労働基準法違反とは?違反の罰則や事例・発覚〜罰則までの流れを解説

目次

労働基準法違反は、以下のようなリスクを抱えます。


「是正勧告や指導を労働基準監督署から受ける」
「罰金や懲役刑が科される可能性がある」
「採用や取引にも悪影響が出る恐れがある」


どのような行為が労働基準法違反に該当するのか、理解する必要があります。


また労働基準法は国籍を問わず日本で働く方全てが原則適用されます。
自社の人材不足のため外国人人材を活用されている方も同様に理解が必要となります。


本記事では、労働基準法違反の内容や罰則、実際の事例などを詳しく解説します。
従業員を雇用している企業経営者や人事担当者は、ぜひ最後までご覧ください。


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労働基準法違反とは

テクノロジー

労働基準法違反は、賃金未払いや残業代不払い、長時間労働、有給休暇未付与など、最低基準を下回る労働条件を与える行為です。

違反が発覚すると、労働基準監督署から是正勧告や指導を受けるほか、罰則が課される場合もあります。

違反が公表されると企業の信用が損なわれ、採用や取引に影響を及ぼすリスクも無視できません。

また、労働基準法は、日本国内で適用される強行法規であり、労働者保護の観点から、契約よりも優先される効力を持ちます。

事業が日本で運営されていれば、事業主は日本人・外国人問わず、また日本法人であるか外国法人であるかを問わず適用されます。

反対に、日本国外で営まれる事業に関しては、属地主義の原則から、事業主が日本人であったり、日本法人であっても適用されません。

参考:厚生労働省「労働基準法における「事業」及び「労働者」について」

労働基準法とは

労働基準法は、日本国憲法第27条第2項に基づき、労働者を保護するために、賃金や労働時間、休暇など労働条件の最低基準を定めた法律です。

労働者の国籍や性別を問わず適用され、一部規定は不法就労者も権利が保障されます。

法律違反に対しては、罰則や司法処分が科される場合があります。適用対象は幅広く、パートタイムや派遣社員も含まれるため注意しましょう。

また、労働基準法は、労働者の健康と生活を守るために、さまざまな義務を使用者に課しています。例えば、労働時間の上限規制や休日の付与、割増賃金の支払いなどです。

労働基準法違反の例

図書館

労働基準法違反の種類は以下のとおりです。

  • • 賃金に関する違反

  • • 労働時間・休憩に関する違反

  • • 休暇・産休に関する違反

  • • 解雇に関する違反

  • • 就業規則に関する違反

  • • その他の違反

  •  

それぞれを詳しく解説します。

賃金に関する違反

賃金を支払わない、または支払いが遅延する行為は労働基準法違反に該当します。

例えば、以下のケースは労働基準法違反に該当するため、注意してください。

  • •  時間外労働や深夜労働、休日労働の割増賃金を適切に支払わない

  • •「毎月1回以上、一定期日に支払う」規定を守らない

賃金の未払いや支払い遅延は、労働者の生活に大きな影響を与えるため、重大な違反です。

労働時間・休憩に関する違反

36協定を締結せずに法定労働時間を超える労働をさせたり、36協定の上限を超える長時間労働を強制したりするのは違反行為です。

