2026/02/18

【2027年特定技能制度改正】登録支援機関は外注か自社でやるか?飲食店が失敗しない支援体制の選び方

はじめに

特定技能制度は、深刻な人手不足が続く飲食業界にとって欠かせない外国人材の受け入れ手段として広く活用されています。しかし、法務省・出入国在留管理庁が発表した2027年4月に予定されている制度改正により、登録支援機関に求められる要件が大きく厳格化されることになりました。この変更は、ただ制度を運用するだけでなく、どのように支援体制を整えるかを見直すタイミングでもあります。本記事では、登録支援機関を外注するか、自社で行うかを判断するためのポイントと、それぞれのメリット・リスクを飲食店経営者の視点でわかりやすく説明します。

 

まず押さえておきたいのが、2027年4月の制度改正によって、登録支援機関に求められる体制は「形式的に整っていればよいもの」から、「実際に支援が回る体制かどうか」を数字で判断される仕組みに変わる点です。

現行制度では、支援担当者1人あたりが対応できる外国人材数や所属機関数について、明確な上限がなく、実態としては
「20人以上を1人の担当者で対応している」
「複数企業・複数店舗を1人で兼務している」
といった体制でも、登録支援機関として運用されているケースが少なくありませんでした。

しかし、2027年4月の改正では、こうした体制は認められにくくなる見込みです。
改正後は、支援担当者の常勤配置を前提としたうえで、1人あたりが対応できる外国人材数・所属機関数についても、実務上無理のない範囲に制限される方向が示されています。

イメージとしては、

  • 現状:支援担当者1人で 20人以上 を担当しているケースも存在

  • 改正後(想定):支援担当者1人あたり 10名前後(条件次第では5〜8名程度) が実質的な上限

となり、「人を置いていない支援」「名義だけの体制」は制度上成立しなくなります。

この変更は、登録支援機関だけの問題ではありません。
飲食店側も、「今委託している支援機関が、この人数基準を改正後も守れるのか」「自社で内製する場合、同じ基準を満たせるのか」を前提に、支援体制そのものを見直す必要があります。

外注(登録支援機関に委託)すべきケースは?

その多くの飲食店にとって、外国人材の支援業務を外注することは、これまでの運用でも一般的でした。特定技能の支援業務は、入国・住居手続きのサポート、役所手続きの補助、定期面談や相談対応など、日常的かつ専門的な実務作業を伴うものです。これらを飲食店のスタッフだけで対応しようとすると、本来の店舗運営やサービス提供に支障が出るおそれがあります。

外注する最大のメリットは、専門性を持つ機関が支援全体を一括して担えることです。支援責任者や担当者が常勤で配置されている登録支援機関は、特定技能制度の細かな運用要件を熟知しており、変更される制度に柔軟に対応しながら支援計画を立て直すことができます。また、言語対応や生活支援のノウハウを持つ外部プロの力を借りることで、外国人材の定着率向上やトラブルの未然防止にもつながります。

ただし、外注が万能というわけではありません。登録支援機関の中には、要件強化を機に体制整備が追いつかないところも出てくる可能性があります。改正後、支援責任者や担当者の要件を満たせずに登録が継続できなくなる登録支援機関が現れる可能性もありえます。こうした場合には、外注先の支援体制を自社で評価・監督する目線が重要です。飲食店経営者自身が、どのような体制で支援が提供されているのかを理解し、必要に応じて支援方法や委託先の見直しを行うことが求められます。

 

内注(社内で対応する)ことを検討すべき場合は?

特定技能制度は、深刻な人手不足が続く飲食業界にとって欠かせない外国人材の受け入れ手段として広く活用されています。一方で、法務省・出入国在留管理庁が発表した2027年4月の制度改正により、登録支援機関に求められる要件は大きく厳格化されます。
この改正によって、登録支援業務は「片手間で回せる業務」から、「一定の人員と体制を前提とした専門業務」へと位置づけが変わりつつあります。

こうした中で、飲食店が登録支援機関を内製化(社内で対応)するという選択肢も考えられます。内注化の最大の強みは、支援業務が自社内で完結するため、現場の実情を踏まえた柔軟な対応ができ、支援品質を自分たちでコントロールできる点にあります。
制度改正後は、支援責任者や支援担当者が単に制度を知っているだけでなく、実際の職場環境や外国人材の働き方を理解したうえで行動しているかが重視されるため、現場を熟知した社内人材が支援に関わること自体は大きな強みになります。

しかし一方で、2027年改正を前提にすると、内注化のハードルはこれまで以上に高くなります。
改正後は、支援責任者・支援担当者の常勤配置が求められ、担当者1人あたりの対応人数にも事実上の上限が設けられる見込みです。つまり、「店長や本部スタッフが兼務で何とか回す」「特定の担当者に業務を集約する」といった体制では、制度要件を満たし続けることが難しくなります。

さらに、支援に専任またはそれに近い形で関われる常勤スタッフを確保・育成する必要があるため、人件費や教育コストは確実に増加します。加えて、担当者の退職や休職が発生した場合に代替要員を用意できなければ、支援体制そのものが制度要件を下回るリスクも生じます。

 

そのため内注化は、
・受け入れ人数が比較的少なく、国籍も限定されている
・中長期で外国人材を主力人材として育成する方針が明確
・支援業務を「コスト」ではなく「経営投資」と位置づけられる
といった条件がそろって初めて、現実的な選択肢となります。

制度改正後の内注は、「できるかどうか」ではなく、継続的に回し続けられるかが問われます。

 

外注と内注のバランスをどう考えるか?

