飲食店の多店舗展開で失敗しないために確認すべきこと【チェックリストで簡単確認】
「1店舗目が順調だから、そろそろ2店舗目を出したい」——その判断、今すぐ動いても大丈夫ですか?
飲食店の多店舗展開で失速するケースの多くは、「勢いで出してしまった」ことが原因です。資金・人材・オペレーション・物件、この4つが揃っていない状態で2店舗目を出すと、1店舗目の利益が新店の赤字補填に消えていく——という展開になりやすいです。
この記事では、「出す前に何を確認すればよいか」という視点で、チェックリスト形式で整理しました。今すぐ出せる状態かどうか、自社の準備度を確かめながら読んでみてください。
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2店舗目オープン時の資金源は自己資金約45%・融資約35%・補助金等約20%が目安(UP店舗調査)
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出店費用の50%を自己資金で賄えるかどうかが融資判断のひとつの基準
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「人材が育っているか」「オペレーションが言語化されているか」の2点が最もチェックされていない
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物件は「安さ」より「業態との相性」と「既存店との距離」で判断する
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黒字でも自己資本比率が低い店は要注意。黒字・自己資本プラスの飲食店の平均自己資本比率は23.4%
2店舗目を出す「タイミング」はいつが正解か?
「1店舗目が黒字なら出していい」——これは正確ではありません。黒字であることは最低条件ですが、それだけでは不十分です。
最低限クリアしておきたい3つの前提条件
以下の3点が揃っていない状態での出店は、リスクが高いと判断してください。
特に「売上の波が大きい業態(居酒屋・季節料理など)」は、繁忙期の数字だけを見て判断するのは危険です。年単位の平均利益で判断することが基本です。
「金融機関が融資してくれるか」も判断材料になる
自己判断だけでなく、金融機関の担当者が決算書を見てどう評価するかは、客観的な出店タイミングの指標になります。融資の審査が通りやすい状態かどうかを事前に確認しておくことで、「自分では大丈夫と思っていたが実は財務が弱い」という見落としを防げます。
資金計画のチェックリスト——「出せる」と「出していい」は違う
資金面での見落としが、多店舗展開の失敗で最も多いパターンです。出店費用を確保できていても、開業後の運転資金と1店舗目の余力まで含めて考えているかどうかが分かれ目です。
資金計画で確認すべき5項目
2店舗目のオープン時の資金源は、自己資金約45%・金融機関融資約35%・補助金等約20%が現在の主流です(UP店舗調査)。補助金は「事前申請・事後支給型」のため、交付まで数ヶ月かかります。補助金を当てにしたタイミングで動き始めると、手元資金が足りない期間が発生するリスクがあります。
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⚠️ 資金計画でやってしまいがちなミス ・「2店舗目の開業費用」だけを計算して、開業後の運転資金を計算していない ・補助金の採択を前提に資金計画を組んでいる(不採択時のプランBがない) ・1店舗目の利益を全額2店舗目に投入しようとしている(緊急時のバッファがゼロになる) ・繁忙期の月次利益を「平均」として資金計画に使っている |
人材チェックリスト——「任せられる人」がいるかどうか
資金より先に詰まるケースが多いのが、人材です。2店舗目を出す瞬間、「自分がいない店」が生まれます。その店を回せる人材が育っているかどうかが、最初の関門です。
人材面で確認すべき5項目
1店舗目の成功は、オーナーの経験値や判断力に支えられているケースがほとんどです。その「暗黙知」を、人材に移転できているかどうかが問われます。「教えれば大丈夫」ではなく、「すでに任せた実績があるか」が判断の基準です。
オペレーション標準化のチェックリスト——「言語化」されていない店は出せない
多くの飲食店で最も整備が遅れているのが、オペレーションの言語化です。「自分がやればわかる」状態のまま2店舗目を出すと、品質のバラつきが生まれ、ブランドが静かに崩れていきます。
標準化で確認すべき5項目
マニュアルは「あればいい」ではなく「実際に使われているか」が重要です。作っただけで棚に眠っているマニュアルは、2店舗目の品質保証にはなりません。1店舗目で既存スタッフがマニュアルに沿って動けているかを確認してから出店準備に入ってください。
物件判断のチェックリスト——「安い物件」に飛びつかない
物件選びのミスは、後から取り返しがつきません。居抜きで安く出せるからといって、業態との相性や商圏を無視すると、開業後に集客が伸びず固定費だけがかかり続ける状態になります。
物件選定で確認すべき5項目
近隣出店(既存店の近く)と新エリア出店では、リスクの種類が変わります。近隣出店はブランド認知・スタッフ融通・仕入れ効率の面で有利ですが、既存店と客層が被るリスクがあります。新エリアは伸びしろがある一方、0からの集客とオーナーの管理コスト増が課題になります。どちらが自社に合うかは、業態・客単価・現在の運営体制によって変わります。
直営・フランチャイズ・のれん分け——どの出店方式を選ぶべきか?
