2026/02/16

甲府発「純国産鰻」を使用したウナギ専門店の多店化を推進

山梨県で、「純国産鰻」で青ウナギの養鰻業を営んでいる株式会社イオフードサービス(本社/山梨県笛吹市、代表/秋山良仁)は、同社のウナギを提供するウナギ料理店「鰻のやどき」の店舗展開に注力していく。同社のウナギの飲食店は、2024年7月東京・浅草にオープンした「鰻のやどきGYUUYA」と、25年10月東京・上井草にオープンした「鰻のやどき」の2店舗がある。

 

1号店の「鰻のやどきGYUUYA」は新仲見世にあり、100席の規模で日本の観光客やインバウンドでにぎわっている。「鰻のやどき 上井草店」は西武新宿線上井草駅に隣接した商店街にあり、地元住民の利用が定着するようになった。

 

上井草店では1月27日に、1月31日から2月5日までの6日間行う「純国産鰻キャンペーン」の記者発表を行って、この知名度向上を図った。このとき有名人そっくりさんの大谷似昇平さん(大谷翔平)と、山本申信さん(山本由伸)の2人が特別ゲストとして参加して、イオフードサービスの「純国産鰻」のおいしさをアピールした。

2ー大谷山本s

山本選手、大谷選手のそっくりさんが、一つ一つ試食をして会場を盛り上げた

こちらのアイキャッチは、同社代表の秋山良仁さん(48歳)である。秋山さんはこの会場で、同社の養鰻と「鰻のやどき」の魅力について語った。

 

きれいな水の環境で養殖事業を進める

まず「純国産鰻」とは、国内で水揚げしたウナギの稚魚(シラス)を、国内で養殖したウナギのこと。イオフードサービスが養鰻しているのは「青ウナギ」で、背が青緑色で腹が白い、ニホンウナギの中でも高品質のものである。一般のウナギと比べて脂ののりが良く、濃厚でありながらしつこさがなく、皮の食感は柔らかい。

 

秋山さんは、山梨県で生まれ育ち、17年前から「純国産鰻」の養殖事業に取り組んできた。試行錯誤を重ねて、今日の安定した養殖事業を確立するようになった。

 

秋山さんの養殖事業は、日本で水揚げされた青ウナギの稚魚を仕入れて、山梨県笛吹市内の養殖施設で、表流水(雨や雪の降水が地中に浸透せず、地表面を伝って河川や海に流れる水のこと)を使用して養殖している。

 

秋山さんはこう語る。

「ウナギの養殖は濁った水の中で行われているイメージがありますが、山梨はミネラルウォーターの出荷量が日本一という、きれいな水を誇る環境に在ります。ウナギはよく『泥臭い』と言われることもありますが、そもそも当社の養殖場には泥がなく、とてもきれいな表流水の中で養殖していますから、まったく泥臭くはありません」

3ー青ウナギs

イオフードサービスの青ウナギは、きれいな表流水で養殖されている

 

このような環境で育ったイオフードサービスのウナギは、「白焼き」にその特徴が表れる。表面がパリッとしてふっくらとしたウナギはまったく癖がなく、同社が用意した上質の山椒やワサビと共に楽しむことが出来る。

 

秋山さんは、「当社のウナギを食べていただいて、現在のようなウナギの市場がにぎわう前の、『江戸時代からの日本人は、このようなウナギを食べていたのか』と、改めて感慨深くなります」と語る。

 

『鰻のやどき』のタレは、伝統的に無添加で製造しているタレの業者から、同社仕様のものを仕入れている。ウナギの裁きは笛吹市内で行い、各店舗に毎日配送している。

4ー焼き上がりs

「鰻のやどき」のウナギは、まったく癖がなく、焼き上がりの表面はかりっと、中はふっくらとしている

ベッドダウンで挑戦し店舗展開のパターンを検証

『鰻のやどき』の上井草店は、ランチ営業とディナー営業の二毛作を行っている。

ランチ営業は、食事が中心のメニュー構成。お店が一推しのものは「純国産鰻蒲焼白焼重」3850円。それぞれ半身の蒲焼と白焼を同時に楽しむことが出来る。

 

このほか、「国産上鰻重」3800円、「国産白焼重」3900円、「国産うな玉丼」2600円、「A5和牛重」2800円などがラインアップされている。

6ーランチs

ランチタイムは食事中心でメニューが構成されている

 

一方、ディナー営業では、「鰻居酒屋」の存在感を見せる。この時間帯の一推しメニューは、「純国産鰻の天ぷら」900円と「純国産鰻のフライ」900円。

 

