飲食店で従業員同士のトラブルが起きたら?初動対応と再発防止のポイント

はじめに|飲食店で従業員トラブルが起きたら?初動対応と再発防止のポイント

飲食店では、忙しい時間帯の業務負担やシフトへの不満、指導方法の違いなどから、従業員同士のトラブルが起こることがあります。日々の業務に追われるなかで、つい対応を後回しにしてしまうこともあるかもしれません。しかし、喧嘩や無視、いじめ、ハラスメントなどを放置すると、職場の雰囲気が悪化し、従業員の離職や人手不足につながるおそれがあります。

では、実際にトラブルが起きたとき、店長や経営者は何から対応すればよいのでしょうか。大切なのは、当事者の話を聞いて事実関係を整理し、状況に応じて適切な対応を取ることです。また、同じトラブルを繰り返さないためには、日頃から相談しやすい環境やルールを整えておく必要があります。

この記事では、飲食店で起こりやすい従業員トラブルの具体例から、発生時の初動対応、関連する法律、再発防止のための取り組みまでわかりやすく解説します。 従業員が安心して働ける職場づくりに向けて、ぜひ参考にしてください。

グラフィック

 

トラブルによる従業員の離職などで人手不足が深刻化した場合は、新たな人材の確保も重要です。その選択肢の一つとして、外国人スタッフの採用が挙げられます。弊社では、飲食店の人手不足解消に向けて、外国人スタッフの採用・活用をサポートしています。

従業員が安心して働ける職場環境を整えるとともに、人材確保の方法も見直していきましょう。

求人バナー-Apr-28-2026-03-37-26-9774-PM

飲食店で従業員トラブルが起きる原因とは?

飲食店の従業員トラブルには、業務上の意見の食い違いから、いじめやハラスメントまで、さまざまなものがあります。原因を把握することで、状況に応じた対応を取りやすくなります。

 

飲食店の従業員同士で起こりやすいトラブルは?

飲食店で起こりやすい従業員同士のトラブルには、次のようなものがあります。

 

  •  業務をめぐる喧嘩   忙しい時間帯にミスを責めたり、仕事を押し付け合ったりする 
     シフトへの不満   特定の従業員に負担が集中するなど、勤務体制に不公平感がある 
     人間関係の悪化   無視や仲間外れ、陰口などによって職場の雰囲気が悪くなる 
     ハラスメント   上司や先輩が暴言を吐いたり、性的な発言をしたりする 

     

こうした問題は、個人間の相性だけでなく、業務分担の不明確さや人手不足など、店舗の運営体制が原因となっている場合もあります。

 

飲食店の人間関係トラブルを放置するとどうなる?

飲食店の人間関係トラブルを放置すると、従業員のストレスが増え、仕事への意欲が低下する可能性があります。欠勤や退職が増えれば、残った従業員の負担も大きくなります。

さらに、従業員同士の連携がうまくいかなくなると、注文ミスや料理の提供遅れなど、お客様へのサービスにも影響しかねません。

そのため、店長や経営者は「従業員同士の問題だから」と放置せず、早い段階で状況を確認することが大切です。

飲食店で従業員トラブルが起きたら?店長が取るべき初動対応4ステップ

飲食店で従業員トラブルが起きた際は、すぐに配置変更や処分を決めるのではなく、順序立てて対応しましょう。特に重要なのは、安全確保、個別の事情確認、記録、対応判断の4つです。

 

STEP1:飲食店の従業員トラブルでは安全確保を優先しよう

従業員同士が激しく言い争っている場合は、まず当事者を離し、状況を落ち着かせましょう。暴力や脅迫がある場合は、周囲の従業員やお客様の安全を確保し、必要に応じて警察や救急に連絡します。

また、トラブルが続くことで被害が拡大するおそれがある場合は、一時的に勤務場所を分けるなどの措置も検討します。

ただし、この段階でどちらか一方を加害者と決めつけたり、安易に処分したりすることは避けましょう。

 

STEP2:飲食店の従業員同士から別々に事情を聞こう

安全を確保したら、当事者からそれぞれ個別に事情を聞きます。双方を同時に問い詰めると、本音を話しにくくなったり、再び言い争いになったりする可能性があるためです。

事情を聞く際は、「いつ、どこで、何が起きたのか」「どのような発言や行動があったのか」を具体的に確認します。必要に応じて、目撃した従業員にも話を聞きましょう。

片方の話だけで判断せず、双方の説明や客観的な資料を照らし合わせることが重要です。ハラスメントが疑われる場合は、相談者のプライバシーにも配慮して確認を進めます。

 

STEP3:飲食店の従業員トラブルの内容を記録しよう

事情確認と並行して、トラブルの内容を記録します。記録しておきたい項目は、次のとおりです。

記録項目
  • 発生した日時と場所
  • 当事者や目撃者
  • 具体的な発言や行動
  • 当事者それぞれの説明
  • 店舗側が取った対応と、その後の状況

 

関連するメッセージや業務記録などがあれば、適切に保管しましょう。記録には、確認できた事実と本人の主張を区別して残すことが大切です。

記録を残しておくことで、対応の経緯を振り返りやすくなり、再発防止策の検討にも役立ちます。

 

STEP4:飲食店の従業員トラブルの原因に応じて対応を判断しよう

事実関係を確認したら、トラブルの原因に応じて対応を判断します。

例えば、仕事の分担をめぐる意見の食い違いであれば、担当業務や指示の出し方を明確にする方法があります。一方、いじめやハラスメントが確認された場合は、被害を受けた従業員への配慮、行為者への適切な対応、再発防止策の検討が必要です。

