2025/01/24
『最新CPI徹底分析』米価67%増の構造的インパクト|2026年、飲食店が迫られる2つの経営決断
「物価高はひと段落した」――そんな声が聞こえ始めています。
実際、2026年1月23日に公表された2025年12月の消費者物価指数(CPI)は、総合指数で前年同月比2.1%と、数字の上ではインフレの鈍化が確認されました。
しかし、この数字をもって安心するのは、飲食店経営者にとって非常に危険です。CPIの内訳を見ると、食材費や光熱費といった“逃げ場のないコスト”は高止まりし、2025年に積み上がった負担が、2026年の経営を直撃する構造がはっきりと見えてきます。とりわけ、米価を中心とした食料コストの異常な上昇は、もはや一過性ではありません。
本記事では、2025年12月および通年CPIのデータをもとに、飲食店が直面する「真の分水嶺」と、2026年に向けて迫られる決断を整理します。
各月のデータはこちらから
2024年12月
2024年12月
総合指数は前年同月比 3.0%上昇
2025年1月24日、総務省が2024年12月の消費者物価指数(CPI)を発表いたしました。
発表によると、生鮮食品を除いた総合指数は前年同月比で3.0%上昇しました。この上昇率は、政府の電気・ガス料金補助終了に伴うエネルギー価格の上昇や、食材価格の高騰が主な要因です。特に飲食業界においては、経営に直結する影響が懸念されています。
総務省によれば、生鮮食品を除く食料品の価格は4.4%上昇しており、中でもコメ類は前年同月比で64.5%上昇。これにより、「おにぎり」の価格は8.3%、「寿司」を含む外食メニューも4.6%の上昇となりました。その他、生鮮食品では「キャベツ」は2.3倍となっています。
食材だけでないコスト増。運営の効率化が必須に
また、エネルギー価格の高騰も見逃せません。「電気代」は18.7%、「都市ガス代」は11.1%上昇しており、厨房設備や店内空調の運用コストが増加。これらの費用負担は、特に中小規模の飲食店経営者にとって頭の痛い問題となっています。
この物価上昇により、飲食店経営者にとっては原材料費の高騰が大きな課題となっています。特に、外食需要が回復傾向にある一方で、消費者の価格感度が高まっていることから、メニュー価格の設定や仕入れ戦略の最適化が重要です。また、エネルギー価格の高騰は光熱費の増加にも影響を及ぼしており、店舗運営の効率化が不可欠です。
2025年10月
物価上昇は「高止まり」から「構造的なコスト増」へ。最新CPIが示す深刻な現実とは?
総務省が2025年11月21日に公表した最新の消費者物価指数(CPI)は、インフレが一時的なものではなく、コスト構造に深く根付く「構造的な上昇」に移行したことを示しています。
特に、2025年10月分のデータでは、変動の大きい生鮮食品とエネルギーを除いた「コアコアCPI」が前年同月比3.1%の上昇を記録しました。これは、燃料や天候といった外部要因が緩和してもなお、国内の賃金上昇や加工・流通コストの上昇圧力が継続していることを意味します。
この状況は、過去のデータが示した危機的なコスト増がそのまま定着し、さらに悪化していることを示しています。2026年に向け、この「コスト高」の波を乗り越えるためには、最新のデータが示す「どこに」「どれだけ」コストが増加しているかを正確に把握し、抜本的な経営戦略を立てる必要があります。
1. データが示すコスト増の「最重要ターゲット」:利益率の深刻な圧迫とは?
飲食店経営者が最も注視すべきは「食料」と「外食」の指数です。食材費の上昇が、外食の価格転嫁を上回るペースで進行しており、実質的な利益率の圧迫が深刻化しています。
食材費高騰が止まらない!「外食」は転嫁追いつかず利益率を圧迫?
生鮮食品を除く食料は、2025年10月時点で前年同月比7.2%もの高い上昇率を記録しており、過去のピーク時(2024年12月:4.4%上昇)からさらに加速しています。
特に、以下の品目は、飲食店の中核的な原価を直撃し、抜本的な対策が不可欠です。
【個別品目の衝撃的な伸びと価格転嫁の遅れ】
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うるち米(コシヒカリを除く)は、前年同月比で39.6%の上昇を記録しており、米飯を主力とする店舗の経営を直撃し続けています。
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しかし、外食自体の指数は4.3%の上昇に留まっています。これは、食材費の上昇(7.2%)に対して、顧客の客離れを恐れて値上げが追いついていないことを示唆しており、実質的な利益率の圧迫が深刻化している証拠です。
燃料補助金後も続く「光熱費」の負担?
