「補助金って、開業してから調べたら使えないやつばかりだった」「どの制度が自分に当てはまるか全然わからない」——そんな声をよく耳にします。
実は補助金には「タイミング」があります。6月は締切が集中する制度が複数あり、見逃すと次の公募まで半年以上待つケースも。この記事では2026年6月時点で開業・出店に関わる飲食店経営者が実際に使える制度を、状況別に厳選してまとめました。
開業直後でも、既存店での新業態展開でも、これから出店を検討している段階でも——自分に合う制度が見つかるはずです。
⚠ 重要:補助金・助成金の要件・スケジュールは随時変更されます。申請前は必ず各制度の公式サイト・最新の公募要領で確認してください。本記事は2026年5月22日時点の情報をもとに作成しています。
6月に使える・動かせる制度——まず全体像を確認
6月に使える制度一覧
| 制度名 |
補助上限 |
6月の締切 |
こんな人向け |
| デジタル化・AI導入補助金 |
最大450万円 |
6/15(月)17:00 |
POSレジ・IT導入を考えている人 |
| 中小企業新事業進出補助金 |
最大9,000万円 |
6/19(金)18:00 |
新業態・多店舗展開を狙う経営者 |
| 省力化補助金(カタログ型) |
最大1,500万円 |
通年受付中 |
配膳ロボット・自動精算機を入れたい |
| キャリアアップ助成金 |
1人最大80万円 |
通年申請可 |
アルバイトを正社員にしたい |
| 業務改善助成金 |
最大600万円 |
通年申請可 |
設備導入+最低賃金を上げたい |
① デジタル化・AI導入補助金|締切:6月15日(月)
POSレジ・モバイルオーダー・予約管理システム——開業時に導入を検討している設備に、最も使いやすい補助金です。
旧「IT導入補助金」が2026年度から名称変更。開業後まもない段階でもITツールを入れる予定があるなら、今月の締切を逃さないでください。
基本情報
| 管轄 |
経済産業省(中小企業庁) |
| 補助上限 |
最大450万円(枠・条件により異なる) |
| 補助率 |
1/2〜4/5(小規模事業者・インボイス枠は最大4/5) |
| 対象 |
中小企業・小規模事業者(個人事業主含む) |
| 2次締切 |
2026年6月15日(月)17:00 ← 今月の締切 |
| 以降の締切 |
3次:7月21日、4次:8月25日 |
| 飲食店の主な用途 |
POSレジ・モバイルオーダー・予約管理・会計ソフト・AIシステム等 |
| 注意 |
IT導入支援事業者(登録業者)経由で申請。交付決定前の購入はNG。GビズIDプライム必須 |
| 申請先 |
デジタル化・AI導入補助金事務局(it-shien.smrj.go.jp) |
〆切に間に合わせるには?
IT導入支援事業者(補助金対象ツールを提供する登録業者)と組んで申請する仕組みです。自分で1からすべてやる必要はなく、事業者が申請をサポートしてくれます。「どのツールを入れようか」が決まっていれば、今週中に動き始めれば間に合う可能性があります。
② 中小企業新事業進出補助金|締切:6月19日(金)
既存の飲食店が「新しい業態」「新しい業種」に踏み出すための、最大9,000万円の大型補助金。事業再構築補助金の後継として2025年に新設された制度で、多店舗展開・業態転換・異業種からの飲食参入に使えます。
基本情報
| 管轄 |
経済産業省(中小企業庁) |
| 補助上限 |
最大9,000万円(従業員規模・賃上げ特例により異なる) |
| 補助率 |
1/2(最低賃金引上げ特例で2/3に引き上げ可) |
| 対象 |
中小企業・小規模事業者(個人事業主含む) |
| 第4回締切 |
2026年6月19日(金)18:00 ← 今月の締切 |
| 採択発表 |
2026年9月頃(予定) |
| 主な要件 |
新事業進出要件・付加価値額要件・賃上げ要件・金融機関要件など複数あり |
| 飲食店の用途 |
新業態の店舗設備・厨房機器・システム構築費・広告宣伝費等 |
| 注意 |
採択率は直近で30〜35%程度。事業計画書の質が採否を左右する。GビズIDプライム必須 |
| 今後の動向 |
2026年度中に「ものづくり補助金」との統合が予定されており、現行制度での申請は第4回が実質ラストチャンスに近い |
| 申請先 |
中小企業新事業進出補助金事務局(公式サイトで最新情報を確認) |
飲食店が申請するうえでの注意点
- 「既存事業とは異なる新規性」が審査で最も問われます。「他の店もやっていること」では採択されにくい傾向があります。
- 賃上げ要件(給与支給総額の年率平均増加)が厳しく設定されています。無理な計画を立てると後から返還リクエストが来るリスクも
- 事業計画書の作成には2〜4週間かかることも。すぐに動き出さないと6/19には間に合わない可能性が高い
📌 この制度は「第4回が実質ラストチャンス」に近い状況です。2026年度中にものづくり補助金との統合が予定されており、現行の枠組みでの申請機会は残り少ないと見られています。多店舗展開や業態転換を検討中の方は、今回の締切を真剣に検討してください。
