管理者が担う労務管理の業務内容とは?5つの役割を詳細解説

労務管理の業務内容に関する記事のアイキャッチ

飲食店の経営者、採用担当の方、以下のようなお悩みはありませんか?


「管理者と管理監督者の違いって何?」
「管理者の労務管理の業務内容って何?」


本記事では、管理者と管理監督者の違い、管理者の労務管理の業務内容、管理職の方が今知っておくべき労務管理の課題を詳しく解説しています。


本記事を最後まで読めば、管理者として労務管理を行う上で必要な知識が十分身につくはずです。
弊社G-FACTORY株式会社では、飲食業界の人材不足を解消するため外国人人材の採用支援から就労者の在留資格・特定技能ビザ取得支援、36協定をはじめとする労務管理の整備アドバイスなど企業側の受入支援まで外国人人材の採用サポートを一気通貫で行っています。
自社の飲食店で、外国人材による人材不足の解消を図りたいと検討している企業様は、以下のページからお気軽のご連絡ください。

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労務管理を担うのは管理職?管理監督者?両者の違いをご紹介

労務管理とは従業員の労働条件や労働環境を管理する業務であり、適法性の確保と生産性向上の両面から重要となっています。
労務管理を担う「管理職」は役職名を指すのに対し、「管理監督者」は労働者でありながら経営者と同じ立場で評価・判断できる者を指すため、両者は異なる概念です。
管理監督者は、企業内での実質的な権限と責任を持ち、労務管理の意思決定に関与できる立場にあるため、適切な労務管理の実施が求められています。
このような違いを前提として、次の章に向かいましょう。

 

管理職に義務付けられる労務管理の具体的な業務内容

2人が働いています

それでは、管理職に義務付けられる労務管理の具体的な業務内容をご説明します。

まず、管理職に義務付けられる労務管理には、勤怠管理、労働条件の把握・管理、ワークライフバランスの確保、ハラスメント対策、メンタルヘルスケアの5つの重要な役割があります。

これらの業務は、従業員の労働環境を適切に整備し、生産性向上とコンプライアンス遵守の両立を目指すものとなっています。

それでは、各管理内容の具体的な実践方法を理解し、組織全体の健全な運営を支える土台作りを行っていきましょう。

 

管理者が実施する労務管理その1|勤怠時間の管理

男は違う時計を見ている

まず、勤怠管理とは、従業員の勤務日や勤務時間を正確に記録・把握することであり、従業員間での勤務時間の格差や、実際の仕事量と勤務時間の乖離を監視する必要があります。


不正な勤怠申請を防ぐため、従業員同士の結託による勤務時間の水増しなども視野に入れた適切な監視体制の構築が求められる仕事です。
また、36協定で定められた時間外労働の上限(原則月45時間・年360時間)を遵守し、例外的な特別条項(年6回まで)の適用も適切に管理することが重要です。
飲食業界では、正社員だけでなくアルバイト雇用も多かったり、アルバイトスタッフが掛け持ちで働いていたり、また勤務形態がシフト制となっているケースが多いことから正確な勤務の把握ができる体制は大きな課題の一つです。

 

管理者が実施する労務管理その2|労働条件の把握ならびに管理

管理者は、従業員の雇用契約で定められた労働時間、休暇制度、賃金などの労働条件が適切に守られているかを常に把握・管理する必要があります。
有給休暇に関しては、労働基準法に基づき6ヵ月以上継続勤務した従業員に10日以上を付与し、年間最低5日の取得を確実に管理することが求められています。
特に有給休暇の取得に関しては、企業側に認められている「時季変更権」の行使も、事業の正常な運営を妨げる場合に限り、人事担当者や専門家と相談の上で適切に判断する必要があることに注意しましょう。

 

