるわけではありません。
労働基準法第26条では、使用者の責に帰すべき事由による休業の場合、使用者は休業期間中、その労働者に平均賃金の60%以上の休業手当を支払わなければならないと定めています。
平均賃金とは、原則として、休業日以前3か月間に支払われた賃金の総額を、その期間の総日数で割って算出する金額です。通常の時給や日給とは異なる場合があるため、計算方法にも注意しましょう。
例えば、店舗側の都合によって確定した勤務日に従業員を休ませた場合、休業手当の支給が必要になる可能性があります。
一方、休業手当の要否は、休業の原因や店舗側の責任の有無などによって判断されます。個別の事情を確認することが重要です。
休業手当が必要かどうかは、シフト削減の有無だけでは判断できません。
例えば、店舗側の都合で確定した勤務を取り消した場合は、休業手当の支給が必要になる可能性があります。一方、自然災害などによって営業できなくなった場合は、不可抗力に当たるかどうかなど、具体的な事情を踏まえて判断する必要があります。
また、予約の減少や売上の悪化を理由に営業時間を短縮した場合も、それだけで休業手当が不要になるとは限りません。
店舗側の都合による休業に該当するかどうかを確認し、判断に迷う場合は、労働基準監督署や社会保険労務士などの専門家に相談しましょう。
飲食店のシフト変更によるトラブルを防ぐには、事前にルールを決め、変更内容を適切に記録・共有することが重要です。以下のチェックリストを活用し、自店舗のシフト管理に問題がないか確認してみましょう。
シフト変更のルールが曖昧だと、従業員との認識の違いや連絡漏れが生じる可能性があります。次の項目を確認し、誰もが分かりやすい運用ルールを整えましょう。
例えば、毎月20日までに翌月のシフト希望を提出してもらい、25日までに確定シフトを共有するなど、店舗の運営に合わせたスケジュールを設定するとよいでしょう。
シフト変更の内容を記録せず、口頭でのやり取りだけで済ませると、変更日時や勤務時間について認識の違いが生じるおそれがあります。変更内容を後から確認できるように、次の項目をチェックしましょう。
チェックリストを定期的に見直すことで、連絡漏れや人員配置のミスを防ぎやすくなります。店舗の規模に合った管理方法を取り入れ、従業員と店舗の双方が安心できるシフト管理を目指しましょう。
飲食店のシフト変更では、従業員都合の変更と店舗側からの変更・削減を区別し、確定したシフトは原則として双方の合意に基づいて変更することが重要です。
また、店舗側の都合による休業では、労働基準法第26条に基づく休業手当が必要になる場合があります。ただし、シフト削減だけで一律に判断できるわけではありません。
事前に変更ルールを整え、変更内容を記録・共有することで、従業員とのトラブルを防ぎやすくなります。適切なシフト管理を実践し、店舗の安定した運営につなげましょう。