また、労働時間が6時間を超える場合に45分以上の休憩を与えなかったり、8時間を超える労働で1時間以上の休憩を与えない場合も同様なので注意してください。

加えて、従業員に週1日または4週間で4日以上の休日を与えないのも違反の対象なので注意しましょう。

休暇・産休に関する違反

妊娠中

有給休暇の取得を拒否したり、年間10日以上の有給休暇が付与される労働者に対して5日の時季指定を怠ったりすると労働基準法違反に該当します。

また、産前6週間(多胎妊娠の場合14週間)、および産後8週間の産休取得を拒否したり、1日2回各30分以上の育児時間を与えない場合も違反なので注意しましょう。

解雇に関する違反

解雇の30日前までに予告をせず、解雇予告手当を支払わない行為も労働基準法違反です。

また、労働基準法第20条を無視した不当解雇を行うのも法律違反なので注意してください。

就業規則に関する違反

常時10人以上の従業員がいる事業所で就業規則を作成していない場合や、就業規則を労働基準監督署に届け出ていない場合は違反に該当します。

使用者は、就業規則を理解し、適切に対処するように意識してください。

その他の違反

法

従業員に違約金の支払いを強制したり、恫喝や監禁で強制労働を課したりするのは違反行為です。

また、企業側の責での休業の場合に、労働者へ休業手当を支払わないのも法律違反に該当します。

このため、休業手当の支払いを怠らないように注意しましょう。

労働基準法違反の主な罰則内容

ノートとペン

以下のような罰則が、労働基準法違反では定められています。違反の内容次第では、より重い刑罰が科される場合もあります。

違反内容

罰則

   強制労働の禁止(第5条)

   1年以上10年以下の懲役 or 20万円以上300万円以下の罰金

   労働条件差別の禁止(第3条、第4条、第7条)

   6ヵ月以下の懲役 or 30万円以下の罰金

   解雇関連規定(第19条、第20条)

   6ヵ月以下の懲役 or 30万円以下の罰金

   労働時間や休憩時間(第32条~第37条)

   6ヵ月以下の懲役 or 30万円以下の罰金

   年次有給休暇の未付与(第39条)

   6ヵ月以下の懲役 or 30万円以下の罰金

   妊産婦保護(第65条、第66条)

   6ヵ月以下の懲役 or 30万円以下の罰金

   賃金関連規定(第24条、第25条、第26条)

   6ヵ月以下の懲役 or 30万円以下の罰金

   就業規則関連(第89条~第91条)

   30万円以下の罰金

 

罰則は企業だけでなく、個人の使用者にも適用される場合があるため注意しましょう。

また、違反を防止するためには、法律の理解と遵守が不可欠です。定期的な社内点検や従業員教育を通じて、コンプライアンス意識を高めていく姿勢が求められます。

労働基準法違反の発覚〜罰則までの流れ

文書に書く

労働基準法違反が疑われる場合、以下のような流れで調査と処分が行われます。

  • • 労働基準監督署による調査開始

  • • 違反が認められた場合は是正勧告が交付

  • • 刑事手続きへの移行

  • • 罰則の適用

  •  

それぞれの段階を詳しく解説します。

労働基準監督署による調査開始

従業員からの告発や匿名通報などで労働基準法違反の疑いが生じると、労働基準監督署が事業所へ調査を行います。調査対象にはタイムカードや出勤簿など、労働時間に関する記録が含まれます。

