給与の日割り計算方法とは?3つのやり方や手当の計算から注意点をわかりやすく解説

目次

 

外国人労働者を雇用する際、給与の日割り計算で困っていませんか?特に、途中入社や退社の場合、どのように計算すればいいのか分からず不安になるかもしれません。

 

   •   途中入社・退社の給与計算方法がわからない

   •   正確な日割り計算の方法を知りたい

   •   従業員に不利益がないか不安


 

また従業員の雇用については労働基準法が深く関係していますが、外国人労働者であろうと日本国内で働く人材に労働基準法は原則適用されます。

自社の人材不足解消のために外国人人材の雇用を検討中の方も、外国人人材にも労働基準法が適用される点は留意しておきましょう。

この記事では、給与の日割り計算の3つの方法、手当の計算方法、注意点などを具体例を交えて解説します。この記事を読めば、給与の日割り計算をスムーズに行えます。


G-FACTORY株式会社では、飲食業界の人材不足を解消するため外国人人材の採用支援から就労者の在留資格・特定技能ビザ取得支援、36協定、勤怠管理をはじめとする労務管理の整備アドバイスなど企業側の受入支援まで外国人人材の採用サポートを一気通貫で行っています。

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給与の日割り計算とは

従業員が月の途中で入退社する場合、あるいは月の途中で休暇を取得する場合、その月の給与は日割り計算を行います。日割り計算とは、月の勤務日数や労働時間に応じて給与を計算する方法です。

 

労働基準法では日割り計算の具体的な方法について明確な定めはありません。そのため、各企業は就業規則や賃金規定に基づいて、合理的な方法で計算する必要があります。

 

厚生労働省の「労働時間等の算定及び賃金の計算に関する基準」では、賃金は労働した日数、時間または出来高に応じて計算することが定められています(参考:厚生労働省:労働時間等の算定及び賃金の計算に関する基準)。

 

重要なのは、就業規則などに計算方法を明記し、従業員全員に周知することです。透明性の高い給与計算は、従業員との信頼関係を築き、企業イメージの向上にも繋がります。また、計算方法を明確にすることで、後々のトラブルを未然に防ぐこともできます。

給与の日割り計算に使える3つの方法

給与の日割り計算には、主に下記3つの方法があります。

   •   暦日数を用いる方法

   •   当該月の所定労働日数を用いる方法

   •   月平均の所定労働日数を用いる方法

どの方法を採用するかは、会社の就業規則によって定める必要があります。それぞれの計算方法の特徴を理解し、自社に最適な方法を選択しましょう。以下で、それぞれの方法について詳しく解説します。

 

暦日数を用いる方法

暦日数を用いる方法は、その月の暦日数(月の総日数)で日割り計算をする最もシンプルな方法です。計算式は「月給 ÷ 暦日数 × 出勤日数」です。

 

この方法は計算が容易なため、給与計算の担当者にとって負担が少ないというメリットがあります。また、従業員も計算方法を理解しやすいため、給与額への疑問が生じにくいという利点もあります。

 

しかし、月の暦日数は28日から31日まで変動するため、月によって支給額が変わる可能性があります。2月のように日数が少ない月は給与が少なくなり、従業員に不利益が生じる可能性があるため注意が必要です。

例:月給20万円、30日中10日出勤の場合
200,000円 ÷ 30日 × 10日 = 約66,667円

 

当該月の所定労働日数を用いる方法

当該月の所定労働日数を用いる方法は、その月の所定労働日数(土日祝日などを除いた、実際に働く日数)で日割り計算をする方法です。計算式は「月給 ÷ 所定労働日数 × 出勤日数」です。

 

この方法は、土日祝日を含まないため、1日あたりの給与額が高くなる傾向があります。年末年始やゴールデンウィークなど、祝日が多い月は所定労働日数が少なくなり、日割り計算後の給与額が変動する可能性があります。

 

祝日の多い月に休暇を取得した場合、給与が少なくなる可能性があるため、従業員にとって不利益が生じる可能性に注意が必要です。一方で、計算方法が比較的分かりやすく、公平性が高いというメリットもあります。

例:月給20万円、22日中10日出勤の場合
200,000円 ÷ 22日 × 10日 = 約90,910円

 

月平均の所定労働日数を用いる方法

月平均の所定労働日数を用いる方法は、年間の所定労働日数を12ヶ月で割った平均値で日割り計算をする方法です。計算式は「月給 ÷ 月平均の所定労働日数 × 出勤日数」です。年間の所定労働日数は、「365日 - 年間休日数」で計算できます。

 

この方法は、月ごとの変動がなく、年間を通じて日割り計算後の給与額が一定となるため、従業員と企業双方にとって公平です。また、各月の日数差をなくせるため、予算管理がしやすいというメリットもあります。

 

例:年間休日日数111日、月給20万円、10日出勤の場合
年間所定労働日数:365日 - 111日 = 254日
月平均の所定労働日数:254日 ÷ 12ヶ月 = 約21.2日
200,000円 ÷ 21.2日 × 10日 = 約94,340円

