アルバイトの給与計算方法 | 3つの確認項目や注意すべき割増賃金も解説

• アルバイトの給与計算方法がわからない
• 勤怠管理や割増賃金の計算でミスをしやすい
• 計算ミスによるトラブルを避けたい
このような悩みを抱えている飲食店経営者の方も多いのではないでしょうか。飲食店は雇用形態(正社員、パート、アルバイト)、勤務形態(固定、シフト制、フレックス)ともに多様化しており従業員の勤怠管理の整備が大きな課題の一つと言われています。
また従業員の雇用については労働基準法が深く関係していますが、外国人人材であろうと日本人材であろうと日本国内で働く人材に労働基準法は原則適用されます。
自社の人材不足解消のために外国人人材の雇用を検討中の方も、外国人人材にも労働基準法が適用される点は留意しておきましょう。
この記事では、アルバイトの給与計算に必要な確認項目、注意すべき割増賃金、計算ミスへの対処法などを解説します。
G-FACTORY株式会社では、飲食業界の人材不足を解消するため外国人人材の採用支援から就労者の在留資格・特定技能ビザ取得支援、36協定、勤怠管理をはじめとする労務管理の整備アドバイスなど企業側の受入支援まで外国人人材の採用サポートを一気通貫で行っています。
自社の飲食店で、外国人材による人材不足の解消を図りたい企業様は、以下のページからお気軽にご連絡ください。
アルバイト・パートの給与計算に必要な項目
アルバイト・パートの給与計算を正確に行うには、以下の3つの項目を確認する必要があります。
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• 就業規則
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• 給与規程
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• 勤怠管理書類
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確認不足や誤りがあると、従業員の給与に影響を与え、トラブルに発展する可能性があります。それぞれの項目について、詳しく見ていきましょう
就業規則
就業規則とは、始業・終業時刻、休憩時間、休日、賃金、懲戒処分など、労働条件に関するルールを定めたものです。常時10人以上の従業員がいる場合は、就業規則を作成し、労働基準監督署に届け出ることが法律で義務付けられています。(参考:電子政府の総合窓口e-Gov)従業員数が10人に満たない場合でも、トラブルを避けるため就業規則を作成しておくことが推奨されます。
就業規則には、賃金に関する項目も含まれており、給与計算の基礎となる情報が記載されています。特に、減給や賞罰に関する規定は、給与計算に直接影響するため、必ず確認しましょう。
給与規程
給与規程とは、給与の計算方法、支給日、締め日、支払方法などを定めた規則です。就業規則の中に給与に関する規定が含まれている場合もありますが、別途「給与規程」として定めている企業も多いです。
給与規程には、時間外労働、休日労働、深夜労働の割増賃金の計算方法、社会保険料や税金の控除方法なども記載されています。給与計算を行う際は、就業規則と合わせて給与規程の内容も確認しましょう。
勤怠管理書類
勤怠管理書類とは、タイムカード、出勤簿、シフト表など、従業員の勤務状況を記録した書類のことです。これらの書類に基づいて、出勤日数や労働時間を正確に集計します。近年は、勤怠管理システムを導入する企業が増えており、データの電子管理化による効率化やミスの削減が進んでいます。
勤怠管理システムでは、従業員が出退勤時刻を記録するだけで、自動的に労働時間を計算し、集計することができます。また、リアルタイムで従業員の勤務状況を把握できるため、労働時間管理の徹底にも役立ちます。
勤怠管理を適切に行うことで、正確な給与計算を行うことができます。従業員の労働時間管理を行い、長時間労働の防止に繋げるためにも重要な書類です。
アルバイト・パートの給与計算で必ず確認すべき割増賃金
アルバイト・パートの給与計算において、割増賃金の計算は特に注意が必要です。割増賃金とは、時間外労働、休日労働、深夜労働に対して支払われる賃金のことです。割増賃金の計算を間違えると、従業員とのトラブルに発展する可能性があります。また、法律違反に問われる可能性もあるため、正確な計算が不可欠です。
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• 時間外労働の割増賃金
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• 休日労働の割増賃金
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• 深夜労働の割増賃金
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• 割増賃金の重複
以下、4つの割増賃金について詳しく解説します。
時間外労働の割増賃金
労働基準法では、1日の労働時間が8時間、1週間の労働時間が40時間を超える場合、割増賃金の支払いが義務付けられています。(参考:厚生労働省:法定労働時間と割増賃金について教えてください。) 割増賃金の率は25%以上です。
また、1ヶ月60時間を超える時間外労働の場合は、50%以上の割増率を適用する必要があります。1か月60時間を超える時間外労働には、労使協定(36協定)の締結が必要です。締結されていない場合、時間外労働をさせることは違法となります。
会社の所定労働時間を超える場合でも、法定労働時間内であれば割増賃金は発生しません。時間外労働の割増賃金を正しく計算することは、法律を遵守し、従業員の権利を守る上で重要です。
休日労働の割増賃金
休日労働の割増賃金は、法定休日(週1日または4週間で4日の休日)に労働した場合に適用されます。(参考:厚生労働省:法定労働時間と割増賃金について教えてください。) 割増率は35%以上です。
会社が独自に定める休日(所定休日)であっても、法定休日ではない場合は、通常の割増率(25%)が適用されます。法定休日に労働させる場合は、労使協定の締結が必要です。
法定休日は、労働者の休息と健康を確保するために設けられているため、安易に労働させてはいけません。休日労働が必要な場合は、適切な手続きを踏むことが重要です。
深夜労働の割増賃金
