2025/05/22
大切なのは“笑顔を絶やさないこと”!ベトナム出身の特定技能人材 ヴさんにインタビュー!

渋谷のとあるイタリアンレストラン。
ジュウッと焼ける肉の音と、ふわりと立ち上る香ばしい香りの中で、一人の青年が真剣な眼差しでフライパンと向き合っている。彼の名前はヴさん。ベトナム出身、そして日本で働き始めて6年目の料理人だ。
「笑顔を絶やさないこと。それが、僕のモチベーションなんです。」
そう語るヴさんは、母国・ベトナムで育った幼少期から料理に親しみ、アニメを通して憧れを抱いた日本へと渡った。様々な壁を乗り越えながら彼が見つけたのは、「料理で人を笑顔にする」というシンプルでまっすぐな喜びだった。
日本で働こうと思ったきっかけを何でしたか?
経済的に余裕を持てるようになりたいという目標もあったため、海外で働くことを視野に入れた時に思い浮かんだ国が「日本」でした。高校生の頃から日本に興味があり、特にドラゴンボールやNARUTOなどのアニメや漫画が大好きでした。もっと深く楽しみたいと思い、独学で日本語の勉強も始めていました。行くなら絶対に日本だ!と思い、高校を卒業した2019年に日本へ渡りました。
現在どんなお仕事をしていますか?
渋谷のイタリアンレストランの厨房で働いています。主に肉を焼くのが僕の仕事です。お店では、毎日おすすめする肉が変わります。どれもフレッシュで旨味がたっぷり詰まった美味しく、何よりお店で一番高価な肉なので、味の質を落とさないように慎重に焼いています。失敗すると食材だけでなくコストもロスになってしまうため、何分焼いたらひっくり返す、とマニュアル化するよりも、肉の状態を見ながら焼くようにしています。
とても責任ある立場を任せていただけて、とてもやりがいがあります。
今までで一番印象に残っているエピソードはありますか?
どんなに忙しくても笑顔を絶やさないのが、ヴさんのマイルールです。
70名くらいの団体様の予約が入った時のことですね。厨房のテーブルに料理が置ききれないほど大量の料理を作りましたし、僕もひたすら肉を焼きました。スタッフも総動員で、ドタバタしながらも力を合わせてお料理をお出しできたのが楽しかったです。
働き始めてぶつかった壁はありましたか?
当店はイタリアンレストランなので、食材やメニュー名の表記などちょっとしたところでイタリア語を使います。日本語もまだ完璧ではない中で、さらにイタリア語まで覚えるのは、本当に大変で…頭がパンクしそうでした(笑)。
日本語がとてもお上手ですね…!どのくらい勉強されたのですか?
ありがとうございます。現在は日本語能力N2です。おそらく東京に来て日本語が上達したんだと思います。前職は群馬県で働いていたのですが、群馬と東京では話す言葉が少し違くて。「本当に?」と言っていたのに、東京の人たちは「マジで?」と返してきて驚きました…!渋谷を歩いている若者たちが使う言葉を覚え始めてから、日本語ペラペラですね、と言われることが増えましたね。
日本に来る前と後で、日本の印象にギャップはありましたか?
ポジティブなギャップがありました。ベトナムの日本語の先生から、日本人は勤務中にふざけたりしないし、仕事に責任を持っている真面目な人たちだと聞いていました。言語も技術も不慣れな僕は、緊張して硬い表情になってばかりだったのですが、スタッフの皆さんが明るく声をかけてくださる方々ばかりで、安心しました。
ヴさんの将来の展望を教えてください!
この日はヴさんがまかない担当!他のスタッフさんから「美味しい!」という声が上がっていました。
これまで学んできたレシピや調理技術を全て生かして、僕のオリジナルメニューを考案したいです。現在はキッチンがメインなので、ホールにもっと出てみたいです。自分でお客様に直接お料理をお勧めしたいです。家族が飲食店を経営しているため、両親に胸を張れるような結果を残したいです。
渋谷のキッチンで、今日もお肉と真剣に向き合うヴさん。真っ直ぐなまなざしと、話すときのチャーミングな笑顔のギャップに、取材中ずっと心をつかまれていました。「料理は人の心をワクワクさせます」と語る彼のてから生まれる料理には、きっと温かさや誠実さも詰まっているはず。ヴさんの考えたメニューがいつかお店に出る日が来ますように。心から祈っています!

