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2027年4月の特定技能制度改正で何が変わる?登録支援機関を使うメリット・デメリット【飲食店向け】

作成者: 柴田彩|Feb 15, 2026 3:00:00 PM

法務省・出入国在留管理庁は、特定技能制度の運用見直しとして、2027年4月に省令改正を施行予定であることを公表しています。今回の改正は、特定技能外国人の受け入れそのものを制限するものではなく、受け入れ企業および登録支援機関に求められる支援体制の「実効性」と「質」を高めることを主眼とした内容となっています。

具体的には、登録支援機関に対して、

  • ・支援責任者・支援担当者の常勤配置

  • ・担当できる特定技能外国人の人数上限の明確化

  • ・支援業務に関する専門的な講習の修了

  • ・名義貸しや形式的支援を排除するための体制要件の厳格化

といった点が重視される方向性が示されています。
これにより、「書類上は整っているが、実態として十分な支援が行われていない」といった登録支援機関は、今後の制度運用において淘汰される可能性が高まっています。

この改正は、特定技能制度が量の拡大フェーズから、質の担保フェーズへ移行する転換点であり、飲食店を含む受け入れ企業側にとっても、「誰に支援を任せるのか」「自社でどこまで関与すべきか」を改めて考える必要がある局面に入ったと言えるでしょう。

 

登録支援機関を使うメリットは?

登録支援機関を利用する最大のメリットは、特定技能制度に関する専門的かつ継続的な支援業務を外部に任せることで、飲食店が本業である現場運営に集中できる点にあります。

特定技能外国人の支援には、入国後の生活立ち上げ支援、住居確保、行政手続き、定期面談、相談対応など、多岐にわたる対応が必要です。これらは平日昼間の対応が求められることも多く、営業時間が不規則で、突発的な対応が多い飲食店の勤務体系とは相性が良いとは言えません。登録支援機関を利用することで、こうした時間的・専門的負担を外部に切り分けることが可能になります。

2027年4月以降は、支援責任者や支援担当者が常勤で配置され、担当可能な外国人数や所属機関数にも上限が設けられます。こうした要件を満たしながら支援体制を維持するには、制度理解と実務経験を兼ね備えた体制が不可欠です。その点、制度対応を専門とする登録支援機関は、改正内容を踏まえた支援計画の見直しや運用を一貫して行える強みがあります。

また、飲食業界は離職率が高くなりやすい業種であり、外国人材の早期離職はそのまま人手不足や営業制限につながるリスクをはらみます。第三者として生活面や不安の相談に対応できる登録支援機関が関与することで、現場では拾いきれない課題を補完でき、定着率向上やトラブル防止につながる点も、飲食店にとっては大きなメリットと言えるでしょう。

登録支援機関を使うデメリットは?

一方で、登録支援機関を利用することには注意すべきデメリットも存在します。まず、支援業務を外部に委託する以上、一定のコストが継続的に発生する点は避けられません。原材料費や人件費が上昇している中で、支援費用が固定費として経営を圧迫する可能性は、小規模飲食店ほど無視できない要素となります。

また、登録支援機関によって支援の質や現場理解に差がある点にも注意が必要です。2027年4月の制度改正により、体制要件を満たせず登録継続が難しくなる支援機関が出てくる可能性も指摘されています。委託先が新制度に対応できる体制を本当に整えているかを、飲食店側が主体的に確認する姿勢が不可欠です。

さらに、外注によるもう一つのリスクは、支援の実態が見えにくくなることです。支援が外部で完結していると、外国人材が抱える小さな不満や職場での違和感が飲食店側に共有されにくくなり、結果として対応が後手に回るケースもあります。特に、現場コミュニケーションが重要な飲食店では、支援機関と店舗との情報連携が弱いと、支援が現場に噛み合わなくなる可能性があります。

登録支援機関を使うかどうかの判断材料は?

