飲食店の試用期間は何カ月が目安?本採用拒否・延長で注意したいポイント
はじめに|飲食店の試用期間は何カ月が目安?本採用拒否・延長で注意したいポイント
飲食店で従業員を採用する際、「試用期間は何カ月に設定すればよいのか」「試用期間中に能力不足が分かった場合、本採用を拒否できるのか」と悩む店長や経営者もいるのではないでしょうか。
試用期間は、従業員の能力や勤務態度、仕事への適性を確認するための期間です。ただし、試用期間だからといって、自由に解雇したり、労働条件を変更したりできるわけではありません。
この記事では、飲食店の試用期間の目安や労働条件、本採用拒否が認められるケース、試用期間を延長するときの注意点について、法律に基づいて解説します。

また、人手不足が深刻な飲食店では、採用した従業員が定着せず、再び人材を確保しなければならないケースもあります。こうした課題への対策として、外国人スタッフの採用を検討することも一つの方法です。
外国人スタッフを採用する際は、在留資格の確認や雇用手続きなど、日本人スタッフの採用とは異なる注意点もあります。人材確保にお悩みの方は、外国人スタッフの採用・受け入れをサポートする弊社のサービスもぜひご活用ください。
飲食店の試用期間は何カ月が目安?法律上の上限はある?
飲食店の試用期間は、1〜3カ月程度を目安に設定することが考えられます。ただし、法律で一律の期間や上限が定められているわけではありません。業務内容や従業員の経験などを踏まえ、適切な期間を設定することが重要です。
飲食店の試用期間は1カ月・3カ月・6カ月のどれがよい?
飲食店の試用期間は、目安として次のような考え方で設定するとよいでしょう。
-
1カ月 基本的な接客や調理補助など、業務への適応を確認したい場合 3カ月 接客、調理、勤務態度などを総合的に評価したい場合 6カ月 習熟に時間がかかる業務など、長めの確認期間が必要な場合 例えば、ホールスタッフであれば、接客マナーや注文対応、レジ操作などを確認します。調理スタッフであれば、調理手順や衛生管理、作業の正確さなどが評価の対象になります。
ただし、これらはあくまで設定時の目安です。6カ月などの長い期間を設定する場合は、業務上の必要性や合理性を慎重に検討しましょう。
飲食店の試用期間が長すぎると問題になる?
試用期間の長さに法律上の一律の上限はありませんが、必要以上に長い期間を設定することは避けるべきです。
試用期間が長すぎると、従業員の雇用上の地位が不安定になり、トラブルにつながる可能性があります。就業規則や雇用契約書に試用期間を明記し、業務内容に見合った期間を設定しましょう。
飲食店の試用期間中は給料や労働条件が違ってもよい?
飲食店では、試用期間中と本採用後で賃金などの労働条件を変えることも可能です。ただし、試用期間中も労働関係法令が適用されるため、賃金や労働時間などの条件を明確にし、法律を守る必要があります。
飲食店の試用期間中は給料を下げてもよい?
試用期間中の賃金を本採用後より低く設定すること自体が、一律に禁止されているわけではありません。ただし、採用時に賃金額や条件を明示し、最低賃金法を守る必要があります。
例えば、本採用後の時給を1,200円、試用期間中の時給を1,150円と設定する場合は、その条件を採用時に明確に伝えましょう。また、試用期間中であっても、原則として地域別最低賃金などの適用を受けます。
最低賃金の減額特例には、都道府県労働局長の許可など、一定の要件が必要です。試用期間中だからといって、自動的に最低賃金を下回る賃金を設定できるわけではありません。
飲食店の試用期間中も残業代や社会保険は必要?
試用期間中であっても、法定労働時間を超えて働かせた場合などには、原則として割増賃金の支払いが必要です。
また、健康保険や厚生年金保険などの社会保険も、勤務時間や雇用期間などの加入要件を満たせば、試用期間中から加入対象になります。
「試用期間中だから残業代は不要」「本採用後に社会保険へ加入させればよい」といった一律の扱いは避け、従業員ごとに要件を確認しましょう。
※残業代や社会保険の加入要件は、労働時間や雇用契約の内容などによって異なります。判断に迷う場合は、社会保険労務士などの専門家に確認し、自店舗の状況に合った対応を取りましょう。
飲食店で試用期間中の本採用拒否はできる?
飲食店では、試用期間中に従業員の能力や勤務態度に問題が見つかった場合、本採用を拒否することが検討されます。ただし、本採用拒否は解雇として扱われるため、客観的に合理的な理由があり、社会通念上相当と認められなければなりません。
これは、労働契約法第16条に定められた解雇のルールに基づくものです。
飲食店で本採用拒否が認められるのはどんなケース?
