2025/10/02
深夜労働・残業の割増賃金とは | 計算方法や注意点をわかりやすく解説
「深夜労働の割増賃金の計算方法を知りたい」
「法定に基づいた適切な支払い方法を理解したい」と悩んでいませんか?
結論、深夜割増の賃金計算は、残業時間や手当によって変化するため、計算方法を理解する必要があります。
特に飲食業界などシフトによる労務管理を行なっていたり、外国人人材の雇用をされている企業の場合その処理やチェック観点が多岐に渡ることも少なくありません。
本記事では、深夜労働や残業の割増賃金について、基本的な定義から具体的な計算方法、注意すべき点まで解説しています。
ぜひ最後まで読んで、適切な賃金計算を行い、スムーズな労務管理を実現しましょう。
弊社G-FACTORY株式会社では、飲食業界の人材不足を解消するため外国人人材の採用支援から就労者の在留資格・特定技能ビザ取得支援、労務管理の整備など企業側の受入支援まで外国人人材の採用サポートを一気通貫で行っています。
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深夜労働・残業の割増賃金とは
深夜労働とは、午後10時から午前5時の間に行われる労働を指します。労働基準法第37条により、この時間帯の労働には通常の賃金に25%以上の割増が必要です。
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使用者が、第三十三条又は前条第一項の規定により労働時間を延長し、又は休日に労働させた場合においては、その時間又はその日の労働については、通常の労働時間又は労働日の賃金の計算額の二割五分以上五割以下の範囲内でそれぞれ政令で定める率以上の率で計算した割増賃金を支払わなければならない。ただし、当該延長して労働させた時間が一箇月について六十時間を超えた場合においては、その超えた時間の労働については、通常の労働時間の賃金の計算額の五割以上の率で計算した割増賃金を支払わなければならない。 |
割増賃金は、深夜労働による労働者の健康への影響を考慮し、労働者を守るために設けられています。残業が深夜労働時間帯に重なる場合、法定時間外労働(25%)と深夜労働(25%)の割増率が合計50%以上になります。
割増賃金は労働者保護のために導入されているため、適正な管理が求められる一方、外国人労働者の場合、言語の壁や文化の違いから、労働時間や賃金に関する誤解が生じやすいです。
就業規則や雇用契約書に、深夜労働の割増賃金に関する規定を明記し、外国人労働者に理解しやすい言葉で丁寧に説明することが重要です。定期的な面談で、疑問や不安がないか確認しましょう。
深夜労働・残業や手当に関わる種類と違い
深夜労働に関連する手当として、以下のような種類が存在します。
• 深夜手当と深夜残業手当の違い
• 深夜手当と夜勤手当の違い
• 深夜労働手当と深夜残業手当の違い
• 一般的な残業と深夜残業の違い
ここでは、深夜労働・残業や手当を種類別に特徴を紹介します。
深夜手当と深夜残業手当の違い
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深夜手当 |
午後10時から午前5時の通常勤務に対する割増賃金 |
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深夜残業手当 |
同じ時間帯の法定時間外労働に適用される割増賃金 |
深夜手当は、午後10時から午前5時の通常勤務に対する割増賃金である一方、深夜残業手当は、同じ時間帯の法定時間外労働に適用される割増賃金のことです。
深夜残業では、深夜手当(25%)と時間外労働手当(25%)が加算され、合計50%以上の割増になります。
例えば、「通常勤務で22時から23時まで働いた場合は深夜手当がつき、残業で23時から24時まで働いた場合は深夜残業手当がつく」となります。
深夜手当と夜勤手当の違い
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深夜手当 |
午後10時から午前5時の通常勤務に対する割増賃金 |
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夜勤手当 |
企業が独自に設定するインセンティブ報酬 |
深夜労働手当は、所定労働時間内に含まれる深夜時間帯の労働に対する割増賃金です。
深夜残業手当と比較すると。深夜労働手当は25%以上、深夜残業手当は50%以上の割増率となるため、正確な残業代を算出するためには、双方の要素を正確に反映する必要があります。
労働者には、それぞれの計算方法を具体例を交えて説明し、理解を深めてもらう必要があります。
例えば、「22時~5時の間に通常勤務として働く場合は深夜労働手当、残業として働く場合は深夜残業手当が適用される」と説明するとよいでしょう。
深夜労働手当と深夜残業手当の違い
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深夜労働手当 |
所定労働時間内に含まれる深夜時間帯の労働に対する割増賃金 |
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深夜残業手当 |
残業(法定労働時間8時間超)+深夜時間帯(22時〜5時)にまたがる勤務に対して支払う手当 |
深夜労働手当は、所定労働時間内に含まれる深夜時間帯の労働に対する割増賃金です。
深夜残業手当と比較すると。深夜労働手当は25%以上、深夜残業手当は50%以上の割増率となるため、正確な残業代を算出するためには、双方の要素を正確に反映する必要があります。
労働者には、それぞれの計算方法を具体例を交えて説明し、理解を深めてもらう必要があります。
例えば、「22時~5時の間に通常勤務として働く場合は深夜労働手当、残業として働く場合は深夜残業手当が適用される」と説明するとよいでしょう。
一般的な残業と深夜残業の違い
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一般的な残業 |
