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2025/07/17
【2025年夏の勝ち筋は“ワンコイン飲み放題”】モンテローザと焼肉の和民が展開する「低価格×飲酒需要」攻略術

猛暑シーズンの来店動機は格安ドリンク
2025年夏、飲食業界では“ワンコイン価格”をキーワードにした飲み放題施策が注目されている。
株式会社モンテローザ(東京都杉並区)とワタミ株式会社(東京都大田区)は、それぞれ異なる業態でありながら、共通して「低価格×高満足度」を狙ったキャンペーンを実施している。飲酒需要が高まる猛暑期に向けて、単価を抑えながら集客を最大化する構成は、外食業界における季節戦略の好例といえる。
以下では、両社の取り組みを詳しく見ながら、「ワンコイン×飲み放題」の設計思想と、それが他店舗に与える示唆について読み解いていく。
モンテローザ:「何杯でも1杯100円」生ビールで月曜集客を狙う
株式会社モンテローザが展開する白木屋・笑笑・魚民・山内農場など全国805店舗では、2025年7月7日と28日の月曜日に、LINEまたはアプリ会員限定で「キリン一番搾り生ビール何杯でも1杯100円(税込)」のセールを開催する。
対象は中ジョッキで、15時以降の注文に適用される。利用には「モンテアプリ」やLINE公式アカウントでのクーポン提示が必要で、1人の提示でグループ全体が対象となる。加えて、330円(税込)以上の料理2品注文が条件となっており、単品注文の抑制や客単価維持も同時に設計されている。
月曜日という通常来店が少ない曜日をピンポイントで狙った点も特徴的で、集客の谷間に生ビール需要をぶつける販促戦略が読み取れる。
焼肉の和民:「18種90分飲み放題が500円」の圧倒的お得感
一方、「焼肉の和民」(ワタミ株式会社)では、2025年7月8日(火)から23日(水)までの期間、90分飲み放題が税込500円で利用できる「ワンコイン飲みホ」キャンペーンを展開する。
対象ドリンクは、ハイボールやレモンサワー、お茶割、翠ジンカクテルなど、さっぱり系のアルコール18種。単品注文でも食べ放題プランでも適用され、ランチ・ディナー問わず利用可能。グループ全員の注文が条件だが、利用ハードルは低く、一人焼肉でも使用可能な柔軟性が評価されている。
焼肉との相性やアルコール需要が高まる夏季を見据え、飲食体験全体の満足度を上げつつ、リピーター獲得を狙う戦略だ。
ターゲット層・販促設計・運用条件の比較分析
モンテローザと焼肉の和民が展開するワンコイン飲み放題施策には、いくつかの共通点と相違点がある。
共通点は、価格のわかりやすさと、限定条件による「登録・来店動機」の創出だ。どちらもアプリやLINE登録による会員制を採用し、事前登録やクーポン提示といったデジタル販促を前提にしている。また、複数日・曜日に限定することで、短期的な来店集中を生み出す仕組みも共通している。
一方、相違点は飲用設計の「幅」と「深さ」だ。モンテローザが“生ビール特化”で月曜2日のみに集中しているのに対し、焼肉の和民は90分制・18種と自由度の高い構成を2週間展開している。飲酒体験そのものの自由度や客層対応力では和民が一歩先を行くが、曜日別集客や1杯単位の満足度ではモンテローザが優位に立つ。
いずれも「安さの見せ方」と「顧客体験設計」のバランスが鍵であり、単なる値下げにとどまらない“体験価値”の創出が共通する設計思想といえる。
【ここが違う!2大ワンコイン戦略】
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・モンテローザは“ピンポイント集客型”
→ 生ビール1本勝負×月曜限定で、「月初・月末」に狙い撃ち! -
・焼肉の和民は“フレキシブル満足型”
→ 18種×90分飲み放題×昼夜OKで、「誰でも、いつでも」来店しやすい!
他飲食店にとってのヒント:低価格訴求とアプリ販促の両立
これらの事例は、他の飲食店にとっても再現可能な販促手法を示している。特に中小規模の店舗では以下の3点が参考になる。
① 会員登録を条件に「限定価格」を設けることで、単価を下げすぎずに顧客情報を取得し、リピート施策に繋げることができる。
② 短期集中型の“販促日”を設定することで、曜日ごとの集客バランスを調整しやすくなる。
③ SNSやLINEアカウントを用いた告知と、会員向けクーポンの発行により、販促コストを抑えながら効果的なアプローチが可能となる。
飲み放題施策はオペレーションや人員体制に負担がかかる可能性があるため、価格・内容・提供条件のバランス設計が重要である。また、顧客満足を意識したドリンクの選定や提供時間の明示も不可欠だ。
今後の展望:飲酒需要の可視化と「選ばれる外食」への進化
今回のように“ワンコイン飲み放題”を軸にした施策は、飲酒需要の明確化と、アプリ・会員登録を通じた顧客関係構築を両立させる戦略である。少子高齢化や健康志向が進む中でも、気軽に楽しめる「プチ贅沢」の需要は根強く、価格と体験の両立が求められている。
今後、飲食業界においては「登録してでも来たくなる価値」の設計と、「飲酒以外の付加価値提供(料理・雰囲気・接客)」の組み合わせによって、選ばれるブランドへの進化が求められるだろう。
今回の事例は、そうしたトレンドを的確に捉えた“攻めの価格戦略”として、夏季需要獲得に有効なモデルケースとなる。