      • 登録支援機関を使うかどうかの判断基準

        • ◻︎支援業務を一時的ではなく、継続的に回せる体制があるか

        • ◻︎店長・SV・本部担当者に制度理解や行政対応まで担える余力があるか

        • ◻︎日々のオペレーションに追われ、支援業務が後回しになりやすくないか

        • ◻︎シフト制・多忙なピークタイムの中でも外国人材フォローができるか

        • ◻︎定期面談・届出・行政対応を期限通りに確実に行えるか

        • ◻︎外国人材の定着・育成まで見据えた採用方針が描けているか

        • ◻︎飲食業界特有のトラブルやコミュニケーション課題に対応できるか

        • ◻︎今後、外国人材採用を継続・拡大する可能性があるか

        • ◻︎支援を属人化せず、担当者不在でも運用できるか

        • ◻︎2027年4月の制度改正後も無理なく対応できる体制か

      •  

重要なのは、「制度上、内製できるかどうか」ではなく、飲食店として支援業務を継続的に、無理なく回し続けられるかという現実的な視点です。飲食業界は他業種と比べて、シフト制による不規則な勤務、多店舗展開、慢性的な人手不足や離職率の高さといった構造的な課題を抱えており、特定技能外国人への支援も単なる書類対応にとどまらず、現場での定着を前提とした支援体制が求められます。

人的リソースが限られ、店長やSV、本部担当者が日々のオペレーションに追われている店舗では、制度理解や行政対応、定期届出までを自社だけで担うことは大きな負担となりがちです。そのような場合、登録支援機関の活用は非常に現実的な選択肢となります。ただし、外注を検討する際に注意すべきなのは、「登録支援機関である」という肩書きだけで委託先を決めてしまうことです。2027年4月の制度改正以降は、支援責任者・支援担当者が常勤で配置されているか、1人あたりの担当外国人数や所属機関数が制度要件内に収まっているかといった体制面が、これまで以上に厳しく問われます。

さらに飲食店にとって重要なのが、飲食業界での実際の支援実績があるかどうかです。長時間の立ち仕事、ピークタイムの忙しさ、日本語レベルのばらつき、現場で起こりやすい誤解やトラブルといった飲食特有の事情を理解していない支援機関では、制度上は適正でも、実務面では機能せず、結果的に不満の蓄積や早期離職につながるリスクがあります。

一方で、将来的に外国人材の採用を継続し、複数店舗展開や中核人材としての育成まで見据えている飲食企業にとっては、すべての支援を外注することが必ずしも最適解とは限りません。
特定技能外国人の定着においては、日々の声かけやシフト配慮、職場内コミュニケーション、ちょっとした変化への気づきといった現場密着型の支援が極めて重要であり、これらは店舗側でなければ担いにくい領域です。そのため、行政手続きや制度対応、定期面談・届出といった専門性が高い部分は登録支援機関に委託し、日常的なフォローは店舗側が担う「ハイブリッド型支援体制」は、制度改正後においても実務的かつ安定した選択肢と言えるでしょう。

飲食店にとって本当に重要なのは、「外注か内注か」という二者択一ではなく、自店舗の規模・人員・運営実態に合わせて、どこまでを自社で担い、どこからを外部に任せるのかを明確に設計できているかどうかです。
人手不足を補うための短期的な採用なのか、戦力として定着・育成する中長期的な採用戦略なのかによって、最適な支援体制は大きく変わります。2027年4月の制度改正は、これまで支援体制を曖昧なまま運用してきた飲食店に対し、現実的な見直しを迫るタイミングでもあります。今の段階で判断軸を整理し、自社にとって無理のない支援体制を構築することが、将来の人材定着と経営の安定につながる重要な一歩となるでしょう。

まとめ

2027年4月の特定技能制度改正は、登録支援機関をめぐる支援体制のあり方を大きく変える転換点となります。登録支援機関を利用することには、専門性の確保や現場負担の軽減といった大きなメリットがある一方で、コストや支援体制の見極めといった課題も存在します。

だからこそ、飲食店経営者には「外注するかどうか」ではなく、どのような体制で支援の質を高めるかという視点が求められます。外国人材が安心して働き続けられる環境づくりは、そのまま人材定着と店舗運営の安定につながります。制度改正を機に支援体制を見直し、早めに備えることが、これからの飲食店経営における重要な一手となるでしょう。