配置変更だけで解決しようとすると、被害を受けた従業員に負担を押し付けてしまう場合もあります。本人の意向や業務への影響を考慮しながら、慎重に対応しましょう。

STEP1
安全確保
STEP2
個別の事情確認
STEP3
記録
STEP4
対応判断

 

飲食店の従業員トラブルは法律上どう対応する?店長が知っておきたいルール

従業員同士のトラブルがすべて法律違反になるわけではありません。ただし、職場でのハラスメントについては、事業主に防止措置や相談対応などが求められています。

 

飲食店のパワハラにはどう対応する?労働施策総合推進法のポイント

パワーハラスメント(パワハラ)とは、職場での優越的な関係を背景とした言動で、業務上必要かつ相当な範囲を超え、労働者の就業環境を害するものです。

 

例えば、次のような行為が該当する可能性があります。

  • ・人前で人格を否定するような暴言を繰り返す

  • ・特定の従業員を継続的に無視したり、仲間外れにしたりする

  • ・業務上の必要性なく、過大な仕事を押し付けたり、仕事を与えなかったりする

  •  

ただし、業務上必要な指導がすべてパワハラになるわけではありません。言動の目的や内容、状況などを踏まえて判断する必要があります。

労働施策総合推進法に基づき、事業主には、方針の周知、相談体制の整備、事実関係の迅速かつ正確な確認、適切な事後対応、再発防止などが求められます。中小規模の飲食店も対象となるため、規模が小さいことを理由に対策を怠らないようにしましょう。

 

飲食店のセクハラにはどう対応する?男女雇用機会均等法のポイント

セクシュアルハラスメント(セクハラ)とは、職場での性的な言動によって、労働者が不利益を受けたり、働きやすい環境が損なわれたりすることです。

 

例えば、

・本人が望まない性的な発言を繰り返す

・身体に不必要に触れるといった行為

などが該当する可能性があります。

 

男女雇用機会均等法第11条では、事業主にセクハラ防止のための措置を講じることを義務付けています。相談があった場合は、プライバシーに配慮しながら事実関係を確認し、必要な対応を行いましょう。

また、相談したことや事実確認に協力したことを理由に、従業員を解雇するなどの不利益な扱いをすることは禁止されています。

 

飲食店の従業員トラブルで配置変更や処分をするときの注意点は?

配置変更や懲戒処分を検討する際は、就業規則や事実関係を確認し、慎重に判断することが重要です。

労働契約法第3条では、労働契約について、労使が対等な立場で合意することや、信義に従って誠実に行動することなどの基本原則が定められています。また、同法第15条では、懲戒が客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当でない場合、その懲戒は無効となると定められています。

トラブルが起きたからといって、十分な事実確認をせずに一方的な処分をすることは避けましょう。対応に迷う場合は、社会保険労務士や弁護士などの専門家に相談することも有効です。

飲食店の人間関係トラブルを防ぐには?再発防止のチェックリスト

従業員同士のトラブルを繰り返さないためには、当事者への注意だけでなく、店舗全体の職場環境を見直すことが大切です。以下のチェックリストを活用し、相談体制や職場のルール、日頃のコミュニケーションを確認しましょう。

 

飲食店の従業員トラブルを防ぐために相談窓口を設けよう

従業員が悩みを抱えたときに、安心して相談できる環境を整えましょう。

 

チェック☑

飲食店の人間関係トラブルを防ぐためにルールを整備しよう

業務分担や指導方法が曖昧だと、不公平感や従業員同士の対立につながる場合があります。店舗内のルールを明確にし、全員が共通の認識を持てるようにしましょう。

 

チェック☑

飲食店の従業員同士のトラブルを防ぐために定期的な面談を行おう

定期的に従業員と面談することで、不満や悩みを早い段階で把握し、トラブルの深刻化を防ぎやすくなります。

 

チェック☑

 チェックが付かない項目がある場合は、店舗の状況に合わせて改善策を検討しましょう。日頃から相談しやすい環境と明確なルールを整えることが、従業員同士のトラブルの予防と再発防止につながります。 

飲食店の従業員トラブルに関するよくある質問

 

飲食店の従業員同士の喧嘩は、店長がどこまで介入すべき?

店長は、まず当事者を離して安全を確保し、双方から事情を聞いて事実関係を確認しましょう。暴力やハラスメントが疑われる場合は、個人間の問題として放置せず、必要な対応を取ることが重要です。

 

飲食店の従業員トラブルで片方が退職したいと言ったら?

退職を希望する理由や本人の意向を丁寧に確認し、無理に引き止めるのではなく、適切に対応しましょう。同時に、トラブルの原因や職場環境を見直し、同じ問題がほかの従業員にも起きないようにすることが大切です。

まとめ

飲食店で従業員トラブルが起きた際は、安全確保、当事者への個別の事情確認、記録、対応判断の順に進めましょう。片方の話だけで判断せず、事実関係を確認することが重要です。

また、パワハラやセクハラについては、関連法令に沿った対応が求められます。相談体制や職場のルールを整備し、定期的な面談などを通じて、従業員が安心して働ける環境づくりと再発防止に取り組みましょう。

 

豊幡佳乃
立命館大学 法学部 大学で法律を専門的に学び、法的知識を基盤に飲食業界向けの記事を執筆。食べることが大好きという自身の関心を活かし、飲食店経営者やスタッフの方々が直面しやすい法律問題や制度のポイントを、専門用語をかみ砕きながらわかりやすくお届けしていきたいと考えています。
豊幡佳乃
立命館大学 法学部 大学で法律を専門的に学び、法的知識を基盤に飲食業界向けの記事を執筆。食べることが大好きという自身の関心を活かし、飲食店経営者やスタッフの方々が直面しやすい法律問題や制度のポイントを、専門用語をかみ砕きながらわかりやすくお届けしていきたいと考えています。