本採用拒否が検討されるケースとして、次のような例が挙げられます。
-
必要な業務を習得できず、指導を重ねても改善が見られない
-
正当な理由なく遅刻や欠勤を繰り返す
-
重大な経歴詐称が判明し、採用判断に影響していた
例えば、飲食店のホールスタッフが注文を繰り返し間違えた場合でも、直ちに本採用拒否が認められるとは限りません。ミスの程度や頻度、指導内容、本人の改善状況などを踏まえて判断する必要があります。
能力不足や勤務態度の問題があったとしても、店側の判断だけで自由に本採用を拒否できるわけではない点に注意しましょう。
飲食店で本採用拒否をする前に何を確認すべき?
本採用拒否を検討する場合は、まず問題となる行動や業務上の支障を具体的に記録しましょう。そのうえで、本人に問題点を伝え、必要な指導や改善の機会を設けることが重要です。
また、雇用契約書や就業規則の規定を確認し、解雇の理由や手続きに問題がないかを検討しましょう。
なお、労働基準法第20条では、原則として解雇の30日前までに予告するか、30日分以上の平均賃金を解雇予告手当として支払うことが定められています。同法第21条により、試用期間中の従業員については、雇い入れから14日以内であれば解雇予告の規定が適用されません。ただし、14日以内であれば自由に解雇できるという意味ではありません。
※本採用拒否は、理由や手続きによって法的な判断が異なるため、対応に迷う場合は、労働問題に詳しい弁護士や社会保険労務士などの専門家に相談しましょう。事前に専門家へ確認することで、法令違反や従業員とのトラブルを防ぎ、適切な対応につなげられます。
飲食店で試用期間を延長するときの注意点は?
飲食店で試用期間を延長する場合は、就業規則や雇用契約書の定めを確認し、延長する理由や期間を明確にする必要があります。店側の判断だけで自由に延長できるわけではないため、慎重に対応しましょう。
飲食店の試用期間は何度でも延長できる?
試用期間の延長回数や期間について、法律上の一律の上限は定められていません。ただし、何度でも自由に延長できるわけではありません。
例えば、調理スタッフの技術が十分でない場合、当初の試用期間内に習得できなかった業務を明確にしたうえで、延長の必要性を検討します。
延長を予定している場合は、あらかじめ就業規則や雇用契約書に延長の条件を定めておくことが重要です。当初の契約内容を確認し、延長の合理性や必要な手続きを検討しましょう。
飲食店の試用期間を延長するときは何を伝える?
試用期間を延長する際は、従業員に次の事項を具体的に伝えましょう。
-
延長が必要な理由
-
延長する期間と終了予定日
-
改善してほしい業務や勤務態度
-
本採用の判断基準
例えば、「接客ができていない」と伝えるだけでは、従業員は何を改善すればよいのか分かりません。「注文内容の復唱を徹底する」「レジ操作を正確に行う」など、具体的な目標を示すと、改善に取り組みやすくなります。
延長の理由や条件を書面で伝え、認識の違いによるトラブルを防ぎましょう。
【最終確認】飲食店の試用期間でトラブルを防ぐには?採用時の確認ポイント
試用期間をめぐるトラブルを防ぐには、採用時に期間や労働条件、評価基準を明確にしておくことが大切です。以下のチェックリストを活用し、必要な項目を確認しましょう。
飲食店の試用期間は雇用契約書や就業規則に明記しよう
採用時には、試用期間や労働条件について、次の項目を確認しましょう。
飲食店の試用期間中は評価記録を残そう
試用期間中は、従業員の業務習得状況や勤務態度を定期的に確認し、記録を残すことが重要です。次の項目を参考に、評価や指導の状況を確認しましょう。
評価記録を残しておくことで、本採用の判断に役立つだけでなく、従業員への説明もしやすくなります。店側の主観だけで判断することを避け、公平な評価を行える体制を整えましょう。
まとめ
飲食店の試用期間は、1〜3カ月程度を目安に設定することが考えられますが、法律上の一律の上限はありません。業務内容や習熟に必要な期間を踏まえ、適切な長さを設定することが大切です。
また、試用期間中も労働関係法令は適用され、本採用拒否には客観的・合理的な理由が求められます。試用期間を延長する場合も、契約内容や延長の必要性を確認し、慎重に対応しましょう。
採用時の書面整備と日々の評価記録を徹底することで、従業員との認識違いを防ぎ、安心して働ける職場づくりにつなげましょう。