管理者が実施する労務管理その3|ワーク・ライフ・バランスの確保

天秤

ワーク・ライフ・バランスの確保は企業の売上向上に直結するため、管理者はフレックスタイム制度や在宅勤務制度などの福利厚生制度を適切に運用し、従業員の生活と仕事の両立を支援する必要があります。
例えば、育児・介護休業制度の整備や健康管理プログラムの提供など、従業員の多様なライフステージやニーズに対応した支援体制の構築が求められます。
なお、各制度の運用にあたっては、最新の労働基準法の改正内容を踏まえ、法令遵守と実効性の両立を図ることが重要となっています。

 

管理者が実施する労務管理その4|ハラスメント対策

ハラスメントは個人間の問題ではなく組織として解決すべき課題であり、管理者には労働施策総合推進法や男女雇用機会均等法に基づく防止措置を講じる法的義務があります。
例えば、職場環境の分析によるリスク特定、全社的な研修実施、相談窓口の設置など、予防から対応までの包括的な防止体制の構築が求められています。
なお、ハラスメント発生時は対象者への処分だけでなく、組織全体での再発防止策を講じ、職場の人間関係の適切な指導と管理を徹底する必要があります。

 

管理者が実施する労務管理その5|メンタルヘルスケア

絵文字カードを並べる

メンタルヘルスケアは目に見えない問題のため、管理者は日常的な従業員とのコミュニケーションを通じて、業務負担や人間関係の悩みなど、心の健康に関する異変を早期に察知する必要があります。
ここでは、定期的な個別面談の実施やストレスチェックの導入によって、従業員のメンタルヘルスの状態を組織的かつ継続的に把握・管理することが重要です。
もし、管理者の対応だけでは解決が難しい場合は、産業医や保健師などの専門家と連携し、適切な支援体制の構築が求められるでしょう。

 

管理職の方が今知っておくべき労務管理の課題を5つご紹介

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つづけて、労務管理の昨今の課題と注意すべき観点を5つご紹介いたします。
昨今の労務管理では、働き方改革関連法の施行や新型コロナウイルスの影響により、従来の管理手法では対応が困難な新たな課題が次々と浮上しています。
特に飲食業界では、人手不足の深刻化、多様な雇用形態への対応、労働時間管理の厳格化など、複数の課題が同時に押し寄せており、経営者や人事労務担当者には、より戦略的な対応が求められています。
そこで、本章では、特に重要な5つの観点(多様な働き方への対応、労務管理の効率化、情報管理、コンプライアンス、ハラスメント対策)の具体的な課題と対応策を解説いたします。

 

労務管理の課題1:多様な働き方への対応

まず一つ目は、多様な働き方への対応です。


飲食業界の働き方の多様化は、短時間勤務、フレックスタイム制、副業・兼業容認など多岐にわたり、特にコロナ禍以降は従業員のニーズや価値観の変化に応じた柔軟な労働環境の整備が急務となっています。
特に注目すべき点として、同一労働同一賃金への対応があり、正社員とパート・アルバイト間の不合理な待遇差の解消や、公正な評価制度の構築、さらには職務内容や勤務時間に応じた適切な処遇設計が求められています。
また、育児・介護との両立支援や高齢者の活用など、多様な人材の戦力化に向けて、シフト制の柔軟な運用や業務分担の見直し、教育訓練体制の整備など、包括的な施策の実施が必要となっています。

 

労務管理の課題2:労務管理の効率化

二つ目は、労働管理の効率化です。
労務管理業務の効率化では、勤怠管理システムや給与計算ソフト、クラウド型の人事労務管理システムなどのデジタルツールの導入が急速に進んでおり、特に人手不足が深刻な飲食業界では、これらのテクノロジーを活用した業務効率化が競争力の維持に不可欠となっています。
システム導入の際には、シフト管理、勤怠管理、給与計算、社会保険手続きなどの各業務の連携性を重視し、データの二重入力や転記ミスを防ぐとともに、管理者の負担軽減と従業員の利便性向上を両立させることが重要です。
ただし、システム導入だけでは十分な効果が得られず、業務プロセスの見直しや従業員への教育、運用ルールの整備など、人的な側面での取り組みもあわせて実施する必要があることに留意しましょう。

