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2025/06/30
吉野家、初の麺商品『牛玉スタミナまぜそば』を発売―米価格高騰下での新たな一手

吉野家、満を持して初の麺商品を投入
牛丼チェーン大手の吉野家(株式会社吉野家)は、2025年7月4日より全国の店舗(一部店舗を除く)で、新商品『牛玉スタミナまぜそば』を販売開始する。これは、同社が初めて手掛ける「麺」を主役に据えた商品であり、価格は税込767円(本体価格698円)。
暑い夏にも食べやすく、スタミナ感もある味わいに仕上げた本商品は、にんにくを効かせた「マシマシだれ」とともに、自由なトッピングアレンジが楽しめる仕様となっている。サイドメニューやトッピングによって、自分好みの味に変化させられることも特徴だ。
7月5日からは藤田ニコル氏を起用したテレビCMも全国で放映開始予定であり、プロモーションにも力を入れている。
“米離れ”を見据えた商品開発の動き
吉野家の今回の取り組みは、昨今の米価格の高騰を受けた対応とも読み取れる。
主力である牛丼を支える米の価格は、天候不順や輸送コストの増加によって年々上昇傾向にあり、収益圧迫要因となっている。そうした中、麺をベースとした商品を開発することは、コスト変動リスクの分散や、商品の多様化という観点でも合理的な一手だ。特に夏場は食欲が減退しやすく、冷たい麺類の需要が高まる季節でもある。つまり『牛玉スタミナまぜそば』は、原材料価格と季節性、消費者ニーズを巧みに捉えたメニュー戦略だといえる。
トッピング展開と“選べる体験”が鍵
『牛玉スタミナまぜそば』は、吉野家秘伝のたれで煮込んだ牛肉に、天かす・玉子・ねぎを組み合わせたまぜそばに、自由に追加できるサイドメニューを絡めることで、日々の気分や好みに応じた“選べる一杯”として完成度を高めている。キムチやねぎラー油、肉だく(牛小鉢)やとろろなどのトッピングは、在庫や仕込みを共有できるため、既存のオペレーションに負担をかけずにバリエーションを提供できる点でも優れている。少ない材料で多様な提供が可能になるこのような構成は、他の飲食店にとっても、在庫管理と集客効果のバランスを両立させるモデルとして参考になる。
“非主食化”とCM連動による新たな販路開拓
本商品はテイクアウトにも対応しており、ランチ需要だけでなく家庭やオフィスでの利用も見込める。
また、テレビCMにより商品認知を拡大し、若年層やライトユーザーへの浸透を狙っている点も注目だ。特に、CM内では「吉野家=ご飯」のイメージを一新する演出がなされており、麺を食べる喜びと驚きを消費者に伝える構成となっている。
こうした映像を活用した“主食イメージの転換”は、単なる新メニュー発表を超えて、ブランドの再構築にもつながる動きといえる。今後、同社が麺商品のシリーズ化を進めるか否かによって、外食チェーンの多様化戦略の方向性にも影響を与える可能性がある。