人件費と並ぶ固定費の重圧?
電気・ガス料金の政府補助金が縮小・終了したことで、エネルギーコストの負担も無視できない状況です。
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光熱・水道全体では前年同月比2.2%の上昇です。
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中でも電気代は3.5%上昇しており、厨房や空調の使用量が多い飲食店にとって、人件費と並ぶ大きな固定費となっています。店舗運営の効率化は、もはや原材料費だけでなく、この光熱費の上昇に対する防御策としても不可欠です。
2. 2026年を勝ち抜く!経営者が取るべき行動とは?
最新のCPIは、コスト高の「戦い」が2026年も構造的に続くことを示唆しています。飲食店経営者は、この厳しい環境を乗り越えるため、「コスト削減」と「売上増加」の二正面作戦を高度化する必要があります。
戦略1:コスト体質を抜本的に変える「原価・光熱費DX」
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米の高騰対策の恒久化: 穀類+16.8%という状況は、一時的なものと捉えてはなりません。
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米飯の提供量を見直す、または仕入れ価格の上昇分を吸収できる高粗利メニュー(例:ドリンク、アルコール、高付加価値なサイドメニュー)への誘導を強化する「メニューミックス戦略」が、今後の利益確保の鍵となります。
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光熱費の「見える化」と削減: 電気代+3.5%に対応するため、スマートメーターなどを活用し、時間帯別の電力使用量を可視化します。高効率の業務用機器への切り替えなど、**省エネ投資を「経費」ではなく「将来への利益改善投資」**と捉え直すことが重要です。
戦略2:客単価と満足度を高める「攻めの価格戦略」
外食の価格上昇が4.3%に留まっている今、利益を確保するためには、競合店との価格競争に陥らず、適切な利益を確保する「攻め」の姿勢が必要です。
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付加価値への価格転嫁を徹底: 単に食材原価の上昇分を転嫁するのではなく、「体験」や「サービス」といった付加価値を高めた上で値上げを行います。特にインバウンド需要の回復に伴い、宿泊料が8.5%上昇しているように、「良い体験」には価格を厭わない層が増えています。料理のストーリーテリングや接客の質を向上させ、適切な高価格帯メニューを設計すべきです。
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DXによる顧客体験向上: モバイルオーダーや多言語対応を進めることで、スタッフの負担を減らしつつ、正確でスムーズな顧客体験を提供します。これにより、お客様が感じる**「価格に見合ったサービス」**を向上させ、値上げを受け入れてもらいやすくします。
物価高の波は今後も続き、経営環境は厳しさを増しますが、このCPIのデータを経営の羅針盤として活用し、コスト管理の厳格化と価格戦略の最適化を両立させることで、2026年も持続的に成長できる飲食店経営を目指しましょう。
2025年10月:まとめ
最新の2025年10月CPI(消費者物価指数)は、コスト増が「構造的な上昇」へ移行したことを示しています。特に、食材費(食料+7.2%)の異常な高騰に対し、外食価格への転嫁(+4.3%)が追いついておらず、利益率の圧迫が深刻化しています。2026年は、このコスト増を前提に、光熱費や人件費を抑える「効率化投資」と、付加価値を高めた「攻めの価格戦略」への転換が急務です。
2025年11月
物価は落ち着いた?─2025年11月CPIが示す、飲食店経営の“本当の現実”
「最近、物価は少し落ち着いてきたらしい」
そんな空気を感じる経営者も多いかもしれません。
12月19日に最新の消費者物価指数(CPI)が総務省より発表されました。
実際、2025年11月の消費者物価指数(CPI)を見ると、総合指数は前年同月比2.9%と、10月の3.0%からわずかに減速しています。数字だけを見れば、インフレはピークを越えたようにも見えるでしょう。
しかし、飲食店経営の視点でこのデータを読み解くと、状況はまったく異なります。
むしろ今は、「物価が落ち着いた」という誤解こそが、経営判断を最も誤らせやすい局面だと言えます。
インフレは終わっていない。形を変えて“定着”している?