法定労働時間を超える労働で割増率は25%以上 |
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深夜残業 |
午後10時から午前5時の法定外労働で割増率は50%以上 |
一般的な用語である「残業」は、法定労働時間を超える労働で、割増率は25%以上です。一方で深夜残業は、午後10時から午前5時の法定外労働で、割増率は50%以上です。
深夜残業では、通常の時間外労働手当に加え、深夜手当が適用されるため、計算時に割増率の重複適用を考慮する必要があります。
外国人労働者には、一般的な残業と深夜残業のそれぞれの割増率と、深夜残業の場合の計算方法を丁寧に説明しましょう。
深夜労働・残業の割増賃金の計算方法
ここまで、パターン別に深夜労働・残業の特徴を説明しましたが、実際の計算方法を理解しないと、残業代は算出できません。
ここでは、労働基準法第37条を参考に深夜労働の割増賃金の計算方法を、具体例を交えて紹介します。
• 深夜残業の割増賃金計算
• 休日出勤の深夜残業賃金計算
• 所定労働時間が深夜の場合の賃金計算
深夜残業の割増賃金計算
深夜労働の割増賃金の割増率は、2割5分以上と規定されています。給与明細にも、この計算式に基づいた内訳を記載することで、透明性を高められます。
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(計算式) 「1時間あたりの賃金 × 1.5 (時間外労働1.25 + 深夜労働0.25)」
1時間分の賃金=1,200円 × 1.5 = 1,800円 深夜残業代=1,800円 × 2時間 = 3,600円 |
休日出勤の深夜残業賃金計算
休日労働の割増賃金の割増率は3割5分以上となるため、計算式は以下の通りです。
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(計算式) 1時間あたりの賃金 × 1.6 1時間分の賃金=1,200円 × 1.6 = 1,920円 |
深夜残業と比べると、割増率が若干変動するため、混同しないよう注意しましょう。
所定労働時間が深夜の場合の賃金計算
深夜労働時間(22時~翌5時)は2割5分以上の割増となり、1日8時間を超える場合は、5割以上の割増が適用されます。
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(例)1時間あたり賃金1,200円、15時~24時勤務(休憩19~20時)の場合 通常労働(15時~22時(6時間))=1,200円 × 6 = 7,200円 |
労働者には、深夜時間帯を含む所定労働時間の場合の賃金計算方法を、具体例を用いて丁寧に説明しましょう。
深夜労働・残業の割増賃金に関する注意点
深夜労働・残業の割増賃金の計算には、いくつかの注意点があります。特に外国人労働者を雇用する場合は、文化や言語の違いから、誤解が生じやすい点に注意が必要です。
• 裁量労働制・固定残業代制度の場合は異なる計算が必要
• 管理職も深夜手当支給が必要
• 18歳未満は深夜労働禁止
• 割増賃金計算の端数処理
裁量労働制・固定残業代制度の場合は異なる計算が必要
裁量労働制では、実働時間に関わらず、規定時間を労働したものとみなしますが、深夜労働分の割増賃金は別途支給されます。
固定残業代制度では、あらかじめ規定された残業時間を超える労働に対して追加の割増賃金が発生します。
これらの制度では深夜労働や休日労働分の割増賃金は固定部分に含まれず、個別に支払う必要があるため、就業規則や労働契約に関する明確な記載が必要です。
参考:厚生労働省「専門業務型裁量労働制の適切な導入のために」
参考:厚生労働省「固定残業代を賃金に含める場合は、適切な表示をお願いします。」
そのため、特に外国人労働者には、これらの制度と深夜割増賃金の関係について、丁寧に説明しなければいけません。
管理職も深夜手当支給が必要
労働基準法第41条では、管理監督者に対して時間外労働や休日労働の割増賃金は不要とされていますが、深夜労働に関する割増賃金は支給が必要です。
管理職としての適用範囲は、役職名だけでなく実際の職務内容や責任範囲によって判断されます。管理職が深夜労働を行った場合、1時間あたりの基礎賃金に25%以上の割増率を加算して支給しなければなりません。
18歳未満は深夜労働禁止
労働基準法第61条により、18歳未満の労働者は原則22時から翌5時の労働が禁止されています。例外として、交代制勤務の16歳以上の男性や災害時の特例措置がありますが、労働基準監督署の許可が必要です。
適用対象外のケースでも、保健衛生や農業など一部業種に限定されます。法違反となると行政指導や罰則の対象となるため、厳格な管理が求められます。
割増賃金計算の端数処理
割増賃金計算時の端数処理は、事務の簡便性を目的として「50銭未満は切り捨て・50銭以上は1円に切り上げる方法」が一般的です。
1か月間の合計時間に対して端数が生じる場合、30分未満は切り捨て、30分以上は1時間に切り上げることが可能です。これらの処理方法は就業規則などで事前に明記しておく必要があります。
労働者に不利益とならないよう、計算方法の透明性が求められます。労働者には、端数処理の方法について正確に説明しましょう。
参考:厚生労働省「賃金計算の端数の取扱い」
深夜労働の割増賃金の計算方法を把握して適切な賃金を支払おう!
深夜労働や残業に関する法規制は複雑であり、違反すると罰則が科される可能性もあります。
深夜労働や残業に関する法規制は労働基準法の関連法令です。
労働基準法は原則的に国籍を問わず、日本国内で働く労働者には適用されることから外国人労働者にも適用されます。
また、外国人労働者を雇用する場合は、文化や言語の違いから、より一層の注意が必要となります。
本記事で紹介した内容を理解し、適切な賃金計算と労務管理を実践して、労働者と良好な雇用関係を築きましょう。
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