このほか、「う巻き串」350円、「ヒレチーズ串」250円、「肝にんに串」200円、「鰻えんがわ唐揚」400円、「牛蒡鰻軟骨上げの甘辛和え」500円、「鰻のアヒージョ」500円、「鰻おにぎり茶漬け」500円、「鬼おろしポン酢鶏唐揚げ」350円、「炙りチーズ明太」400円、「アジフライ」380円、「季節の一人鍋」850円、等々、「純国産鰻専門店」ならではの、特徴がはっきりとしたメニュー構成となっている。

5ーディナーs

ディナータイムは、「ウナギ料理専門居酒屋」として営業している

 

秋山さんは、上井草店を出店した背景についてこう語る。

「1号店の浅草店は、インバウンドや日本の観光客が多い立地にあって、とても繁盛しています。そこで手応えを感じて、これから店舗展開をしていこうと考えました。上井草店は、西武新宿線上井草駅の乗降客数は2万人。この店は駅から徒歩1分程度で、住宅街の入口に在ります。このようなベッドタウンで店が愛されると、同じようなベッドタウンでも成立するのでは、と考えました」

 

狙い通り、上井草店は地元客のリピーターが定着するようになった。特に夜のメニュー構成は客単価2000円に収まる内容で、「1週間に3回来店する」というパターンも見られるようになっている。

 

ウナギの市場は、一般のウナギ専門店の5000円以上と、牛丼店が1500円あたりを切り拓き、そして近年2000円から3000円の業態が台頭してきている。このような中に「純国産鰻」を使用した「鰻のやどき」は4000円に位置づけられて、この市場を多様化し活性化させていく存在となることであろう。

 

伝統ある「甲府のウナギ」のストーリー

イオフードサービスの「純国産鰻」の養殖事業に対するこだわりを前述した。「甲府市公式サイト」に、「山梨が伝統的にウナギ養殖を得意としてきた」背景について論じた記事を見つけたので、それを抜粋して紹介しよう。

 

豊かな自然に恵まれた甲府で、ひっそりと、しかし深く根付いている食文化がウナギである。これには、江戸時代から続く、この土地ならではの風土が育んだ伝統がある。

 

甲府のウナギが「名産」として愛され続けてきた背景には、豊かな水資源に加え、職人の技が存在する。

 

海から遠く離れた甲府盆地では、古くから川魚が貴重なタンパク源として重宝されていた。特に、富士川水系をはじめとする豊かな水資源に恵まれていたため、天然のウナギが多く生息していた。

 

江戸時代に入ると、日本の食文化は大きく発展し、ウナギは庶民の食卓に広がっていった。甲府は城下町として栄え、多くの人々が行き交う中で、ウナギ料理は多様な形で親しまれるようになった。この頃には、ウナギを美味しく焼き上げる技術や、それぞれのお店で工夫を凝らした秘伝のタレが生まれ、現在の蒲焼の原型が形成されていった。

 

甲府には、江戸時代の末頃にウナギ料理店が7軒、明治時代に入って8軒存在したといわれている。また、静岡県で獲れたうなぎが生きたまま籠に入れられ、中道往還を通って甲府まで運ばれていたことも記録に残っている。

 

明治時代以降、交通網の発達とともに、甲府はさらに多くの人々が行き交う拠点となった。この時期には、天然うなぎだけでなく、安定した供給を可能にする養殖技術も導入された。甲府では、それぞれのお店が長年培ってきた独自の味と技術を守り、磨き続けてきた。これらの老舗の努力と、新しい時代に対応する工夫が、甲府のウナギが「名産」となるきっかけとなった。

 

「鰻のやどき」は、このような「甲府発」のストーリーをうたうことが出来る。同店の「純国産鰻のこだわり」と、「甲府の伝統」は、これから店舗展開を進める上でおおきな差別化となっていくことであろう。

千葉 哲幸
千葉哲幸(ちば てつゆき) 外食ジャーナリスト 『月刊食堂』(柴田書店)編集長と、そのライバル誌の『飲食店経営』編集長(商業界、 当時)を歴任するなど、外食産業記者歴40年。2014年7月よりフリーランス。外食産業の 歴史を語り、最新の動向をレポートする。取材、執筆、書籍プロデュース、セミナー活動 を行う。著書に『外食入門』(日本食糧新聞社、2017年)。 ■メール:chibatetsuyuki@gmail.com
千葉 哲幸
千葉哲幸(ちば てつゆき) 外食ジャーナリスト 『月刊食堂』(柴田書店)編集長と、そのライバル誌の『飲食店経営』編集長(商業界、 当時)を歴任するなど、外食産業記者歴40年。2014年7月よりフリーランス。外食産業の 歴史を語り、最新の動向をレポートする。取材、執筆、書籍プロデュース、セミナー活動 を行う。著書に『外食入門』(日本食糧新聞社、2017年)。 ■メール:chibatetsuyuki@gmail.com