2025年11月のCPIで注目すべきなのは、表面的な総合指数ではありません。
生鮮食品を除く総合指数は前年同月比3.0%、さらに生鮮食品とエネルギーを除いた、いわゆるコアコアCPIも3.0%と、高い伸びを維持しています。
これは、天候やエネルギー価格といった一時的要因を除いても、物価上昇が経済全体に定着していることを意味します。
飲食店にとっては、原材料費や人件費、流通コストといった「構造的コスト」が、すでに元に戻らない水準にあるということです。

食材費は高止まり、しかし外食価格は追いついていない
特に深刻なのが、食材費と外食価格のギャップです。
2025年11月時点で、生鮮食品を除く食料価格は前年同月比7.0%上昇しています。
中でも穀類の上昇は顕著で、うるち米(コシヒカリ除く)は37.0%の上昇。米を中心にメニューを構成する定食屋や居酒屋、丼業態にとって、この水準は「耐える」だけでは済まされない領域に入っています。
一方で、外食価格の上昇率は4.2%にとどまっています。
これは、原価が7%上がっているにもかかわらず、販売価格ではその半分程度しか転嫁できていない状態です。
「値上げをすれば客が離れるのではないか」
その不安から価格改定を先送りにした結果、忙しく営業しているのに利益が残らない、という店舗が増えています。
値上げをしないこと自体が、静かに利益を削る経営判断になっているケースも少なくありません。
光熱費は“落ち着いた”のではなく、再び重荷になり始めている
食材費と並んで見逃せないのが、光熱費の動きです。
2025年11月は、光熱・水道全体で前年同月比3.0%の上昇となりました。特に電気代は4.9%上昇しており、飲食店にとっては再び無視できない固定費となっています。
厨房機器、冷蔵・冷凍設備、空調。
飲食店は構造的に電力使用量を減らしにくい業態です。そのため、電気代の上昇は、売上の増減に関係なく利益を圧迫し続けます。
人件費と同様、光熱費も「気合で削れないコスト」になっているのが現実です。
「今は様子見」が、最も危険な選択肢になる理由とは?
総合CPIがわずかに減速したことで、「もう少し様子を見よう」と考える経営者もいるでしょう。
しかし、今回の11月データが示しているのは、インフレの終息ではありません。
食材費は高止まりし、光熱費は再上昇し、価格転嫁は十分に進んでいない。
この構造は10月から何も変わっていないのです。
むしろ、「物価は落ち着いた」という空気だけが先行することで、価格改定や業態見直しといった意思決定が遅れやすくなっています。
その結果、気づいたときには利益率だけが確実に下がっている、という状況に陥りかねません。
2026年を見据え、今求められる経営の視点は?
これからの飲食店経営で重要なのは、「一時的な節約」ではなく、構造的に利益が残る形を作ることです。
原価については、仕入れ価格を嘆くだけでなく、米や穀類の使用量を前提から見直す、原価率の高いメニュー構成を再設計するといった視点が欠かせません。
光熱費についても、省エネは我慢ではなく、工程や時間帯を可視化し、利益改善につながる投資として捉える必要があります。
また、価格についても、単なる値上げではなく、「この価格でも納得される価値」をどう作るかが問われます。体験、利便性、ストーリー性、オペレーションの工夫。価格以外で選ばれる理由を積み上げることが、結果的に利益率を守ることにつながります。
2025年12月
「米価67%増」の衝撃と、終わらない固定費増。2026年、飲食店が直面する“真の分水嶺”
2026年1月23日、総務省より2025年12月分および2025年平均の消費者物価指数(CPI)が公表されました。
2025年通年の総合指数は前年比3.0%上昇。12月単体では前年同月比2.1%と、数字の上では伸びが鈍化したように見えます。しかし、その内訳を解剖すると、飲食店経営者にとって「一息つける」状況など微塵もないことが分かります。むしろ、2025年に積み上がったコスト増が、2026年の経営基盤を根底から揺さぶろうとしています。
データが示すコスト増の「最重要ターゲット」は?米価高騰という異常事態
2025年の1年間を通じて、飲食店を最も苦しめたのは間違いなく「食料品」の記録的な高騰です。
穀類+21.9%の衝撃。もはや「工夫」で吸収できるレベルではない
2025年平均で、生鮮食品を除く食料は前年比6.8%上昇。10月・11月の7%台からはわずかに軟化したものの、依然として異常な高水準です。 特に深刻なのは、日本の食生活の根幹である「米」です。

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うるち米(コシヒカリ除く):前年比67.2%上昇(2025年平均)
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おにぎり(外食):12月時点で前年同月比13.1%上昇
10月時点での「39.6%上昇」を大幅に上回る、年間を通じた壊滅的なコスト増が浮き彫りになりました。米を主食とする定食、丼もの、寿司などの業態において、原価率の計算はもはや2024年以前の常識が通用しないフェーズに入っています。
外食価格への転嫁は依然として「不十分」
一方で、外食全体の2025年平均上昇率は4.0%に留まっています。 食料(6.8%増)や穀類(21.9%増)の爆発的な上昇に対し、販売価格への転嫁が半分程度しか進んでいないという「利益の持ち出し」状態が1年を通じて常態化してしまいました。2026年は、この「削られた利益」をどう取り戻すかが生存条件となります。
忍び寄る「固定費」の重圧:電気代は年間で5%以上の上昇?