労働時間単価で計算する場合の計算方法

 

労働時間単価で計算する場合は、時間給のように1時間あたりの給与を算出し、それに実際の労働時間を掛けて給与を計算します。

この方法は、残業時間や深夜労働時間など、時間外労働が発生した場合にも正確に給与を計算できるというメリットがあります。

 

手順は以下のとおりです。

   1.   年間所定労働日数の計算:365日から年間休日数を引きます。

          例:365日 - 111日 = 254日

   2.    年間所定労働時間の計算:年間所定労働日数に1日の所定労働時間を掛けます。

          例:254日 × 8時間 = 2,032時間

   3.   1ヶ月の所定労働時間の計算:年間所定労働時間を12ヶ月で割ります。

          例:2,032時間 ÷ 12ヶ月 = 169.3時間

   4.   時間単価の計算:月給を1ヶ月の所定労働時間で割ります。

          例:月給20万円の場合、200,000円 ÷ 169.3時間 = 約1,181円

   5.   割増賃金の計算:時間単価に該当労働時間と割増率を掛けます。
         例:残業10時間で割増率1.25の場合
         1,181円 × 10時間 × 1.25 = 約14,767円

 

【補足】手当の日割り計算方法

住宅手当や扶養手当などは、日割り計算の対象外とするケースが多いです。なぜなら、これらの手当は生活の負担を軽減するための福利厚生的な性格を持つため、出勤日数の変動と関係なく満額支給するのが一般的だからです。

 

ただし、資格手当や皆勤手当など、就業規則に明記されているものについては、例外的に日割り計算を適用できます。

 

手当を日割り計算する場合は、基本給と同様に、暦日数、所定労働日数、月平均所定労働日数のいずれかを基準に計算できます。労働時間単価で計算する場合、残業手当や深夜手当の計算と同様に割増率を考慮する必要があります。

 

どの計算方式を採用する場合でも、従業員間の不公平を防ぐために、一律の基準を明確化し、就業規則に明記することが重要です。 就業規則に明記することで、従業員とのトラブルを避けることができます。また、給与計算担当者が変更になった場合でも、計算方法に一貫性を持たせることができます。

 

日割り給与の対象となる5つのケース

日割り給与の対象となるケースは、主に以下の5つです。

   •   中途採用者が入社する場合:月の途中で入社する場合、初月の給与は日割り計算で支払うことが一般的です。

   •   月の途中で退職する場合:月の途中で退職する場合、最終月の給与は日割り計算で支払われます。

   •   産休・育休や介護休暇に入る場合:休暇の開始日が月の途中である場合、その月の給与は日割り計算されることがあります。

   •   復職する場合:休暇から復職する日が月の途中である場合、その月の給与は日割り計算されることがあります。

   •   欠勤、遅刻、早退が多い場合:月の途中で欠勤、遅刻、早退が多い場合、日割り計算で給与が減額されることがあります。

 

企業は、これらのケースに該当する場合、就業規則に基づいて適切に日割り計算を行う必要があります。

 

給与の日割り計算を行う際の注意点

給与の日割り計算を行う際は、以下の3点に注意しましょう。

   •   計算方法を就業規則や賃金規定へ明記する

   •   従業員になるべく不利益を与えない計算式を採用する

   •   最低賃金を下回らないように注意する

 

計算方法を就業規則や賃金規定へ明記する

給与の計算方法は、就業規則や賃金規定に明記し、従業員に周知することが重要です。 計算方法を明確にすることで、従業員とのトラブルを防止できます。また、担当者が変更になった場合でも、計算ミスを防ぎ、一貫した給与計算を行うことができます。

 

従業員になるべく不利益を与えない計算式を採用する

日割り計算によって従業員に不利益が生じないよう、公平な計算式を採用する必要があります。 例えば、端数が生じた場合は、従業員に有利になるように切り上げるなど、従業員への配慮が必要です。

 

最低賃金を下回らないように注意する

日割り計算後の給与額が、最低賃金を下回らないように注意する必要があります。最低賃金は、都道府県ごとに定められています。

これらの点に注意することで、従業員との信頼関係を維持し、スムーズな給与計算を行うことができます。

給与の日割り計算方法を把握して従業員の信頼関係を高めよう!

この記事では、給与の日割り計算について、基本的な知識から具体的な計算方法、注意点までを解説しました。「途中入社や退社時の給与をどのように計算すればいいのかわからない」「日割り計算の方法を明確化して従業員の不安を解消したい」といった疑問や悩みに対して、合理的で公平な計算方式のポイントを具体例とともに解説しました。

 

給与計算は、従業員にとって非常に重要な事項です。正確な計算と透明性の高い運用を行うことで、従業員との信頼関係を構築し、より良い労働環境を築くことができます。

 

なお、G-FACTORY株式会社では、飲食業界の人材不足を解消するため外国人人材の採用支援から就労者の在留資格・特定技能ビザ取得支援、36協定、給与計算をはじめとする労務管理の整備アドバイスなど企業側の受入支援まで外国人人材の採用サポートを一気通貫で行っています。

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