2店舗目以降の拡大を考えるとき、「全部直営で増やす」だけが選択肢ではありません。
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出店方式 |
メリット |
デメリット |
向いているケース |
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直営 |
品質管理が徹底しやすい・利益が全額手元に残る |
資金・人材をすべて自社で用意する必要がある |
オペレーションが標準化されており人材が育っている |
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フランチャイズ加盟 |
本部のノウハウ・ブランドを活用できる |
ロイヤリティが発生・独自性が出しにくい |
初めての多店舗展開で仕組みを学びたい |
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のれん分け |
店長候補のモチベーション向上・採用コスト削減 |
契約設計が複雑・品質管理が難しくなる |
育成した店長候補に独立させながら拡大したい |
自社の現状(資金・人材・ブランド力・管理体制)と照らし合わせて、どの方式が現実的かを判断してください。「直営で全部やりたい」という気持ちはわかりますが、管理できる範囲を超えた拡大は品質と収益の両方を毀損します。
出す前に気づきたい——よくある失敗パターン3選
失敗①「勢い」で出店タイミングを決めた
「今が一番調子いい」「このまま行けそう」という感覚は大切ですが、それだけで出店を決めると資金・人材の準備不足が後から露呈します。上記の4つのチェックリストをすべて通過してから「出せる」と判断するのが基本です。
失敗② 物件が先に決まって、準備が後回しになった
「いい物件が出たから急いで決めた」というパターンは要注意です。物件の良さと、自社の準備度は別の話です。物件ありきで出店を決めると、人材もオペレーションも間に合わないまま開業日を迎えることになります。
失敗③ 1店舗目のオーナー不在リスクを軽視した
2店舗目に力を注ぐあまり、1店舗目のキーパーソンがオーナー自身だった場合、1店舗目の品質が落ちていくケースがあります。2店舗目を出す前に「自分がいなくても1店舗目が回る状態」を作ることが、実は最初の優先事項です。
「4つのチェックリストを埋めてみたけど、どこを優先すべきかわからない」という場合は、物件探しの専門家に相談することが一番の近道です。
e店舗では、飲食店の多店舗展開・2店舗目の物件探しを専門にサポートしています。
「この物件は業態に合うか」「エリア選定から相談したい」はもちろん、「多店舗展開前に物件・人材・運営体制を整理したい」という段階からご相談いただけます。
よくある質問
1店舗目が黒字であれば2店舗目を出すタイミングはいつでもいいですか?
黒字であることは最低条件ですが、それだけでは不十分です。季節変動を含む年単位の平均で黒字であること、自己資金が出店費用の50%以上あること、店長候補が育っていることの3点がそろっていることが出店判断の基本ラインです。繁忙期の数字だけを見て動くのは避けてください。
2店舗目の出店にはどのくらいの資金が必要ですか?
出店費用は物件・業態・内装規模によって異なりますが、一般的な飲食店の居抜き出店で300〜800万円、スケルトンから作る場合は1,000〜3,000万円以上になることもあります。出店費用に加え、2店舗分の運転資金(月商×0.7×3ヶ月)と1店舗目が赤字になった場合の補填資金も別途確保しておく必要があります。
マニュアルがなくても優秀なスタッフがいれば大丈夫ですか?
優秀なスタッフへの依存は、そのスタッフが辞めた瞬間にリスクに変わります。多店舗展開において品質の安定は「人への依存」ではなく「仕組みへの依存」で実現する必要があります。マニュアルは完璧なものでなくていいですが、「誰でも同じ品質を出せる最低限の言語化」は出店前に整備しておいてください。
2店舗目は既存店の近くがいいですか?それとも新エリアがいいですか?
一般的には、初めての多店舗展開であれば既存店の近隣エリアが推奨されます。スタッフの融通・仕入れの効率化・管理コストの観点で有利です。ただし、既存店との客層の重複が大きい業態(地域密着型の個人店など)は、近すぎると共食いになるリスクもあります。商圏分析と業態の特性を合わせて判断してください。
フランチャイズと直営のどちらが多店舗展開しやすいですか?
スピードと資金効率ではフランチャイズ加盟が有利ですが、ブランドの独自性を維持しながら拡大したいなら直営が基本です。のれん分けは、育成した店長候補に独立させながら店舗数を増やせる方法ですが、契約設計と品質管理の仕組みが必要です。どの方式が合うかは、自社の人材状況と資金規模によって変わります。
まとめ|「出せる状態か」を出す前に確認することが、多店舗展開の第一歩
多店舗展開で失速するケースの共通点は、「準備が整う前に出してしまった」ことです。1店舗目の好調に引きずられて、資金・人材・オペレーション・物件の4つのうち、どれかが欠けたまま動き始めるのが最も多いパターンです。
この記事で紹介した4つのチェックリストを振り返ると、特に見落とされやすいのは以下の2点です。
- オペレーションが「言語化・標準化」されているか(マニュアルが棚で眠っていないか)
- 1店舗目が「オーナー不在でも回る状態」になっているか
資金と物件は「数字で見えるリスク」なので意識しやすいですが、人材とオペレーションは「見えにくいリスク」として後回しにされがちです。2店舗目を出した後ではなく、出す前に気づけるかどうかが分かれ目です。
「4つのチェックリストを確認したうえで、次のステップに進みたい」という方は、物件選定と並行して出店計画全体を専門家に相談することをおすすめします。
まずは、この記事のチェックリストを確認するところから始めましょう!
