「GWが終わったら、急に客が来なくなった……」
飲食店を運営していると、5月後半からなんとなく売上が落ちてくるのを感じる方も多いのではないでしょうか。でも、2月や8月ほど「閑散期」として語られることが少ない5月。実は、知らずにダメージを受けやすい「隠れ閑散期」のひとつなんです。
この記事では、飲食業界歴のあるスタッフや店長・経営者のみなさんに向けて、5月の売上が落ちるメカニズムと、複数店舗を運営する上で押さえておきたい具体的な対策をお伝えします。
そもそも、飲食店の閑散期って「2月・8月」じゃないの?
飲食業界では昔から「ニッパチ(2月・8月)」という言葉があります。飲食店.comが実施した飲食店経営者284名へのアンケート調査でも、売上が最も落ちる月として2月(31.0%)・1月(25.0%)・8月(13.4%)が上位に挙がっており、業界的な傾向として定着しています。
ただし、これはあくまで「全体平均」の話。近年では、そこに5月が加わりつつあります。複数の飲食コンサルタントも「5月のGW明けから6月にかけて、売上が落ちる傾向がある」と指摘しており、特に宴会・法人需要に頼っている業態ほどこの時期の落ち込みが顕著です。
なぜ5月は売上が落ちるの?理由を3つに整理してみた
① GW後の「消費疲れ」が直撃する
GWは家族でのお出かけ、旅行、外食など、1年のなかでもお金を使うイベントが集中する時期。その反動として、5月の後半から財布のひもが固くなるのは自然な話です。
カフェコンサルタントの稲高史氏も「正月・GW・お盆・クリスマスの後は売上が落ちる傾向がある」と指摘しています。大型連休の前後に売上が落ちるのは、飲食業界全体に共通した現象です。
② GW中に「稼働しない日が多い」問題
業態によっては、GW期間中に社員やスタッフが休んだり、仕込みが追いつかず短縮営業になったりするケースも。観光地に近くない一般的な飲食店では、GW中に人が旅行に出かけてしまい、むしろ売上が落ちる店も少なくありません。
1ヶ月の稼働日数が実質的に少なくなることで、月合計の売上は当然下がります。
③ 宴会需要の空白地帯
3月〜4月は歓送迎会シーズン、12月は忘年会と、飲食店の繁忙期には「宴会イベント」が背景にあります。しかし5月はそういった大きなイベントがなく、法人・グループ需要が一気に落ちます。
オフィス街や法人需要が強い業態の場合、この影響は特に大きく出ます。
5月の閑散期、店舗タイプ別に影響は違う?
実は、5月の影響は「どこで・何を売っているか」によってかなり変わります。
オフィス街・法人需要型
影響大。宴会がゼロになる5月は売上の柱が消える
住宅街・ファミリー層中心
GW中に来客が増える分、GW後の反動が出やすい
観光地・行楽地近く
GW中に稼げる分、GW後は落ち着く傾向
テイクアウト・デリバリー強化型
天候や外出頻度の影響を受けにくく、比較的安定
影響を受けやすい場合は…
- 店舗ごとに「5月の売上データ」を前年比で比較し、落ち込みパターンを把握する
- 人件費の調整を早めに行い、シフトをムダなく組み直す
- テイクアウト・デリバリーなど、在店需要に頼らない売上の柱を整備しておく
- 閑散期を利用して、スタッフ研修・店舗メンテナンス・マニュアル整備を進める
自分の店がどのタイプかを把握した上で、5月対策を考えることが重要です。
複数店舗を運営している場合、業態や立地によって5月の影響がバラバラになることも。店舗ごとにデータを比較してみると面白い発見があります。
じゃあ、5月にできることって何があるの?
① 「GW明け需要」を先回りしてつかむ
GWが終わった直後は、「しばらく家でゆっくりしたい」という気分と「そろそろ外食したい」という気持ちが混在する時期。この層をターゲットにした「GW疲れ回復プラン」「ゆっくり過ごせるランチ」などの切り口が効果的です。
SNSでの発信タイミングも重要で、GW最終日〜翌週の月曜日にかけて仕込んでおくと反応が取りやすいです。
② 既存顧客を動かす「LINEやDM施策」
閑散期の集客では、新規よりも既存客の再来店が費用対効果の高い手段です。LINEの友だち登録者やポイントカード会員に向けて、「5月だけのお得なメニュー」や「久しぶりに来てほしい」というメッセージを送るだけで、一定の来客が見込めます。
飲食店ドットコムの調査でも、閑散期の対策として「既存客を離さない工夫」をしている店舗が多いことが示されています。
③ 閑散期は「攻め」より「守り」の仕組みを整える時間
5月は繁忙期ではないからこそ、次の繁忙期(6〜7月のボーナス商戦・夏の宴会需要)に向けた仕込みができます。メニューの見直し・スタッフ教育・オペレーション改善など、繁忙期中には手が回らなかった課題に集中できる絶好のタイミングです。
閑散期を「捨て月」にするのではなく、「準備月」と捉え直すと、次の繁忙期に差が出てきます。
④ 新メニュー・限定企画でSNS映えを狙う
オペレーションに余裕がある5月は、新メニューのテストを行うのにも向いています。「今月限定」「5月だけ」という希少性を出すことで、SNSでの拡散や来店動機づくりにつながります。写真・動画に映える1品をつくると、投稿される確率がぐっと上がります。
複数店舗を運営しているなら、特に意識したいこと
1店舗の経営と複数店舗の経営では、閑散期の「痛み」の大きさが違います。店舗数が増えるほど固定費も比例して増えるため、閑散期の影響が財務的に直撃しやすい。
だからこそ、複数店舗を運営している場合は、以下のような視点を持つことが重要です。
「5月が閑散期かどうか」は、業態・立地・客層によって変わります。まずは自社のデータを見ることが出発点です。
まとめ:5月は「気づかれにくい閑散期」だからこそ先手を打とう
2月・8月のような「わかりやすい閑散期」と違い、5月はGWという賑やかなイベントの直後に訪れるため、売上の落ち込みに気づくのが遅れがちです。
でも、メカニズムがわかれば対策は立てられます。GW明けの消費疲れ・宴会需要の空白・稼働日数の減少という3つの要因を理解して、早めに手を打つことが大切です。
「毎年5月はなんとなく売上が落ちるな」と感じていた方は、ぜひ今年は一歩踏み込んで、自店の5月データを振り返ってみてください。






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