使用者は、監督署の調査に誠実に対応し、必要な資料を提出する義務があります。

なお、調査を拒否したり虚偽の報告や隠蔽を行えば、罰則の可能性が高くなるため注意してください。

違反が認められた場合は是正勧告が交付

大きな図書館

労働基準法違反が認定されると、労働基準監督署から是正勧告が発行されます。勧告は違反事項の具体的な内容と是正方法を含みます。

是正勧告を受けた場合は、速やかに違反状態を解消し、再発防止策を設定してください。是正勧告を無視すれば刑事手続きに進む可能性が高まるため、対応が不可欠です。

また、是正勧告自体に法的拘束力はありませんが、従わないと企業イメージに悪影響が出る可能性があるため注意してください。

刑事手続きへの移行

是正が行われない場合、司法手続きが開始され、企業や関係者が送検されます。刑事事件で取りあつかわれると、企業経営や社会的信用に大きな損害が生じます。

また、使用者個人も責任を追及されたり、役員などが個別に起訴される可能性もあるため注意してください。

なお、公判では労働基準法違反の詳細と責任の範囲が検証されます。有罪判決が下れば、懲役や罰金などの刑罰が科せられます。

罰則の適用

違反の内容に応じて、懲役や罰金が科せられる場合があります。強制労働や悪質なケースでは、より重い刑罰が科される可能性も無視できません。

また、罰則を受けると企業名が公表される場合があり、信用低下や採用難につながります。

労働基準法違反は、企業が抱える重大なリスクです。違反を防ぐためには、法律の理解と遵守、適切な労務管理体制の構築が欠かせません。

違反が疑われる場合は、速やかに是正措置を講じ、再発防止に努めるようにしてください。

労働基準法に違反した実際の企業事例一覧

法の斧

実際に労働基準法違反で処分を受けた企業事例には、以下のようなものがあります。

  • • 賃金未払いの事例

  • • 36協定違反の事例

  • • 残業代未払いの事例

  •  

それぞれの事例を詳しく見ていきましょう。

賃金未払いの事例

北海道の製造業者の事例では、2名の労働者に対し、1ヵ月分の定期賃金約43万円を支払わなかったため、2024年3月19日に公表されました。

また、山形県の理美容業者の事例では、4名の労働者に対し、7ヵ月間にわたり定期賃金合計約277万円を支払わず、2023年11月1日に公表されました。

上記2つの事例は、最低賃金法第4条違反に該当します。

加えて、外国人労働者に対する賃金未払いの事例も報告されています。厚生労働省の発表では、外国人技能実習生の受け入れ事業者7,200件以上で法令違反が確認されました。
参考:厚生労働省「労働基準関係法令違反に係る公表事案」

参考:厚労省、外国人技能実習生の受け入れ事業者7200件超で法令違反と発表

36協定違反の事例

秋田県のアパレル関連企業の事例では、3名の労働者に対して、36協定で定めた延長時間や休日労働回数の上限を超えた労働を課し、月100時間を超える時間外・休日労働を行わせたため、2024年10月21日に公表されました。

上記は労働基準法第32条、第35条、第36条第6項違反に該当します。

北海道のバス運行会社の事例では、

有効な36協定の締結・届出を行うことなく、8名の労働者に違法な時間外労働を行わせたとして、2024年3月1日に公表されました。

上記は労働基準法第32条違反にあたります。

36協定の締結・届出を適切に行い、協定内容を遵守するのが使用者の責務です。

参考:厚生労働省「労働基準関係法令違反に係る公表事案」

残業代未払いの事例

宮城県の運送会社の残業代未払いの事例では、15名の労働者に対し、12ヵ月間の時間外労働に対する割増賃金合計約344万円を支払わなかったため、2024年8月2日に公表されました。

上記は労働基準法第37条違反に該当します。

使用者は、適切な労務管理を行い、労働時間を正確に把握する必要があります。そのうえで、法定の割増率に基づいた残業代を支払わなければなりません。

参考:厚生労働省「労働基準関係法令違反に係る公表事案」

労働基準法に違反してしまった際の対処法

作業工程

労働基準法違反を指摘された場合は、速やかに事実を確認し、問題点を特定するのが重要です。労働基準監督署からの是正勧告に従い、指摘箇所を迅速に改善しましょう。

違反内容が複雑な場合は、専門の弁護士に相談し適切な対応を取るのをおすすめします。従業員との信頼関係を回復するためにも、適切なコミュニケーションを図るのが大切です。

また、同様の問題を繰り返さないよう、就業規則や管理体制を見直し、従業員教育の徹底が求められます。

再発防止に向けた取り組みを行い、企業の信頼回復につなげましょう。

労働基準法に違反しないように社内の体制を確認しよう

鉛筆で長方形に印を付ける

労働基準法は、労働者の権利を守るために重要な法律です。違反すると、罰則や信用低下など企業に大きな損害が生じる恐れがあります。


また、労働基準法違反を防ぐためには、社内の労働条件や管理体制の定期的な確認が重要です。
賃金の支払いや労働時間・休暇の管理、就業規則の整備などに関して、法律に則った適切な運用を心がけましょう。


加えて、労働基準法に関する知識を社内で共有し、従業員の理解を深めるのも重要です。
管理職への研修や、従業員向けの勉強会などを通じて、コンプライアンス意識を高めていくのが効果的です。
本記事を参考に、適切な労務管理を行い、違反のないよう努めていきましょう。


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