SDGsイベントの開催やごみ削減に尽力「ROUTE CAFE AND THINGS」【SDGs×飲食業界】

肉類と比べると二酸化炭素排出量など環境へ与える負荷が少ないことだけでなく、そのヘルシーさからも、ソイミートやソイバターといった大豆加工食品の人気が高まっています。例えば、既存メニューの食材の一部を上記のような大豆加工食品に変更すると、注文数が増加する場合があるようです。

実際に人気メニューの食材の一部をソイバターに変更して提供したところ、好評だったというのが、東京・丸の内にある旅をテーマにしたカフェ「ROUTE CAFE AND THINGS」(運営/株式会社イースト、代表/長島秀晃氏)です。

SDGs(※1)に関連するフェアの一環として行ったそうですが、そのにも環境や社会に配慮した活動をしている同店の店長佐藤里香氏に、取り組み開始のきっかけや実際に行っていることについてお話をお伺いいたしました。

 

(※1)SDGs(持続可能な開発目標)とは、貧困や飢餓、環境問題など地球規模で取り組む必要がある課題について定めた国際目標。

 

―環境や社会に配慮した取り組みを行われていると伺いました。取り組みを開始したきっかけを教えてください。

2020年4月の緊急事態宣言発令中に店舗を休業し、私自身時間を持てたので、旅をテーマにしたカフェとして何かできることはないかと思案したのが始まりです。

コロナ禍でなければ皆さんの旅先となりうるであろう世界各地にとってプラスになることがしたい、と考えたときに環境問題への配慮を思い付きました。

当店でもできる環境に優しい取り組みとして、まずは店舗で使用していた使い捨て製品の廃止やプラスチック使用量の削減から始めることに。4月7日から5月25日までの緊急事態宣言中にリサーチを重ね、宣言明けの営業開始のタイミングから変更しました。

「ROUTE CAFE AND THINGS」店長の佐藤里香氏。店舗の窓からは旅の出発地である東京駅を見渡せる

 

―具体的に何を変更されたのですか?

今まではプラスチック製のストローを提供していたのですが、ペーパーストローに変更することによりプラスチック使用量の削減に努めました。また今後はストロー自体を廃止し、ストロー不要の飲み口付きリッド(ふた)に変更していくことで、廃棄削減に努めていきたいと思っています。

 

また、緊急事態宣言が明けた営業再開時からテイクアウトにも力を入れることになったのですが、使用する容器はエコを意識して選択しました。テイクアウト用容器の一部を回収されたプラスチックをリサイクルして作られたものにしています。

営業再開後も地球にとって優しい取り組みをしていきたいと模索を続ける中で、SDGsについても意識するようになり、当店で「ROUTE SDGs WEEK」というフェアを開催しました。

プラスチック使用量削減について詳しくはこちら→SDGs達成にむけて飲食業界ができること-目標12.つくる責任つかう責任-

 

―「ROUTE SDGs WEEK」ではどのようなことをされたのですか?

ある大豆加工製品を販売するメーカーさんとタッグを組んで、2020年11月から約1カ月間実施したのですが、ラテメニューの牛乳をソイミルクに無料で変更できるようにしたり、当店でもともと人気のあった「あんバターサンド」のバターをソイバターにした「あんソイバターサンド」を提供したりしました。

 

当店にはもともと旅に関する書籍や雑貨などを販売しているスペースがあるため、そこでSDGsに関して学べる展示を行ったり、関連書籍を100冊以上集めて置いたりもしました。
初心者向けの絵本のようなものから学術的な詳しい本まで用意し、年齢や性別などに関係なく、あらゆる方にSDGsについて考えるきっかけとなり、理解を深められるようにしました。

「あんソイバターサンド」はキャンペーン中に人気を博した

―お客様の反応はいかがでしたか?

「あんソイバターサンド」は、「あんバターサンド」よりも多く注文いただくほどの人気でした。ソイバターだと毎日食べても罪悪感がないと、女性を中心に喜んでいただけたようです。

 

また、展示や書籍のスペースで足を止めてご覧いただいた後に、ドリンクをソイミルクに変更される方も多々いらっしゃいました。当店が、SDGsについて知り、社会や環境に配慮した行動をするきっかけになれていることを実感できました。これを機に、より多くの人のきっかけとなれるよう、関連する取り組みを増やしていこうと考えました。

 

―今後はどのような取り組みを行われるご予定ですか?

「大丸有SDGs ACT5」という、大手町、丸の内、有楽町エリアのSDGs達成に向けて多様な活動を推進するプロジェクトに協業することになりました。

同プロジェクトは2020年に第1回が行われたのですが、2回目の今回は個人のSDGs活動を促す「ACT5メンバーポイント」を付与する専用アプリをリリースし、同エリアの参加店舗にて消費者がSDGsに貢献する活動を行うと、ポイントを獲得できるという仕組みです。

例えば、ユーザーがマイボトルの持参、古くなった衣類の寄付などを行うと、ポイントが付与されます。貯まったポイントは環境や社会に優しい商品との交換、SDGs貢献団体への寄付などに利用できます。

ユーザーがSDGsに貢献する取り組みを行うと、専用アプリにポイントが付与される

 

―このプロジェクトにどのように協業されているのですか?

当店では、マイボトルやマイバッグの持参、古本の回収による寄付活動にてポイント付与を行います。2021年5月上旬から開始予定だったのですが、4月に発令された緊急事態宣言により店舗を休業したため、再開した5月21日から実施しています。

また、当店はポイントを商品に交換する事務局としての役割も果たしています。日本各地の地産品やエシカル商品(※2)などをポイント交換商品として用意しています。これらの商品は店頭販売も行っており、SDGsにあまり関心のない方やたまたまお立ち寄りいただいたお客様にとって、SDGsにに関心を持っていただくきっかけになるのではと考えています。

 

前回の「ROUTE SDGs WEEK」でも、当店がSDGsについて知るきっかけとなる可能性を感じましたが、「ACT5メンバーポイント」の活動で、もともと興味のなかった方や”SDGs”という言葉は知っているけど、どういうものなのか知らないという方に、当店を通じて関心を持っていただきたいです。社会や環境に配慮した行動をお客様と共に広めていきたいと思っています。

 

(※2)エシカル商品とは、環境や人権に関して十分に配慮された商品のこと。