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2021/04/09
SDGs達成に向けて飲食業界ができること-目標15.陸の豊かさも守ろう-
貧困や飢餓、ジェンダー平等や環境問題など、国際的に取り組む必要がある課題に関して定められた国際目標のSDGs(持続可能な開発目標)。学校や企業など、取り組む組織や機関が増え、ますます注目度が高まっています。飲食店でも、SDGs達成に向けて積極的に取り組む店舗が増えつつあります。今回は全部で17個ある目標のうち、「目標15.陸の豊かさも守ろう」について飲食店ができることを考えていきます。
目次
「目標15.陸の豊かさも守ろう」とは
目標15は「陸域生態系の保護、回復、持続可能な利用の推進、持続可能な森林の経営、砂漠化への対処、ならびに土地の劣化の阻止・回復及び生物多様性の損失を阻止する」をテーマに、「2030年までに持続可能な開発に不可欠な便益をもたらす山地生態系の能力を強化するため、生物多様性を含む山地生態系の保全を確実に行う」など計12の指標が定められています。少し分かりにくいですが、森林や耕作地などをこれからも使い続けられるように、守っていく必要があるということです。
あまり意識することはないかもしれませんが、実は世界中で森林が減少しています。FAO(国際連合食糧農業機関)の「世界森林資源評価2020」によると、1990年から2020年の間に約1.78億ヘクタールの面積(日本の国土面積の約5倍)の天然林が失われたとのことです。
森林減少の原因とその影響
どうして森林の減少が進んでいるのでしょうか。
私たち人間の活動が大きな原因となっています。例えば、世界全体の食肉の需要は増加しており、ニーズに追いつくためには家畜用の飼育施設や飼料を生産する農場を拡大する必要があります。そのために、農業や家畜の放牧を行う土地の開拓など、過度な森林伐採が進められているのです。持続可能な方法に配慮し現状を変えなければ、今後、ますます森林は減少していくでしょう。
森林の減少が進むと、大きな問題がいくつも出てくるのです。
まずは生物多様性の減少です。IUCN(国際自然保護連合)が2021年3月に更新した「IUCN絶滅危惧種レッドリスト」によると、森林で生活する野生生物のうち、2万種以上が絶滅の可能性が高いとされています。
食物連鎖などでその他の動物との関わりもあるため、生物多様性に与える影響はそれ以上にもなると言われています。生物多様性が失われると、私たちが日常恩恵を受けている資源が加速度的に減っていくと言われています。例えば、海辺のマングローブ林や健全なサンゴ礁が大津波のエネルギーを吸収し、被害が少なくて済んだという事実があります。生物多様性が失われ、もしこれらの生物が絶滅したら、どれだけ大きな災害になるのか分かりません。動物や植物、土など地球の美しい自然は、私たちの生活も守ってくれているのです。
さらに、気候変動にも関わりがあります。以前の記事でも紹介しましたが、現在地球では気候変動が起きており、すでに海面水位の上昇による沿岸地域の土地減少、経験したことのない大雨による河川氾濫といった水害や土砂災害、熱波・寒波による食料の生産減少など、さまざまな弊害が多々生まれています。
森林は成長過程で、気候変動の大きな原因である二酸化炭素を吸収してくれます。IPCC(気候変動に関する政府間パネル)が2019年に発表した「Climate Change and Land」によると、2007年から2016年の間に人間が排出した二酸化炭素の約29%を森林が吸収したとのことです。空気中の二酸化炭素が減少すれば、超大型台風の襲来や線状降水帯といった集中豪雨の発生も軽減されることが予想されます。
気候変動による弊害、二酸化炭素の影響に関して詳しくはこちら→SDGs達成に向けて飲食業界ができることー目標13.気候変動に具体的な対策をー
飲食店での行動が森林を守る
では、飲食業界から森林を守るためには、どのような取り組みを行う必要があるのでしょうか。
ビーガンフードメニューを導入
その一つがビーガンフードの利用です。ビーガンとは、肉、魚、乳製品のような動物性の食品を一切食べない人のことです。先ほども述べたように、食肉需要の増加は森林破壊の原因となっています。
現在は、大豆で作られたソイミートなどが盛んに製造されており、そのクオリティも高くなっています。すべてをビーガンフードに変更する必要はないと思いますが、お肉に代わる新たな選択肢として、ソイミートなどを用いたメニューを開発してみても良いでしょう。
飲食店で提供されたソイミートなどで初めて代替肉を知った・食べたというお客様が、その後、食事の際に環境問題に配慮した食材を選択するようになるかもしれません。世界から訪れる多くの観光客の中にはビーガンやベジタリアンの方、宗教的な背景から動物性のお肉を食べない方もいます。そのような方に配慮したメニューを用意しておくと、目的来店のお客様が増える可能性もあり、飲食店にとってもメリットがありますね。
FSC認証商品の使用や紙製品のリサイクルを行う
他にも、店内で使用する紙ナプキンや紙製の容器などをFSC認証のものにすることで森林保護につなげることができます。
FSC認証とは、環境を考えて管理されているか、長い間使い続けられるような伐採方法であるかなど、いくつかの審査項目に合格した森林であることを示すものです。その森林から伐採された木材には、FSC認証ラベルが貼られます。近年FSC認証の商品は、日本国内でも流通が増えてきているので、見かけたことがある方も多いかもしれません。紙ナプキンや割り箸、ティッシュ、紙製ストロー、テイクアウト用の紙製容器など、ぜひ皆様の店舗でも、導入してみてください。
また、紙ごみの処理は普段どうされていますか?
段ボールや牛乳パックなどはまとめて資源ごみとして処理している方も多いでしょうが、雑がみなどはいかがでしょうか。その他のごみと併せて、燃えるごみとして処理されている方も多いかと思います。
ポストに入っているチラシやコピー用紙、包装紙、紙袋なども資源ごみとして、リサイクルすることができます。紙ごみを適切に資源ごみとして集め、処理することで、再びトイレットペーパーや段ボールなどに生まれ変わります。小さなことではありますが、環境を意識して少しずつ行動を変えることが大切です。
現在、地球上では多くの森林が失われています。それに伴い、生物多様性の減少や気候変動が加速し、災害の拡大や生産できる食料の減少などにも影響が出始めています。今すぐに森林減少を食い止める必要があるのです。飲食店でもソイミートなどの代替肉の提供、FSC認証の紙製品を使用、紙ごみのリサイクルなど、積極的に取り組みたいですね。日本の飲食業界から、地球の緑を守るための活動を進めていきましょう。
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