③ 省力化投資補助金(カタログ型)|通年受付中
開業時から「少ない人数でも回せる店」を目指すなら、省力化設備の導入が近道です。配膳ロボット・自動精算機・券売機・清掃ロボットなど、カタログに掲載された既製品を選ぶだけで申請できます。採択率が約7割と高く、補助金初挑戦の方にもおすすめです。
基本情報
| 管轄 |
経済産業省(中小企業庁) |
| 補助率 |
1/2(賃上げ特例で上乗せ可) |
| 補助上限 |
従業員数により異なる(賃上げ特例適用で最大1,500万円) |
| 受付期間 |
通年受付中(2027年3月末頃まで) |
| 採択率 |
約7割(一般型の約35%と比較して格段に使いやすい) |
| 飲食店の定番 |
配膳ロボット・自動精算機・券売機・清掃ロボット・スチームコンベクションオーブン等 |
| 申請の流れ |
①公式サイトのカタログから製品と販売事業者を選ぶ ②販売事業者と共同で事業計画を策定・申請 |
| 注意 |
GビズIDプライムの取得(最短1週間)が先。交付決定前の製品購入はNG |
| 申請先 |
中小企業省力化投資補助金事務局(shoryokuka.smrj.go.jp) |
④ キャリアアップ助成金(正社員化コース)|通年申請可・1人最大80万円
開業時から「長く働いてくれるスタッフを確保したい」と考えているなら、アルバイトを正社員化することで1人最大80万円が国から支給されます。
人材の確保と定着が経営の生命線である飲食業において、正社員化は採用コスト削減と戦力安定の両方に効きます。
基本情報
| 管轄 |
厚生労働省 |
| 助成額(有期→正社員) |
1人あたり最大80万円(中小企業・重点支援対象者) |
| 助成額(無期→正社員) |
1人あたり最大40万円(中小企業) |
| 年度上限 |
1事業所あたり年20人まで申請可 |
| 申請タイミング |
転換後6ヶ月の賃金支払完了翌日から2ヶ月以内 |
| 2026年度の新加算 |
情報開示加算:正社員転換制度の実績を自社サイト等で公表すると+20万円 |
| 必須条件 |
賃上げ3%以上(転換前後の基本給比較)/キャリアアップ計画の事前届出 |
| 申請先 |
事業所管轄の都道府県労働局またはハローワーク(電子申請も可) |
申請の流れ(順番を必ず守ること!)
⑤ 業務改善助成金|通年申請可
開業時から最低賃金を意識した経営をするなら、設備投資と賃上げをセットで支援するこの制度は見逃せません。POSシステム・食洗機・オーブン・冷蔵設備などの導入に使え、補助率は最大9/10という高さです。
基本情報
| 管轄 |
厚生労働省 |
| 補助上限 |
30〜600万円(賃金引き上げ額・人数・設備投資額による) |
| 補助率 |
設備投資額の3/4〜9/10 |
| 必要条件 |
事業場内最低賃金を50・70・90円コースのいずれかで引き上げること |
| 対象 |
中小企業・小規模事業者(雇用する従業員がいること) |
| 使える設備 |
POSシステム・食洗機・コンベクションオーブン・製氷機・冷蔵設備等 |
| 2026年度変更点 |
「30円コース」が廃止。最低引上げ幅が50円以上に変更 |
| 申請先 |
事業所管轄の都道府県労働局(賃金室) |
申請前に必ず知っておくべき3つのこと
① GビズIDプライムは今すぐ取得を
国の補助金のほぼすべてに必要なのが「GビズIDプライム」です。現在は書類に問題がなければ最短1週間で取得できますが、混雑時は時間がかかります。「申請しよう」と思ったその日に手続きを始めましょう。gBizID.go.jp から無料で申請できます。
②交付決定の前に買ったら補助金ゼロ
補助金のルールで最も多いトラブルがこれ。「採択されそうだから先に注文してしまった」は補助金の対象外になります。必ず「交付決定通知を受け取ってから発注・購入・支払い」の順番を守ること
③開業前には使えない制度がほとんど
国の補助金は「事業を行っている者」が対象で、開業前の段階では申請できないものがほとんどです。開業直後でも「開業済みであること」が要件になります。開業準備中の方は、まずGビズIDを取得し、開業後すぐに動ける状態を整えておきましょう。
まとめ|あなたの状況別・今月やること
制度が多くて迷ったら、まず自分の状況を確認してください。
✅ 開業直後・POSレジやITツールを入れたい →デジタル化・AI導入補助金(6/15締切)を今週中に確認
✅ 新業態・別業種から飲食に参入したい →中小企業新事業進出補助金(6/19締切)を検討。計画書作成に2〜4週間必要
✅ 配膳ロボット・自動精算機を導入したい →省力化補助金カタログ型(通年受付)。まずGビズIDを取得
✅ スタッフを正社員にしたい →キャリアアップ助成金(通年)。転換前にキャリアアップ計画の届出が必須
✅ 設備投資しながら賃金を上げたい →業務改善助成金(通年)。50円以上の賃上げコースから選ぶ
どの制度も「知っているか・知らないか」で数十万〜数千万円の差が生まれます。この記事を参考に、まずGビズIDの取得から動いてみてください。
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