2026/02/03
飲食店の設備違反5選|開業前に必ず確認すべき法律と落とし穴
はじめに|飲食店の設備、開業前に法律チェックできていますか?
飲食店を開業するとき、多くの店長さんや経営者さんがメニューや内装に目が向きがちです。 しかし実際には、「設備」に関する法律違反が原因で、営業許可が下りなかったり、追加工事が発生したりするケースが非常に多くあります。
特に中小規模の飲食店では、「前の店舗もこのまま営業していた」「小さい店だから大丈夫だろう」と自己判断してしまい、開業直前にトラブルになることも少なくありません。
本記事では、飲食店・設備・開業前という視点から、実際によくある設備違反を5つ厳選し、初心者の方にもわかりやすく解説します。 食品衛生法や建築基準法など、根拠となる法律条文にも触れながら、開業前に確認すべき落とし穴を整理していきます。
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違反①|飲食店の換気設備、本当に足りていますか?
飲食店の設備違反の中で、特に多いのが換気設備に関する問題です。
「換気扇は付いているから大丈夫」と思っていても、法律上は不十分と判断されるケースが少なくありません。
換気は見た目では判断しにくいため、開業後に指摘を受けやすい設備の一つです。
実際には、換気の能力や設置方法まで含めてチェックされています。
飲食店の換気設備は法律で決まっている?
飲食店の換気設備は、食品衛生法施行規則(厚生省令第38号)に基づく施設基準で定められています。
調理によって発生する煙や蒸気、油分、臭気を、屋外へ適切に排出できる構造が求められます。
特に火を使う厨房では、換気扇や排気フードの設置が前提となり、性能不足は厳しく見られます。
換気能力が足りない場合、営業許可の審査がそこで止まってしまうこともあります。
開業前によくある落とし穴とは?
開業前によくあるのが、見た目や価格だけで換気設備を選んでしまうケースです。
その結果、必要な換気量を満たさず、法律上の基準に適合しない状態になることがあります。
換気が不十分だと、店内に煙や臭いがこもりやすくなり、従業員の体調不良や近隣からの苦情につながります。
後から設備を追加・交換すると、数十万円単位の追加工事が発生することもあるため注意が必要です。
違反②|飲食店の手洗い設備、数と位置は大丈夫?
飲食店の設備違反で次に多いのが、手洗い設備の不足や配置ミスです。
とくに開業前の内装設計段階で見落とされやすく、保健所の立入検査で初めて指摘されるケースも少なくありません。
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飲食店では手洗い設備が必須?
飲食店では、食品衛生法施行規則(厚生省令第38号)に基づき、調理に従事する者が使用する専用の手洗い設備を設けることが求められています。
この手洗い設備は、
・食器洗浄用シンク
・食材洗浄用シンク
とは明確に区別されている必要があります。
また、手指を清潔に保つため、流水式であることや、石けんや消毒設備を設置できる構造であることも重要なポイントです。
開業前に見落としがちなポイント
よくあるのが、「流し台があるから手洗いも兼ねられるだろう」という考えで設計してしまうケースです。
しかし、このような兼用設計は、手洗い専用とは言えないとして、設備違反と判断される可能性があります。
また、厨房の奥に設置されていて、調理の合間にすぐ使えない位置にある場合も、実務上不適切と指摘されることがあります。
開業前には、「誰が・いつ・どこで手を洗うのか」という動線を意識し、専用で分かりやすい位置に設置されているかを確認することが大切です。
違反③|飲食店のトイレ設備、法律と条例を確認していますか?
飲食店の設備違反の中でも、後から直すのが特に大変なのが、トイレの数や仕様に関する問題です。
内装工事が終わったあとに指摘されると、追加工事やレイアウト変更が必要になり、開業スケジュールに大きく影響することもあります。
飲食店のトイレは法律で何個必要?
建築基準法では、不特定多数が利用する建築物について、用途に応じた便所の設置を求めています。
飲食店は、この「多数の者が利用する用途」に該当します。
ただし、建築基準法自体には、「トイレは何個必要か」という具体的な数字までは書かれていません。
実際の個数や仕様は、各自治体が定める条例や指導要綱によって決められているのが一般的です。
開業前に必ず確認したい点
よくある落とし穴が、「前の店舗もトイレは1つだったから問題ないだろう」という判断です。
しかし、東京都や大阪府などの自治体では、
客席数や床面積に応じて
・男女別トイレの設置
・一定数以上の便器の設置
を求められるケースがあります。
また、地域によっては、バリアフリー対応のトイレが必要になることもあります。
開業前には、建築基準法だけでなく、出店予定地の条例や保健所の指導内容を必ず確認することが、設備違反を防ぐための重要なポイントです。
違反④|厨房と客席の動線、食品衛生法に違反していませんか?
設備自体は問題なくても、配置や動線が原因で違反になるケースがあります。
特に、厨房やトイレの動線は、見た目や使いやすさだけで判断すると、営業開始後に保健所から指摘されることも少なくありません。
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トイレや客動線の基本ルールとは?
