飲食店は法人化すべき?個人事業主との違いとリアルな判断基準を解説

「そろそろ法人化した方がいいのかな?」
飲食店の経営が軌道に乗ってくると、多くのオーナーが一度は悩むテーマです。開業時には手軽な個人事業主としてスタートする方が多いですが、売上や規模が大きくなるにつれて、法人化のメリットが見えてきます。
しかし、法人化には費用も手間もかかるため、「なんとなく」で判断するのは危険です。この記事では、飲食店オーナーにとっての【個人事業主と法人の違い】と、【法人化すべきタイミング】をわかりやすく解説します。

個人事業主と法人の違いとは?

まずは、制度的な違いを簡単に整理しましょう。

項目 個人事業主 法人(株式会社など)
開業手続き 開業届の提出のみ(無料) 登記が必要(約20万円)
税金 所得税(最大45%) 法人税(約23%)
赤字の繰越 3年 10年
社会保険 国民健康保険・国民年金 社会保険への強制加入
信用力 やや低い(物件契約・融資で不利なことも) 高い(契約・融資が有利)
 
このように、税金・信用力・保険の仕組みなどに大きな違いがあります。

個人事業主のメリット・デメリット

メリット

  • 開業手続きが簡単(税務署に届けるだけ)
  • 会計処理がシンプルで、税理士に頼まなくても運営可能
  • 売上が小さいうちは税負担も抑えられる

デメリット

  • 所得が増えると税率が急激に上がる(超過累進課税)
  • 赤字の繰越が短く、設備投資の負担が大きくなりがち
  • 法人に比べて信用力が低いため、融資や物件契約で不利になることも

法人化のメリット・デメリット

メリット

  • 法人税の税率は一定で、節税の幅が広がる(役員報酬や経費化が可能)
  • 赤字の繰越が10年あり、設備投資がしやすい
  • 法人名義での物件契約や融資が通りやすくなる
  • 補助金や助成金の対象になりやすい

デメリット

  • 設立費用がかかる(登録免許税、定款認証などで約20万円〜)
  • 毎年の法人住民税(赤字でも7万円〜)など維持コストが発生
  • 社会保険への加入が義務となり、保険料負担が増加する

飲食店が法人化を検討すべきタイミングは?

では、どんな時に法人化を検討するべきでしょうか?以下のようなケースが目安となります。

1. 年間の所得が600万円を超えたとき

個人事業主は所得が増えると累進課税によって税率が上がります。所得が600万円を超えると、法人の方が税負担が軽くなるケースが増えます。

2. 人を雇い始めたとき

従業員を雇うなら、社会保険の手続きや福利厚生の整備が求められます。法人化して組織として整えることで、労働環境や採用力も高まります。

3. 2店舗目、3店舗目を考えているとき

拡大フェーズでは、銀行融資や物件契約で「法人名義」の方が信頼されやすくなります。また、事業承継や売却を考える上でも、法人化しておくとスムーズです。

飲食店オーナーが気をつけたいポイント

  • 法人化=節税になるとは限りません。 役員報酬の設定や利益配分など、事前の設計が重要です。

  • 赤字リスクが高い初年度は、個人事業主で様子を見るのも手です。 ただし、設備投資や広告費を大きくかけるなら、繰越が長い法人の方が有利なことも。

  • 消費税の課税事業者となる売上1,000万円超も判断材料になります。

専門家に相談するなら「検討段階」で

法人化を「したい」と思ってからでは、節税設計や契約の見直しに間に合わないこともあります。
売上が伸びてきた段階で、税理士や社労士に一度相談してみましょう。

弊社でも、飲食店に強い士業ネットワークを活用し、信頼できるパートナーをご紹介可能です。法人化についてお悩みの方は、お気軽にご相談ください。

まとめ

個人事業主と法人、それぞれにメリットとデメリットがあります。
どちらが正解というよりは、「自分のお店の規模や将来の方向性」に合った形を選ぶことが大切です。

「節税したい」「人を雇いたい」「事業を広げたい」
そんなフェーズに入ったら、一度“法人化”を真剣に検討してみてはいかがでしょうか?

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