日本の景色とポップカルチャーに惹かれて、ベトナムで高校を卒業した後すぐに日本に来ました。景色だと、桜が一番好きです。ほんのわずかな期間しか見れないからこそ、すごく貴重なものだと思います。毎年春が訪れるのが楽しみなんです。アニメや漫画も好きです。いつか日本の漫画を日本語で完璧に読めるようになりたいです。
接客を通してお客さんと会話できることが楽しいです。「いらっしゃいませ」「ありがとうございます」といった日本のおもてなしの言葉は温かみがあって特に好きです。今の仕事についてから、自然と日本人のお客様と会話をすることが増えたので、日本語力も確実に伸びました。
強い興味があったわけではありません。元々は新聞配達の仕事をしていました。日本語を話す機会が少ない分働きやすかったのですが、日本語を話さないため語学力は向上しませんでした。日本が好きで日本に来たのに、いつまでたっても日本に馴染めていない気がしてモヤモヤしたのが、飲食業界に飛びこんだきっかけです。初めての世界にびくびくしていましたが、今ではこの環境が、語学力や精神面の成長に繋がったと感じます。
飲食業界は初めての経験だったので、最初は右も左もわからず、指示されることに応えるだけで精一杯でした。日本語学校で習っていた日本語と、実際に現場で出る日本語が全然違ったのが衝撃的でした。特に現場では、すばやく伝達するために簡潔な表現が使われることが多いです。
「この料理を3番の席のお客様に持っていってください」が、「これ3番ね」と言われ料理を渡されるといった感じです。いまは十分伝わりますし、僕自身も簡潔に話すようになりましたが、日本語に不慣れだった当時は、「何を」「どこに」「誰に」「どうすればいいのか」がはっきりしないとすぐには動けませんでした。
「やってみる」「続けてみる」という2つを胸に刻んでいました。仕事も語学力も、慣れないうちから「自分にはできない」と落ち込んでいても何も変わらないですよね。自分にはまだ経験値と努力の積み重ねが足りないと考えるようにしたら、失敗が怖くなくなりました。現場の指示については、オペレーションをしっかり頭に入れることで改善したと思います。次に起こることは何か、が分かると、どんな指示が飛んでくるのかも予測できるようになりました。最初は戸惑いましたが、今ではそのスピーディーな店舗が心地よく感じます。
日本語能力試験でN1を取得することと、特定技能2号の試験に合格することです。自分の言葉で、最大限のおもてなしができるようになりたいです。ゆくゆくは、仲間やお客様から信頼される人材になり、責任ある仕事を任せてもらえるよう成長していきたいと考えています。そのために、日々の業務を大切にし、知識や技術を磨き続けていきます。
知らない世界に飛び込むことは、誰しも不安が付きまとうはず。ですが、その一歩を自分の力で踏み出せる人は確実に成長していけると思います。トアンさんもその1人です。いつかこうなりたい、と目標を語る姿には、自分の未来をしっかり見据えている強さがありました。話し方も雰囲気もおおらかで優しさが溢れているトアンさんですが、現状に満足せずに上を目指す努力家であることが、今回のインタビューではっきりと分かりました。ぜひ皆さんも「中目黒いぐち 恵比寿店」で、彼のおもてなしに触れてみてはいかがでしょうか?