食品衛生法の考え方では、調理場と不潔区域を明確に分けることが衛生管理の基本とされています。
具体的には、トイレやゴミ置き場に行くために、厨房や食材置き場を通る設計は原則認められません。
このルールは、調理器具や食材への二次汚染を防ぐために重要です。
また、客席から厨房へのアクセスも、動線が交差しないように設計することが求められます。
通路幅やドアの位置、仕切りの有無もチェック対象です。
開業前によくある設計ミス
居抜き物件をそのまま利用すると、以前のレイアウトがそのまま残っていることがあります。
その場合、動線が食品衛生法の基準に沿っていない可能性があります。
例えば、
-
トイレに行く際に厨房を横切る
-
ゴミ置き場への通路が調理場と交差する
-
食材置き場が客動線に近すぎる
こうした設計は、保健所から改善を求められる典型例です。
開業前には、設計図面を保健所に見せて相談することが非常に重要です。
事前に指摘を受ければ、工事前に動線を修正できるため、追加工事やスケジュール遅れを防ぐことができます。
違反⑤|飲食店の設備、消防法や建築基準法を忘れていませんか?
食品衛生法だけを意識していると、別の法律違反が発生することがあります。
特に、消防法や建築基準法は、厨房や客席の設備配置に密接に関わっており、見落とすと開業後に改善を求められることも少なくありません。
飲食店設備と消防法の関係
消防法では、火災予防や安全確保のための設備基準が定められています。
具体例としては、
-
ガスコンロやフライヤーなどの火気設備の設置位置
-
天井や壁からの距離を守った排気フード設置
-
消火器やスプリンクラーの設置義務
これらを守らないと、営業開始前に消防署の立入検査で指摘され、改善工事を求められる場合があります。
厨房設備や客席のレイアウトを優先して設置すると、防火基準に適合しないリスクが高まるため、設計段階から注意が必要です。
建築基準法とのダブルチェックが重要
建築基準法では、建物の避難経路や出入口の幅、通路の確保が求められています。
設備を詰め込みすぎると、通路が狭くなり、緊急時の避難が困難になる可能性があります。その場合、営業許可は下りても、建築確認や消防検査で改善指示を受けることがあります。
実務上の落とし穴としては、
-
厨房機器の配置で出入口や通路が狭くなる
-
客席の配置で避難経路が遮られる
-
消火器の設置位置が手の届きにくい場所になっている
こうしたミスは、設計段階で建築士や消防署に相談することで未然に防げます。
開業前に必ず確認したいポイント
-
厨房の火気設備が消防法基準に沿っているか
-
消火器やスプリンクラーの設置位置は適切か
-
出入口や避難通路の幅が建築基準法に適合しているか
-
客席や通路が避難経路を妨げていないか
これらを事前にチェックしておくことで、開業直前の工事や追加費用を防ぐことができます。
設備の安全性と法律遵守を両立させることが、安心して長く営業できる飲食店作りにつながります。
飲食店の設備:開業前の最終チェックリスト
換気設備(換気扇・フード)
-
[ ] 火力(ガス消費量等)に対して、排気能力が足りているか?
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[ ] フード(覆い)の大きさは、コンロのサイズを十分にカバーしているか?
手洗い設備(専用シンク)
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[ ] 調理場内に、食器用とは別の「手洗い専用」のシンクがあるか?
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[ ] 手洗器は、L5クラス以上のサイズ(横幅約30〜40cm程度)を確保しているか?
-
[ ] 石鹸入れや消毒液を置くスペースはあるか?
トイレ設備(数と仕様)
-
[ ] 自治体(東京都・大阪府など)の条例が定める「男女別」の基準を満たしているか?
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[ ] トイレ内に、流水式の手洗い器が備わっているか?(※タンク上は不可とされる場合が多い)
衛生動線(人の動き)
-
[ ] トイレやゴミ置き場へ行く際に、厨房エリアを通過する構造になっていないか?
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[ ] 客席と厨房は、扉やカウンターなどで適切に仕切られているか?
消防・建築(安全確保)
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[ ] 厨房機器(コンロ等)の周りは、不燃材料で仕上げられているか?
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[ ] 出入口や避難通路に、荷物や備品がはみ出して狭くなっていないか?
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[ ] 消火器は、火気使用場所からすぐ使える位置にあるか?
まとめ|飲食店の設備違反は「開業前」で防げる
飲食店の設備違反は、開業後に慌てて対応するよりも、開業前の確認で防げるケースがほとんどです。
換気設備や手洗い設備、トイレ、動線、消防・建築基準など、必要な基準を事前に確認することで、余計なトラブルや追加費用を避けられます。
自己判断せず、保健所や建築士、設備業者と早めに相談することが、安心して営業を続けるための確実な方法です。
さらに、法律や基準を正しく理解し、設計や設備計画に反映させることで、お客様に選ばれる店舗づくりにもつながります。
安全で快適な環境を整え、信頼される飲食店を開業することで、長期的に安定した経営を目指すことができます。