 

労務管理の課題3:情報管理

三つ目は、情報管理です。
労務管理の情報管理では、従業員の個人情報(住所、家族構成、給与情報、健康診断結果など)を適切に保護する必要があり、特に2022年の個人情報保護法改正以降、より厳格な管理体制の構築が求められています。
クラウドシステムの導入により、データの保管や共有が容易になる一方で、情報漏洩のリスクも高まっているため、アクセス権限の設定やパスワード管理の徹底、従業員への情報セキュリティ教育など、包括的な対策が必要となっています。
また、マイナンバーや健康情報など、特に機密性の高い情報には、保管場所の限定や取扱者の制限など、通常の個人情報以上に厳格な管理が必要であり、定期的な管理体制の見直しと改善が求められています

 

労務管理の課題4:コンプライアンス

コンプライアンス

四つ目は、コンプライアンスです。
飲食業界の労務コンプライアンスでは、労働基準法、最低賃金法、労働安全衛生法などの基本的な労働法規に加え、食品衛生法や酒類提供に関する規制など、業界特有の法令遵守も求められ、違反した場合の罰則も厳格化しています。
特に注意すべき点として、残業時間の上限規制や年次有給休暇の確実な取得、36協定の適切な締結と運用、さらには外国人労働者の在留資格確認など、日常的な労務管理の法令遵守の徹底が重要です。
また、コンプライアンス違反は企業イメージの低下や人材確保への悪影響にも直結するため、管理職への教育研修の実施や、内部通報制度の整備、定期的な労務監査の実施など、予防的な取り組みの強化が必要となっています。

 

労務管理の課題5:ハラスメント対策

五つ目は、ハラスメント対策です。
飲食業界特有のハラスメントリスクとして、接客業務でのカスタマーハラスメント、深夜勤務や閉店後の清掃時の性的ハラスメント、パワーハラスメントなど、さまざまな形態のハラスメントが存在しており、2024年4月からの中小企業に対するパワハラ防止法の適用拡大にともない、より実効性のある対策が求められています。
そして、ハラスメント対策として重要なのは、就業規則へのハラスメント禁止規定の明記、相談窓口の設置、管理職への研修実施、さらには従業員の意識啓発など、予防から事後対応までを含めた包括的な防止体制の構築です。
特に重要なのは、ハラスメントが発生した際の迅速かつ適切な対応であり、被害者の保護、加害者への処分、再発防止策の実施など、具体的な対応手順をマニュアル化し、組織全体で共有しておく必要があります。

 

管理職として労務管理の全体像を深く理解した上で実践しましょう

ラップトップで作業する男性

労務管理は、勤怠管理から労働条件の把握、ワーク・ライフ・バランスの確保、ハラスメント対策、メンタルヘルスケアまで多岐にわたる業務であり、管理職はこれらを包括的に理解し実践する必要があります。
特に飲食業界では、シフト制による複雑な勤務体系や深夜労働の管理、多様な雇用形態への対応など、業界特有の課題があり、より細やかな労務管理が求められています。


弊社G-FACTORY株式会社では、飲食業界の人材不足を解消するため外国人人材の採用支援から就労者の在留資格・特定技能ビザ取得支援、36協定をはじめとする労務管理の整備アドバイスなど企業側の受入支援まで外国人人材の採用サポートを一気通貫で行っています。
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織田 夏海
GーFACTORY株式会社 Promotion Support 飲食店舗のHPやSNS運用、メディア向けリリース業務などを通して「食」の世界に触れてきました。また、これまで飲食店経営者へのインタビューや飲食業界のSDGsに関する特集記事など、飲食業界に特化した記事を執筆してきました。このサイトでは、これらの経験を活かし、飲食業界の皆様に役立つ情報や、日々の業務に役立つヒントを提供していきます。
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