外注か内製かを検討する際は、「制度上できるかどうか」ではなく、自社の体制で“支援の質”を継続的に担保できるかという現実的な視点が重要になります。
特に制度改正後は、支援業務の実施状況そのものが問われるため、以下の観点から慎重に判断する必要があります。

まず確認すべきなのが、対応可能な人数と所属機関数が制度要件に合致しているかです。
支援担当者1人あたりが無理なく対応できる人数には限界があり、国籍の多様化や店舗数の増加に伴い、業務負荷は想像以上に膨らみます。

 

 

この場合、定期面談や生活相談、日本語サポート、行政対応、トラブル発生時のフォローまで含めると、支援担当者1名で全員を継続的にカバーするのは現実的とは言えません

実務上の目安としては、
同一国籍・同一店舗が中心であれば 1名あたり10名前後
複数国籍・複数店舗にまたがる場合は 1名あたり5〜8名程度
が、支援の質を維持しやすいラインと考えられます。

この基準に当てはめると、上記の例では、最低でも2名以上の専任または兼任の支援担当者を確保する必要があります
さらに、担当者が現場責任者を兼務できるか、休職・退職が発生した場合の代替体制を用意できるか、夜間や休日の緊急対応まで想定できているかといった点も含めて検討することが重要です。

もし、
・支援を担える人材が限られている
・今後、外国人材の国籍や人数が増える見込みがある
・支援業務が特定の担当者に依存しやすい
といった懸念がある場合には、登録支援機関を活用した外注することで、制度改正後のリスクを抑えやすくなります。

一方で、
・受け入れ人数が少数で国籍も限定されている
・長期雇用を前提に、社内で支援ノウハウを蓄積したい
・支援業務を人材定着や育成戦略の一部として位置づけたい
といった場合には、内製化が中長期的な競争力につながる可能性もあります。

今から備えるべき実務対応は?

2027年4月の制度変更が見えてきた今の段階で、支援体制の設計を早めに始めることは飲食店経営者にとって大きな価値があります。いずれを選ぶにしても、まずは現在の支援計画や支援体制が実際の運用と一致しているかを再確認し、制度改正後にどのように対応していくかを具体的に描くことが重要です。

特に外注を選択する場合は、支援責任者や支援担当者が常勤で配置されているか、対応可能な人数と所属機関数が制度要件に合致しているかを慎重にチェックしてください。一方で自社での実施を検討する場合は、支援の専門性を高めるための教育や仕組みづくりが必要になります。

まとめ

2027年4月の特定技能制度改正は、登録支援機関をめぐる支援体制のあり方を大きく変えます。飲食店経営者は、外注・自社での実施のどちらが自社にとって最適な選択かを、制度要件だけでなく現場の実態や将来の採用戦略まで見据えて判断する必要があります。どの選択にも一長一短があるからこそ、重要になるのは「形式」ではなく、外国人材が安心して働き続けられる支援の質です。

なお、制度改正を見据えて支援体制を外部に任せたい場合は、飲食店向けの実務に精通した登録支援機関に外注するという選択肢もあります。自社で抱え込まず、専門的なサポートを活用することが、これからの人材確保と経営の安定につながる一つの方法と言えるでしょう。

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柴田彩
大学ではインターナショナルビジネスとマーケティングを専攻しました。多文化な環境で暮らす中で、「言葉で伝えること」の力と難しさ、そして面白さを日々実感してきました。 このサイトでは、日本の飲食業界における外国人材の受け入れや、「特定技能」制度に関する情報を中心に発信しています。制度や手続きといった堅いテーマも、できるだけわかりやすくお届けできたらと思っています。誰かの「なるほど」「知らなかった!」という気づきにつながる、そんな記事を目指しています。
柴田彩
大学ではインターナショナルビジネスとマーケティングを専攻しました。多文化な環境で暮らす中で、「言葉で伝えること」の力と難しさ、そして面白さを日々実感してきました。 このサイトでは、日本の飲食業界における外国人材の受け入れや、「特定技能」制度に関する情報を中心に発信しています。制度や手続きといった堅いテーマも、できるだけわかりやすくお届けできたらと思っています。誰かの「なるほど」「知らなかった!」という気づきにつながる、そんな記事を目指しています。