2025/07/07

外食業界に追い風か?特定技能2号の試験結果が発表、今後の活用可能性に注目

目次

飲食業界にとって転機、特定技能2号の試験結果が発表

2025年6月、OTAFF(一般社団法人外国人食品産業技能評価機構)は「特定技能2号」に関する技能評価試験の合格者を発表した。今回注目を集めたのは、外食分野の結果が初めて公表された点である。すでに制度対象として追加されていた外食業界においても、ついに本格的な運用段階へと突入した形だ。

人材不足が深刻な飲食業界では、即戦力かつ長期雇用が可能な人材の確保が喫緊の課題となっており、特定技能2号の制度的活用に向けた準備を進めていた事業者も少なくない。試験合格者の発表により、今後は現場での実践的な受け入れが加速していくと見られる。

この制度により、従来は最大5年だった特定技能1号の就労期間が無期限となり、さらに家族の帯同も可能になるなど、外国人材の定着を大きく後押しする仕組みが整いつつある。今回の動きは、外食業界の労働環境改善と経営の安定化に向けた第一歩ともいえるだろう。

 


特定技能2号とは?外食分野での制度概要を再確認

「特定技能2号」は、外国人労働者の中でも、一定の業務経験と技術を有する熟練者に付与される在留資格である。2019年に導入された「特定技能制度」は、即戦力人材を対象とした就労ビザ制度であり、1号と2号に分類される。

特定技能1号は、主に単純労働の範疇とされる業務に対応し、最長5年間の在留が可能である。すでに外食業を含む12分野で運用されてきた。一方、特定技能2号は、より高い技術力・経験を有する労働者を対象としており、更新により事実上の永続的な滞在が可能。配偶者や子どもの帯同も許可されているのが大きな違いだ。

外食分野では2024年の制度改正により、正式に特定技能2号の対象業種に追加された。以降、各業態に応じた評価基準や試験内容の整備が進み、2025年には初の合格者が誕生することとなった。

 


飲食・外食業界における特定技能2号の活用ポイント

特定技能2号がもたらす最大の利点は「定着率の向上」と「人材の戦力化」である。

外食業界では、これまで多くの外国人スタッフが特定技能1号や留学生アルバイトとして働いてきたが、在留期間の制限や生活不安から、長期的な戦力として定着しにくい状況があった。

今後は、厨房・接客いずれの業務においても、熟練スタッフをチームの中核に据え、教育・育成に時間をかけることが可能になる。また、家族帯同が認められることで生活の安定が図られ、離職リスクが大幅に低下する点も見逃せない。

とくに注目したいのが、2号取得に向けたキャリアステップの構築である。

すでに特定技能1号で働く外国人従業員に対して、スキルアップやリーダー教育の機会を提供し、段階的に2号取得を支援する仕組みを整備する企業が増えている。これにより、外国人材の定着と職場の生産性向上を同時に達成することが期待されている。

 


まとめ:今こそ「特定技能2号」を軸とした人材戦略を構築する時

今回発表された「特定技能2号」外食分野の試験結果は、制度活用が現実のものとなったことを強く印象づけた。

人材確保の厳しさが増す中、飲食業界がこの制度をどう活かすかは、今後の経営の成否を分けるポイントになる。

外国人材を「補助要員」ではなく、「中核人材」として位置づけ、教育・評価・待遇制度を見直すことは、店舗運営の安定性やサービス品質の維持にも直結する。とくに今後は、制度の詳細理解だけでなく、実際の採用・マッチングに関する実務対応力も問われるようになるだろう。

「制度は理解したけれど、具体的にどう採用を進めればいいかわからない」と感じる経営者の方も多いのではないだろうか。そんな方に向けて、特定技能に対応した外国人材紹介サービスを活用するのもひとつの手段である。
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今後、試験制度の拡充や評価基準の見直しが進むにつれ、採用競争も激化が予想される。自社の魅力を伝えられる採用体制をいち早く整備することが、優秀な人材を獲得するためのカギとなる。

 

まるっと飲食情報局-1

宮原康助
ケムニッツ工科大学院 哲学部大学ではコミュニケーションを専門に学びながら、「どうすれば人の心に届く表現ができるのか?」を考えてきました。記事では、読む人にとって“わかりやすくてタメになる”、そしてほんの少しでも前向きになれるようなコンテンツを目指しています。「食」は誰かにそっと寄り添う力があると信じています。その魅力と可能性を、さまざまな視点から丁寧に発信してまいります。
宮原康助
ケムニッツ工科大学院 哲学部大学ではコミュニケーションを専門に学びながら、「どうすれば人の心に届く表現ができるのか?」を考えてきました。記事では、読む人にとって“わかりやすくてタメになる”、そしてほんの少しでも前向きになれるようなコンテンツを目指しています。「食」は誰かにそっと寄り添う力があると信じています。その魅力と可能性を、さまざまな視点から丁寧に発信してまいります。