深夜労働の割増賃金は、午後10時から午前5時までの間の労働に適用されます。(参考:e-Gov法令検索 労働基準法) 割増率は25%以上です。深夜シフトで働く場合や、通常の労働時間が深夜に及んだ場合も対象となります。
深夜労働に加えて時間外労働や休日労働が発生する場合は、それぞれの割増賃金を重複して適用する必要があります。深夜労働は、従業員の健康に影響を与える可能性があるため、労働時間管理には特に注意が必要です。必要に応じて、休憩時間を適切に設定するなど、従業員の健康に配慮した対策を講じましょう。
割増賃金の重複
割増賃金は、時間外、休日、深夜の労働が重なった場合、重複して適用されます。例えば、深夜時間外労働の場合は、時間外割増(25%)と深夜割増(25%)を合わせて、50%以上の割増率が適用されます。
また、休日の深夜労働の場合は、休日割増(35%)と深夜割増(25%)を合わせて、60%以上の割増率が適用されます。(参考:厚生労働省:法定労働時間と割増賃金について教えてください。) 割増賃金を正しく計算することで、従業員の権利を守り、円滑な労使関係を築くことができます。割増賃金の計算ミスは、従業員との信頼関係を損なうだけでなく、法的な問題に発展する可能性もあるため、注意が必要です。
アルバイト・パートの給与計算方法 【4ステップ】
アルバイト・パートの給与計算は、以下の4つのステップで行います。それぞれのステップを丁寧に確認することで、正確な給与計算を行うことができます。
• 1.勤務時間を集計
• 2.支給額を算出
• 3.控除額を計算
• 4.給与を確定
1.勤務時間を集計
タイムカードやシフト表、勤怠管理システムを使用して勤務時間を正確に確認します。通常労働時間、時間外労働、休日労働、深夜労働に分類して、それぞれ何時間働いたかを正確に集計しましょう。勤務時間は1分単位で計算し、切り捨てはできません。
2.支給額を算出
勤務時間ごとに時給または割増率を掛けて支給額を計算します。
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• 通常賃金 = 時給 × 通常労働時間
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• 時間外労働賃金 = 時給 × 1.25 × 時間外労働時間
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• 休日労働賃金 = 時給 × 1.35 × 休日労働時間
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• 深夜労働賃金 = 時給 × 1.25 × 深夜労働時間
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• 深夜時間外労働賃金 = 時給 × 1.5 × 該当労働時間
割増賃金が重複する場合(例:深夜時間外労働)には、加算した割増率で計算します。
3.控除額を計算
アルバイトの場合、勤務状況や収入によって社会保険等に加入する必要があります。
社会保険の加入条件
• 所定労働時間・日数が正社員の4分の3以上
• 月額賃金が8.8万円以上、週20時間以上の労働、2か月を超える雇用が見込まれる場合など
• 学生は原則対象外
社会保険料、雇用保険料、所得税、住民税を控除します。
• 雇用保険料 = 賃金 × 0.3%(一般の場合)
• 健康保険料 = 標準報酬月額 × 保険料率 × 1/2
• 厚生年金保険料 = 標準報酬月額 × 保険料率 × 1/2
• 介護保険料(40歳以上)= 標準報酬月額 × 保険料率 × 1/2
• 所得税 = 源泉徴収税額表に基づいて計算(年収103万円超、または月収が8万8,000円以上の場合に必要)
• 住民税 = 会社に届く納付書の記載額を基に控除(前年収入が100万円を超える場合に納付が必要)
(参考:厚生労働省 国税庁 総務省)
4.給与を確定
支給額から控除額を差し引いて最終的な給与を確定します。確定した給与は、決められた支払日に従業員に支払います。
給与明細を作成し、給与計算の透明性を確保しましょう。給与明細には、支給額、控除額、各項目の内訳などを記載することで、従業員が自分の給与の内容を理解しやすくなります。
アルバイト・パートの給与計算が合わない時の対処法
従業員からの信頼を損なわないために、給与計算ミスを発見したら即座に対応することが重要です。迅速かつ誠実な対応は、従業員との良好な関係を維持する上で不可欠です。
従業員に給与を多く支払ってしまった場合、まずは従業員に事実を伝え、謝罪しましょう。その上で、多く支払った金額と返金方法について、従業員とよく相談することが大切です。一般的には、翌月分の給与から多く支払った金額を差し引く方法がとられます。ただし、従業員の生活に支障が出ないよう、返金方法や返金時期について十分に配慮する必要があります。また、一度に返金することが難しい場合は、分割での返金も検討しましょう。重要なのは、従業員との合意に基づいて返金方法を決定することです。
また、従業員に給与を少なく支払ってしまった場合は、労働基準法の「給与の全額支払いの原則」に基づき、速やかに不足分を支払う必要があります。従業員に迷惑をかけたことを謝罪し、不足分の金額と支払方法を明確に伝えましょう。不足分の支払いは、当月中に済ませることが原則ですが、従業員が同意した場合に限り、翌月分の給与と合わせて支払うことも可能です。ただし、従業員の生活への影響を最小限にするため、できるだけ早く不足分を支払うことが望ましいです。
給与計算のミスは、従業員との信頼関係に大きな影響を与えます。ミスを防ぐためにも、日頃から正確な勤怠管理と給与計算を心がけましょう。また、就業規則や給与規程を明確に定め、従業員に周知することも重要です。
アルバイト・パートの給与計算方法を確認し従業員とのトラブルを防止しよう!
この記事では、アルバイトの給与計算に必要な基本知識や手順を解説しました。勤怠管理や給与規程の確認、割増賃金の計算方法など、正確な給与計算に欠かせないポイントをわかりやすく整理しました。また、「アルバイトの給与計算方法を知りたい」「勤怠管理や割増賃金の計算ミスを防ぎたい」といった悩みを解決するために、具体的な計算方法や注意点を解説しました。
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