食材費に目を奪われがちですが、店舗運営を支えるインフラコストも深刻です。
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電気代:2025年平均で前年比5.3%上昇
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通信料(携帯電話):12月時点で前年同月比10.7%上昇
電気代は、補助金の有無に左右されながらも、通年で見れば確実に経営を圧迫しています。また、予約管理やSNS集客に不可欠な通信コストの上昇も、じわじわと利益を削る要因となっています。「節約」という精神論ではなく、構造的な「省エネ投資」や「オペレーションのデジタル化」による人件費抑制が、もはや避けては通れない投資であることを示しています。
2026年を勝ち抜く!経営者が取るべき「冷徹な決断」とは?
最新のデータが突きつけているのは、「コスト高は一時的な波ではなく、新しい土台(ニューノーマル)になった」という事実です。消費者物価指数(CPI)は、食料・エネルギーともに高止まりが常態化し、仕入れ原価が“元に戻る前提”での経営判断はもはや成り立ちません。
2026年、飲食店経営者は以下の2点において、これまで以上のスピード感で決断を下す必要があります。

戦略1:メニュー構成の「脱・依存」と「高粗利化」
米価が前年比で1.6倍以上になった今、米を「サービス」や「安価な主食」として提供し続けるモデルは限界を迎えています。CPIが示しているのは、穀類価格の上昇が一過性ではなく、構造的なコスト上昇であるという現実です。
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・ポーション(提供量)の厳格な管理
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・穀類に頼らない高付加価値メニューの開発
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・米価の影響を吸収できるアルコールやサイドメニューの出庫比率向上
これらを組み合わせた「攻めのメニューミックス」が不可欠です。“売れているメニュー”ではなく、“利益を残すメニュー”を基準にした構成転換が、2026年の明暗を分けます。
戦略2:12月データを踏まえた「再・価格改定」の断行
12月のデータで、宿泊料が前年比で高止まり(年平均6.8%増)しているように、消費者は「価値があるもの」への支出を止めてはいません。CPI上も、サービス価格は下がらず、価格と価値の関係がよりシビアに選別される局面に入っています。外食の4.0%という値上げ幅は、食材・エネルギーのコスト増を鑑みれば、まだ「甘い」と言わざるを得ません。
顧客の顔色を伺う「守りの価格設定」から、自店のブランドとスタッフの生活を守るための「適正な価格設定」へ。
2026年上半期中に価格改定を先送りせず決断できるかどうかが、年末に“耐えられる店”か“削られる店”かを分ける分岐点になります。
まとめ:「延命」か「再生」かの選択
2025年、私たちはかつてないほどのコスト増に直面しました。 米価67%増、電気代5%増。この数字を前にして、「いつか下がるだろう」という期待は経営のリスクでしかありません。
2025年のデータが証明したのは、「過去のやり方の延長線上には、赤字しかない」という冷徹な現実です。 2026年、私たちはこの高いコスト構造を前提とした「新しい飲食店経営」を再構築しなければなりません。それは苦しいプロセスですが、適正な価格転嫁と徹底的な効率化を成し遂げた店舗だけが、次なる成長のステージへと進むことができるのです。
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